「軽やかに鮮やかに、映画への愛をつむぐ」映画大好きポンポさん かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
軽やかに鮮やかに、映画への愛をつむぐ
原作は杉谷庄吾【人間プラモ】の同名マンガ。
【ストーリー】
ジーンは映画の都ニャリウッドの制作会社"ペーターゼン・スタジオ"の社長であるポンポさんのアシスタントとしてはたらく、監督を夢見る若者。
忙しく立ちはたらく毎日の隙間隙間に、美しい光景を見つけては、いつか自分の作品をつくりたいと気持ちを高めていた。
そんなある日ポンポさんに呼びだされ、新作映画『MEISTER』の監督に抜擢される。
おなじく抜擢された主演女優のナタリー。
オーディションに落選しつづけたさなかの呼びだしに恐々としつつ、スタジオで顔あわせする二人。
ジーンとともに手さぐりで演じるキャラクターと映画としての表現を学びつつ、自分にそなわった良さをいかに表現すべきかを磨きあげてゆくナタリー。
他のスタッフが、まだ原石の彼らを、陰に日向に支えて、映画撮影は順調に進んでゆくのだが。
いやーいいもの見ました。
軽やかに鮮やかに、作品をワンランク上へとみちびくポンポさんと、高額の制作費や労力を必要とする撮影とその編集に煩悶しながら、作品としての純度を高めてゆくジーン。
主演の、世界最高の俳優と名高いマーティンが、若い彼らに現場人としてのふるまいを教え、さらにそれを作品へと昇華させる。
これらをハリウッドでトレンドの映像手法で、作品全体を彩るっていうややこしい離れわざで、統一感をかもしてます。
ストップモーションの画面もゴージャスで、世界各地でおこなわれるロケシーンも手間がかかってて、ビッグビジネス感に一役かってます。
また天候表現がいいんです、スイスの撮影のシーンなんか特に。
ラストのセリフもいい。
若いころのノーランが言いそう笑
アニメ映画は作業フローの構造上、創ってたシーンを切るという編集はあんまりやらないんですけど、『AKIRA』なんかは完全版として大友克洋自身が描き足したパージョンでソフト化したりしてます。
そんなこだわりのおかげで製作費の回収に20年近くかかったってウラ話も聞こえてきますが。
全編にハリウッド映画への愛あふれる逸品。
アニメ好きでエンターテイメント映画好きならぜひぜひ。
かせさんさん、コメントありがとうございます♪
「一生懸命に仕事しているから」目が死んでいる、というのが現代の病理ですよね。
そこに対する風刺的な側面もあったのかも…なんて思ったりしたのですが、実はあんまりこの映画の事を覚えてなかったりします😅