ワンダーウォール 劇場版のレビュー・感想・評価
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学生自治寮と大学側の溝はどうやっても埋まらない。
京大吉田寮の話をモチーフに描かれている。
木造最古の寮だが、老朽化などを理由に解体したい大学側(本音としては大学の講義棟を建てて、研究費を国から得たい)と、汚くて古くて雑多だが自分たちで運営してそのスピリットを残したい学生側の対立。
現代にこんな前時代的な雰囲気の寮があるのはびっくりでもあるが、そこにはそれぞれの「居場所」となっている。どんな人でも受け入れられるようなそんな寮は、経済中心主義の大人には理解できないだろう。
でも、それをすべて排除するのではなく、それぞれの声に耳を傾けながら、どうやったらそれぞれの尊厳を保てるのか、生きやすさを保てるのか、を見出すべきだろう。
一歩的な強制はどの場面であっても溝しか生まない。
ガンバレ熱い駄々っ子たち
世界では人々を隔てる壁はなくなってきているイメージなのだが、現実には逆の状況が身近なところでも起きていることを告発する作品。旧い大学自治寮の存続運動をめぐる若者達の姿を、打ち込む者あり、冷める者もあり、モテるためにやる気になる者あり、と青春期の熱情を交えながらごく自然に描いていて好感が持てた。自由を標榜してきた印象の、大きな国立大学でさえ資本主義の波に逆らうことができない現実は悲しすぎる。私を含む多くの観客の声は、ラストの成海さん演じる女性の励ましのメッセージに込められていると思った。
とてもよかった
70年代の学生の生活に強い憧れがあるので、現代でもそのようなむさ苦しい生活があることに驚いた。冒頭、京都の観光ガイドのような場面展開で始まるので苦手なやつだと思ったら、逆だった。あんな寮に暮らしてみたいのだけど、実際家賃がタダに近いような額だろうし、それで居座っているのも自分本位な感じがする。自分たちでお金を積み立てるとかOBにカンパをしてもらうとか、もしくは建築科の生徒に設計してもらってDIYで改修補強工事をするなどすれば交渉の余地もあるのではないだろうか。音楽が素晴らしく開放的で、寮の雰囲気に合っていた。
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