人生、ただいま修行中のレビュー・感想・評価
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☆☆☆★★★ 名作『ぼくの好きな先生』のドキュメンタリー作家、ニコ...
☆☆☆★★★
名作『ぼくの好きな先生』のドキュメンタリー作家、ニコラ・フィリベール久しぶりのドキュメント作品。
どうやら、監督自身が急病で担ぎ込まれた事がきっかけとなって生まれた作品との事らしい。
患者にとっては、病院で働く人は全てが《先生》にすら思える瞬間がある。
自分が辛い病気等を抱えていると。それをケアしてくれる人に対し、ついつい頼ってしまう。
この作品は、そんな病院で働き。患者を1番近いところで支えている【看護師】に焦点を合わせている。
看護師とは言え。始めは全ての人が、看護に関しては《素人》に他ならない。
最初から注射器を完璧に扱ったりは出来ない。
映画は3章仕立てで。慣れない看護の世界に飛び込んだ実習生達のアタフタとしながらも始まる生活を描く。
そして映画の最後は。実際に飛び込んだ看護社会の厳しい現実に、心を押し潰されそうになりながらも。必死に食らいついて行く決意をする、看護師達の表情を通し。暖かな目線で全員の門出を祝い終わる。
この監督さんらしさに溢れた 〝愛 〟ある作品です。
2019年12月1日 キネマ旬報シアター/スクリーン2
ワイズマン方式
看護学生の実習の様子を淡々と撮っていくワイズマン方式で面白いよ。
看護学生だから患者さんと接するとき緊張すんだけど、患者さんも緊張すんのね。そのやり取りが観てて楽しいの。楽しんじゃいけないとも思うんだけど。
みんな色んな事情があるんだろうけど、この大変な仕事を選ぶのはすごいなと思った。自分がミスしたら人死にそうだしね。ミスしなくても、配属先によっては、死を目にすることになるしね。
学生たちの面談もすごいの。けっこう重い話をしてるんだけど、面談する側の受け止め方がうまいのね。適切な言葉を選んで、適切な態度で導いていくの。
【看護師見習いの若き男女達の悩みながら誰かの役に立つ人になる為に奮闘する姿勢に心打たれる】
彼らの実習は、様々な器具を使用するステップから徐々に生きている人間を相手にした内容にレベルアップして行く。
中でも、血液を採取する幾つかの場面は看護師見習いも患者も緊張感溢れ、笑いもぎこちない。それでも、彼らの表情は真剣だ。
一番見所があるのは、第三章。実習を重ねて来た彼らが今までを振り返り、今後の進路選択をする場面だろう。
若い黒人男性は、ガン患者の最期を看取った体験で、大変貴重な事を学んだと語り、ある若き女性は実習中の辛い経験を思いだし涙する。
彼らの言葉をきちんと聞き、共感しながら時にはアドバイスをする教師達の姿。
人の命に関わる重い仕事を自らの意志で選択した彼らの一生懸命な姿がとても尊く、心の中で、頑張れ!とエールを送る自分がいた。
過剰な効果音は一切ないが、人間の善性を確かに感じる事が出来るドキュメンタリー作品である。
医療に従事する半人前の彼らの本音が胸を打つ。
ドキュメンタリーを扱った作品は、私にとって、「嘘」を描かないということが鉄則であると思い、安心して拝見できる作品に当てはまるカテゴリーである。
今回は、(私は、知らなかったが)結構有名な監督の作品であったためか。内容を深く理解できた。十人十色の実習生のキャラを伺い知ることが出来て、非常に興味深い作品に仕上がっていたと思う。相手が生きている人間との本音の会話で成り立つ職業であり、重責を伴う「医療」に携わる人間の成長を具に描いている。最初の「正しい手洗い」の方法も、「手指の衛生」は命を預かる者が怠ってはいけない基本中の基本。「医療に従事する者が学ぶべき第一歩」ではないか。(検査用のあの薬剤はしつこくて、完全に除去するのは結構難しい。)
最後の実習期間を終えた実習生とカウンセラーとの対話の「章」は非常に興味をそそられる。実習の感想(反省と後悔)が、実に生々しい。そのためか、感想が直に感動に伝わる。
これが、「ドキュメンタリー」作品の醍醐味。
フランスというお国柄なのか?実習中に、自宅に泥棒に入られて窓の修理をしなければと言う人もいれば、自分がこの世界に合ってないだのはという「生の声」が、結構考えさせられる所もあり、非常に興味深い作品であった。カウンセラーの心温かいアドバイスが、非常に心を和ませてくれる。経験値が高いレベルの人間でないと、このカウンセラーの職は絶対に無理だな思った。フランスという国は自由であると思いながら、一人々々が非常に自立している人が多いことにこの作品から断片的ではあるが、気付かせてくれる。だから、観終わった後、秀逸なものに仕上がっていると思えた。
わかってもらって、わかって、そして育つ
患者と向き合うことを学ぶというのは自分と向き合うこと、そしてまさに人生修行。苦労、苦悩を乗り越えようともがく姿に感動。
