「私に恋してる目だよ」ラフィキ ふたりの夢 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
私に恋してる目だよ
カラフルに溢れる街で生まれた恋と、残酷で頭の固い価値観。嫌な現実。
ラストカットがこの上なく至高。
ボーイッシュなケナとカラフルポップなジキがもうこれ以上なくお似合いで、焦れったくも可愛い恋模様にときめき、胸キュンの嵐だった。
選挙で対立する父親同士というロミオとジュリエット的な設定も悶えちゃうじゃない。
「完全に恋してる目」のケナには私もメロメロのメロである。あんな風に見つめられて惚れないなんて無理寄りの無理すぎる。
スケボーを走らせ、カチャッと止める仕草が好き。その撮り方も好き。
ロマンチックな車の中。
いそいそと準備したのかなーとか思うと愛しくて胸がキュッとする。
成績を見てキャーキャー言い合うシーンが好き。
はしゃぐ二人があまりにも可愛くて。
しかし、彼女と彼女。
その壁はロミオとジュリエットなんかよりも相当に高く厚い。
どこでもいちゃつきたいジキと現実を見るケナ、一緒に行きたいケナと現実を見て従うジキ、逆転の対比が面白くて切なかった。
そして周りの反応のなんと過剰なこと。恐ろしいわ。
「本物になろう。」
好きな人と一緒にいよう。なりたい自分になろう。
慣習や価値観に流されずにいよう。
さまざまな意味が込められている言葉だった。
簡単に言うけど、そうもいかないことばっかりで、どうしようもないもどかしさと辛さで胸が痛んだ。
日本でだって同じこと。
LGBTQを扱った最近の映画の中では、かなり直球かつ大胆に「同性同士」であることの厳しさを描いた作品だった。
ストーリーと構成には拙さや荒削りな部分もあるけれど、ポップに彩った中には鋭く悲痛な叫びが込められて感じる。
それだけ国や世間の価値観の固さ、理解の無さを訴えているのだと思う。
ケニア本国では上映禁止とのこと。
この映画を一番に本国の方々に観て欲しいものだけれど、まずは外堀埋めてこ、ということで日本でも海外でもたくさん上映されて欲しい。
ピンクを中心にした色遣いの映像がとても綺麗だった。髪型もファッションも最高に可愛い。
ビビッドカラーがこんなに似合ってて羨ましいな。