「誰のために作る。誰のために働く。その中に君はいるのか。」映画大好きポンポさん mrkc7さんの映画レビュー(感想・評価)
誰のために作る。誰のために働く。その中に君はいるのか。
まずよく出来た映画だった。先日観たシンエヴァとの比較は適切じゃないかも知れないが、シンエヴァと同じ位良い映画だったと思う。
90分位の上映時間とは知ってたがそこにも意味があるとは思わなかった。なのでこのストーリーで90分以上はあり得ない。90分縛りでよく構成された映画だと思った。ホントに90分で終わったのかと思うくらい濃密な鑑賞体験だった。155分の映画と同じ位の充実感があった。
その要因の1つは劇中映画の充実感だったかも知れない。
アニメだから出来る表現が劇中映画と本編をうまく融合させていたし効果的だった。何に感情移入しているのかわからなくなる妙な効果が面白かったと思う。
後半に差し掛かる頃に「誰のため」という課題が突きつけられる。皆が監督と映画の為に働いているという事、それに支えられ映画を作る。しかし監督は最後に自分のエゴ、つまり自分の為が全面に出る。さらに展開しそれはポンポさんの為でもあるという、苦悩の奥の奥をすんなり受け入れることができた。
ラストシーン、やはり最後のセリフは大事だと感じた。授賞式、プレゼンターの質問に対する回答は、こう答えるかと思ったものよりハマるセリフだった。
更にエンドロールの最後の制作会社ロゴもニヤっとさせられた。
この映画の面白さを引き立てたのは映画を作る裏側をソフトに表現した事だろうと思う。奔放に見えるポンポさんが予算やスポンサーの事で苦悩する。それでも監督の意向に沿いたい。タイトルからここが本筋では?と思うくらいよく出来た表現だと思う。
ジーンの映画作り、ポンポさんの映画作り、劇中映画Meisterの3本をまとめて観たような充実感がこの映画にはあった。まさかの今期最良作。多くの人に観てもらいたい映画です。
(パンフレットにキャスト、制作陣の好きな映画コーナーがあるのもイイ!)