「「傑作だ!」…と途中まで思ってた」映画大好きポンポさん さうすぽー。さんの映画レビュー(感想・評価)
「傑作だ!」…と途中まで思ってた
「長い映画よりも90分の映画の方が好き」
このポンポさんの台詞通り、今作の上映時間もきっちり90分にしてる所、凄まじいほどの誠意です!!
映画作りを題材にした作品は何個か観てきましたが、自分の中では傑作が多いイメージです。
映画愛を肯定してくれるし、作品作りをしてる場面が物凄く好きだからです。
今作も、そんな場面が非常に多かったです。
また、アニメーションもまた独特です。
全体的にアメリカのカートゥーン調で描かれていて、それによってコミカルタッチで軽快なトーンで展開が進められていきます。
オリジナリティがあって、ちゃんと世界観にも合っていました。
今作は編集作業に多く視点があたっていたのですが、その主人公ジーンが編集する工程がバトルソードで斬るようにシーンのカッティング場面を演出していて面白かったです。
また、女優のナタリーが水溜まりをバチャンと踏む場面は京アニっぽさを感じたり、ポンポさんの紹介場面では魔法少女の変身シーンを彷彿とさせたり、それぞれ日本のアニメオマージュも入ってたりして、観ていて面白いです。
ポンポさんの喋る台詞もかなり印象深いですね。
特に「泣ける映画で泣かすより、B級映画で泣かせる方が凄いでしょ?」といった台詞はなかなかグッと来ました。
また、映画業界の楽しさだけでなく、大変さもちゃんと映していたのもポイントが高いです。
主人公を演じた清水尋也の声質はどこか畠中祐っぽさを感じたりもしました。
正直前半までは「絶対これは傑作だ!」と思ってました。
...ただ、後半のストーリー展開ととあるキャラクターの声の演技でわりとガッカリさせられました。
ネタバレについてです。
銀行マンをやっているジーンのハイスクール時代の同級生がいますが、ジーンが監督務める映画が危機に陥った時に救おうとします。そのなかで融資を募るためにプレゼンを行うのですが、そのプレゼン方法が割りと引きました...
だって、その社内のプレゼンを全世界に配信させてるんですよ!?あれはクラウドファンディングだけの結果見せればいいから配信する必要なんて無かったと思うし、機密情報漏洩も甚だしいです(^_^;)
また、終盤でジーンが編集作業の大詰めで何十時間も一人で作業してるんです。
ハリウッド映画なのに日本映画くらいの劣悪さな気がするのですが...
あと、主人公が「映画を作るために何かを捨てなければならない」といった感じの思考を働くのですが、そのために体を壊しても構わないといった姿勢に複雑な心境で観てました。
何故なら、自分が過去にそれと同じような事をした後に意欲を失ってしまったからです。
声の演技でガッカリさせられたのは新人女優のナタリーを演じた大谷凜香さん。
元々女優で声の演技初挑戦を加味して観ても、正直キャラクターと声が分離していたと言わざるを得ないです。
今は声優が本業じゃない方でも上手い方は多くいます。なので、他の上手い方にやらせるか、彼女にもう少し演技指導をするべきだったと思います。
好きじゃない部分もありましたが、総合で考えると好きな方の映画です。
Filmarks等のレビューサイトでも評価高いので、好きな人は多いと思います。
ただ、個人的には絶賛するほどではありません。