映画大好きポンポさんのレビュー・感想・評価
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ピーターゼン配給の映画が見たい!
濁った目をした男が映画を撮る話
この作品の作者はアニメ制作会社の方とのことだけれど、業界人ならではの知識と感情とが随所に宿っていて面白かった。
普段、映画ばかり見ている自分でも、制作側ってあんまり知らないから知識欲も刺激されたし、映画撮ってる人たちってこんななんだ~とか、撮影でいい画がとれた時とか編集作業とか役者の凄さとか、裏側とか、プロデューサーってなにしてる人なのかが知れてよかった。
監督、俳優は名前覚えたりするけれど、プロデューサーや撮影、音楽、音響ってあんまり覚えてないのでこれからはそちらも注目したい。
70時間も撮ってそれを2時間に編集するのって楽しいだろうけど大変だなーとか、あの映画もこの映画も膨大な削り作業の後に生まれた作品なんだなと思うと見る目が変わりそう。
編集次第でどうとでもなるって凄いことですよね。「アメリカン・ビューティー」が確かストーリーと編集で全く別物になった作品で有名だったはず。見直してみようかな。
本作はストーリーもいいし、作画も高水準だし、声優もよろしい(ナタリーの声は微妙でしたが…)
新進気鋭のアニメ制作会社CLAPが自信をもってこの映画を作ったんだろうという意思が全面から漂っております。
制作側の熱量は本作を見ていてビシバシ伝わってくる、カット割りとか構図とかアングルの面白さ、挑戦的だし普通のアニメ映画じゃなかなかお目にかかれない。
全てのもの作りをしている方には何かしら共感や心に届くメッセージがある作品だと思います。
いいなと思ったところ
俳優陣キャラクターが役に入ってる時とオフの時の違いがしっかり描けていた。
アニメ絵なのにこのオン/オフが描けてるのは凄いと思う。
ジーンとかポンポさんもカッコいいシーンはあるけれど、俳優陣の書き分けと言うか雰囲気が変わるのをうまく表現していた。
シーンの切替方もこだわりと言うか、センスが抜群でしたね、暗転なんか一回くらいしかなかったんじゃないかな?
話が途切れずテンポがよくてスルスル物語が進むし見てて楽しい。
声優方もジーンとナタリーは俳優を起用して声の演技で素人ぽっく、マーティン役を大塚明夫を使うことで大御所感たっぷりに、いいキャストでした。
書き分け、カットセンス、キャスト、どれも本作が映画作りを題材にしているからこそ、妥協なく、納得と自信のある作りになっていて、原作と映画と制作の相乗効果とでも言うのかいい組み合わせだったと思う。
ただ、ちょっと心配なのが、どの層をターゲットにしているのかといった点。
アニメ好き?映画好き?原作漫画からの客層?
そんなのお前が心配する必要ないだろと言われればそれまでだが、劇中でプロデュース側も描いてるのでその辺がちょと気になる。
公開初日だから結果はわからないが、本作がヒットする未来が見えない。
「鬼滅」とか「コナン」とかがヒットしてるのは漫画読者の層とかあんまり映画見ない人達を引き込むストーリー、シリーズとしての蓄積がヒットの要因を底上げしてると思うけれど、「映画大好きポンぽさん」にはどちらもない。
「このマンガがすごい」「マンガ大賞」を受賞しているらしいが私はこの原作を知らなかったし、一般向けの内容とも思えない。
面白かったしヒットしてほしいけれど…
ストーリーでの不満を言えばあんまり苦労とか苦境に落ちた感が薄かったように思う、才能が発揮され、好きだからこその強みで辛い事もあんまりないし、映画製作の過程をレクチャーされただけ感がいなめない。
物書きや絵描き、他にもクリエイターと言われる人々は制作中に「筆が乗ってきたー」とか「これ最高じゃね?」とか「我ながらいい出来だ」とか脳内がビリビリしたりグルグルしたり幸福感、高揚感を迎える時がある。
その表現は人それぞれだけれど確かに存在する感覚だ。劇中でも体が痺れたりするシーンがあるし、いい意味で「これヤバい」の感覚はわかるんだけれど、その表現の難しさ、人それぞれだから共感しにくい。
いろんな人がこの映画は自分の物語だ、自分も同じなんだと言えると思うけれど、共感できないシーンが有ると萎える。萎えると言うより「あ、やっぱ違うかも」と思ってしまう。
私は「あ、自分はジーンちょっと違うかも」が少しだけ、でも確かに存在した。だから面白かったけれど感動とかは無かったですね。
否定的な意見をつらつら書いてますが、面白かったですよホントに。
クリエーターや業界人はニヤニヤしながら見れるし、この映画を見て創造を始める人、刺激を受ける人は絶対にいると思う。
これかもCLAPのアニメに注目していきたいですね。
余談ですが
90分はぴったりだったのがなぜいいのか?