学生たちが教官と面談する(カウンセリングを受ける)場面は圧巻。プロの指導者=悟りを開いた僧侶と修行僧みたい。こうありたいと思うコミュニケーションの見本が満載。
指導教官と看護学生の話がダラダラと
フランスの医療現場のリアルな姿とか、観たかったけど、それもほぼ無し。
後半はただ、教官と学生の面談がダラダラと続く。
学生も、なんだか やる気がなさそう。
看護士のレベルは日本の方が高そう。
どんな仕事でも、誰も見ていなくても、責任感をもって取り組む日本人の美徳を見直した。
非日常的現実世界を淡々と堪能
説明的なものはほとんどなく、看護師らの学ぶ姿を淡々と追っているだけなのだが、作品への吸引力は非常に強いものだった。
自分自身医療に疎い。それ故に啓発されて色々と納得させられる部分、医療への知識関係なく、表情や人間性といったものへの興味、題材云々関係なく、見やすくて素直に感情に響いてくるようなドキュメンタリーだった。
さりげなく人種や宗教的な事柄も絡めていて、興味がつきることがなかった。
どれほどの取材や撮影を重ねたのか、ただ想像を絶するばかりだけれど、この監督やスタッフであらゆる職種のドキュメンタリーを見たい!などとかってな欲望を持ってしまった。
言葉が大切にされている
看護学校の実習生の人権と独立性が尊重されていることが、授業でも実習後のフォローでも見て取れたことに感動した。
実習生にはカウンセリングを受ける権利があり、言葉でしっかり伝え、泣いてもいいし、プライベートなことも言っていい。ハラスメント的な扱いを受けたこと、強く批判されたこと、悲しかったこと、辛かったことも含めて、実習生はきちんと言語化している。そして実習生の話を聞く側も、十分に訓練を受けて経験を重ねた人達で、実習生のレポートを誠実に読み、上からの目線でなく、対等の立場で質問を投げかけ、相手に考えさせ、言葉を引き出している。
そういった、真摯で自然な言葉のやりとりができることが、私は羨ましく、素晴らしいと思った。
看護師の卵たちを応援してあげたくなる(*^o^*)
有意義なひと時でした(*^ω^*)
自分も医療系に勤めているので、興味を持って鑑賞(〃ω〃)
フランスの看護学生が、看護師を目指して奮闘するドキュメンタリーです。
正直ドキュメンタリーって苦手なのですが、思った以上に楽しめたので良かった!
中でも一番驚いたのが、生徒と先生の関係がとても親密でフレンドリーだったこと。
日本の看護学以上に冗談を言ったりして、雑談を交えながら授業に取り組んでいる姿が印象的でした。
日本では、まだまだ子弟関係が強く、なかなか冗談も言えるような環境ではないところが多いようですが、さすが多国籍のフランス。
それぞれの文化や宗教の違いも理解しながら、皆が皆を認めつつ実践を学んでいく様子が素晴らしかったです(//∇//)
また、映画自体も、1.2.3と3つの場面展開で話が進んでいくので、とても分かりやすかった!
1.では、生徒の授業の様子が中心。
まだ看護の知識がほとんどない生徒たちが、先生の話を熱心に聞きながら実践に取り組んでいたので、日本の学生に共通する部分がありました。
2.では、実習先での生徒の様子を映しています。
戸惑いや失敗を経験しながら、生徒が必死に患者さんの為に働く姿がとても微笑ましったです。
3.では、実習を終えた生徒さんたちが、先生と実習先での苦労や辛さを吐露する場。
うまくいった子もうまく行かなかった子も、それぞれが自分の率直な気持ちを吐き出している姿がとても良かった。
わたし自身も資格を取る為に実習したことがありますが、実習というのは想像以上に過酷…。
上司との関係だけでなく、患者さんとの関係がうまく行かずに泣き出してしまう子もいましたが、確かにあの時の自分も泣きたくなったことたくさんあったなと思い出します…。゚(゚´ω`゚)゚。
日本の実習も厳しいものがありますが、フランスの実習でもそれは同じ。
国境を越えても目指す学生は、苦労が絶えないことを実感しました。
そんな時、学生が大変な様子を察してか、患者さんはみんな不安そうな表情をするものの、誰1人として文句を言わなかったことがとても素晴らしかった(^^)
未来の看護師のために、患者さんの協力も必須となっているんだと学びました。
そして最後に、感じたことは言葉の違い。
これからの時代、言葉の壁というのは医療の現場でも問題となってくることでしょう。
患者さんとのコミュニケーションが大切になっている場だからこそ、改めて日本語だけでなく英語や中国語なども学んでいくべきなのかもしれませんね。
今回の試写会では、濃厚な時間を堪能させていただきました(๑>◡<๑)
ありがとうございました(〃ω〃)
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