聞いた話ですが
観客にも劇場にも最適な長さだからだそうですよ。
観客も飽きないし、劇場も営業時間内で6~7回上映できるからとのこと。
劇場でもらった漫画でジーンの過去が描かれてたけれど、素直に嫉妬しましたね。
自分も映画はそれなりに見てきたし、映画好き公言してきたけれど、これほどまでに勉強してないし、何度も見ない、セリフもカットも意識してない。
さらには脳内チャプター再生とか、漫画のキャラクターに嫉妬するのもなんですが、自分もまだまだだなと痛感しましたね。
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劇中セリフより
「エンディングになるとすぐに帰っちゃうんだ」
エンドテロップを最後まで見たいと思える映画ってすくないですよね。
自分はよほどつまらない作品でない限り劇場が明るくなるまでは席を立ないけれど。
明るくなってもしばらく立てない作品ってのは間違いなくいい映画。
持論ですが
エンドテロップに名前残したいって心の底から思える映画や劇場が明るくなった時に「ふぅーーー」って息が出る作品が満足度の高い証になってます。
夢を抱いた陰キャの王道サクセスストーリー
映画館で観て欲しい!映画好き以外にも刺さる、映画讃歌!
延期の末の劇場公開。今も苦境に立たされている映画業界を底から突き上げて応援するような、素晴らしい讃歌!粋でカッコいい、最高の90分。監督とプロデューサーのインタビューも聞けたので、裏話を交えながら感想を下に記していく。
元々は漫画であり、比較的巻数も進んでいないのだが、映画の企画は4年前からあったそう。平尾監督は絵コンテも手掛けたので、絵コンテ→編集→絵コンテ→編集…のような繰り返しをしながら作れたそう。本作は90分なのだが、そこにこだわる理由に駆られながら作ったそう。脚本やアニメの伸びを気にしながらも上手く収めたとのこと。その裏で、ジーンのように頭を抱えていたとか。素材を活かし切る難しさを追体験…だったとのこと。
それもあってか、とにかくテンポがいい。矢継ぎ早に投入されていく展開でリードをしつつ、独創的なカットや次のテイクの繋ぎで魅せていく。さらに、映画好きには堪らない描写に、知られざる苦労など…たっぷり詰め込んだことで、疾走感を感じさせながらドラマの厚みを生み出している。さらに、画にも工夫が感じられ、レンズ越しに観ている輝きを表現したり、一瞬のきらめきを逃さない美しさを拾いながら紡ぐ。よって、作中映画もその外側も並行して楽しめる。ホントに良くできている。
そんなポンポさん。彼女はプロデューサーのポジション。一見すると、彼女がメインと思ってしまうのだが、ジーンが主役。監督となって奔走するのだが、プロデューサーの名に相応しい動きをポンポさんは見せる。だから主人公のジーンに新人女優のナタリーなど、多くのキャラが霞むことなく機能している。そして、彼女に帰属するような圧巻の展開はドキドキしてハラハラしてとても痺れる…。
監督は「マイノリティの肯定感」と「夢のある若者への讃歌」の2つを挙げ、本作を表現していた。今後も語り継がれるアニメ映画が1つできたのではないか。また観たい。大きなスクリーンで、知らぬ誰かと時間を共に過ごすように…。
タイトルなし
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