劇場公開日 2019年12月13日

2人のローマ教皇のレビュー・感想・評価

全47件中、41~47件目を表示

4.52人のローマ教皇

2019年12月18日
iPhoneアプリから投稿

内容は他のレビューワーの方が書いてくださったので、私は別の視点からこの作品について語ろうと思う。

この作品で面白いと感じた点に「言語が沢山登場する」ことを挙げたい。フランシスコ教皇の母語であるスペイン語や、ベネディクト前教皇の母語であるドイツ語、英語や、死語と言われているラテン語まで登場している。ただ言語が沢山出てきているというだけではなく、世界中から集まった枢機卿たちの会話に注目していただきたい。たくさんの言語を持つ人が集まる中、「○○さん、久しぶり!」といった挨拶に特に注目だ。枢機卿たちは相手の話す言語に合わせて挨拶をしていた。たとえその言語で多くは話せなくても、挨拶程度は相手の言語で話していると思った。相手を想う"気づかい"の1つではないか。保守的とも呼ばれるローマ・カトリック教会であるが、言語に関しては、とてもグローバルだと感じたワンシーンであった。

コメントする 2件)
共感した! 9件)
エバ

4.0ローマ教皇が身近な存在になる好作

2019年12月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

これは嬉しい誤算。地味そうなので眠くなるのではと心配したが、ある意味エンターテイメント、インパクトの強い作品だった。まったく興味がなかったローマ教皇が急に身近な存在になった。好きな作品になった。

2005年にローマ教皇となったベネディクト16世(アンソニー・ホプキンス)と彼の後を継ぐことになるアルゼンチンのベルゴリオ枢機卿(ジョナサン・プライス)の対峙。いわゆる保守派と革新派で、考え方はまったく違ったが、対話を繰り返す中でお互いの内面を知り、通じ合うこととなる。

ベルゴリオの回想シーンが随所に挿入され、この作品をダイナミックなものにした。リベラルで悟りを開いたようなベルゴリオだったが、過去に犯した過ちに苦しむ一人間であった。

10億人以上の信徒をもつというカトリック教会。その頂点に立つローマ教皇とて我々と同じ人間だったんだなあ。めちゃくちゃ勉強になるし、温かい気分にも浸れる好作だ。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
エロくそチキン

5.0リーダーにも心の闇はある

2019年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

世界中に12億人以上の信者がいるローマ教皇。その前任者だったベネディクト16世と現職のフランシスコ、その二人の心の闇を扱った映画。宗教家だけでなく、会社社長や教師など全てのリーダーと呼ばれる人に関わる問題として大変興味深く見させていただきました。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
PTL

3.5重厚な2人芝居にご満悦

2019年12月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

宗教を扱う映画なので、映画をみる人間の宗教に対するプライオリティが作品の評価を分けるのかなとも思ったりしましたが、私は純粋に2人の人間の友情物語を楽しませて頂きました。いろいろネットフリックス作品には批判がありますが、私はこうして劇場でしっかりみられたらネットフリックス ウェルカムです。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ちゆう

5.0NetFlix作品では文句なし!主役の演技が圧巻

2019年12月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

知的

NetFlix作品を映画館で観るのはローマ以来。アイリッシュマンにしようかマリッジストーリーにしようかと思ったが、時間も丁度いい2人のローマ教皇にしたが大正解!文句なし素晴らしい映画だった。アンソニー・ホプキンスとジョナサンプライスの保守的な教皇と大衆に寄り添う教皇のやり取り、演技が見応えあった。教皇卿やコンクラーべ、アルゼンチン近代史も知る事が出来勉強にもなる。アンソニー・ホプキンスとジョナサンプライスの演技だけでも見応えがあり観て良かった。脚本も素晴らしいし、エンディングシーンの仲良くサッカーW杯をピザ食べながら観戦も後味がいい。Netflix作品ではNo.1。色々考えさせられる映画でもありお奨めしたい。NetFlix作品はあまり評価しないが、この作品はアンソニー・ホプキンス、ジョナサンプライスの演技が文句なしで満点です。

コメントする (0件)
共感した! 8件)
ナベウーロンティー

5.0信仰のジレンマ、無力感、告解、沈黙、そして…その先

2019年12月15日
iPhoneアプリから投稿

多分、あまり注目されてない映画のように思うが、予想以上、期待以上の物語だった。
僕の表現力不足で、上手いキャッチも見つからないが、まず、ベネディクト教皇を演じたアンソニー・ホプキンスと、ホルヘ・マリオ枢機卿(今のフランシスコ 教皇)を演じたジョナサン・プライスの演技も光る。

物語は、先般、来日したフランシスコ教皇が枢機卿の際の、ベネディクト教皇との対話が中心だ。
そのなかで、2人の信仰のジレンマや、政治との関わりのなかでの無力感、告解、神の沈黙、疑問、相対主義の台頭、そして、赦しと新たな大きな一歩が綴られる。

フランシスコ教皇は、日本では、広島と長崎での祈り、核兵器の根絶や原発の見直しを訴えたことが主なニュースとして取り上げられたが、僕は、来日より前の難民の日に向けた、先進武器輸出国を強く非難する声明が、的を得て強烈な印象だった。
大量の武器を作って輸出し、紛争を後押しして、紛争地で多くの命が失われ、そして、多くの難民が生まれるのに、その難民の受け入れを先進武器輸出国は一体拒否することができるのかという強い非難の内容だったように思う。

2人の対話からは、ローマ教皇も、普通の人と同様に、好きなことや趣味があり、健康や日常の周りの人々の作業にも気を配る一方、職責を全うするために様々な葛藤や苦悩を抱え、その感じ方は、僕達のそれとほぼ一緒ではないのかということが感じ取れる。

しかし、やはり、自分自身にも信仰のジレンマがあることや、世の中が変化していくなかで教会はどうあるべきか逡巡する姿、神父たちの小児愛を巡る教会としての不適切な対応、トランスジェンダーなど新しい価値観の挑戦、相対主義の台頭による影響、そして、政治とどう向き合い、どのように政治に影響を与えていくのか、やはり葛藤は大きい。

ベネディクト教皇は元ナチ呼ばわりされ、ホルヘ・マリオ枢機卿は右派軍事政権に加担したとして批判も受けていた。
一方で、ベネディクト教皇はルールを重んじる保守派、ホルヘ・マリオ枢機卿は改革派として対象的に語られらる場面もある。

しかし、2人きりの対話を通じて共通の価値観を見出そうとする姿を見ると、今僕達に一番足りないと思うものを感じるし、神と人間の物語の描かれたシスティーナ礼拝堂での2人のやりとりは、ここにまた、ひとつ、神と人間の物語が一場面として追加されるのだと期待させられる。

神は実は沈黙などしていなかったのではないか。

システィーナ礼拝堂に一瞬ジャズが流れる。
システィーナ礼拝堂にミケランジェロが描いた神と人間の物語は、本当に多くの場面が表されていて、異なる個性的な音が融合して躍動するジャズのようなものだと思わせる。

そして、ベネディクト教皇とホルヘ・マリオ枢機卿はアルゼンチン・タンゴを踊る。
ビートルズだって好きだ。
音楽が時代とともに変遷したように、宗教も変わって構わないのだ。
多くの価値観が生まれ、対立を乗り越え調和が生まれるのは必然なのだと考えさせられる。

良きものは残し、他を変化させることは可能なのだ。

こうした2人の教皇の引退と就任に至るまでの背景にあった対話の物語を観ると、改めて、カトリックが相対主義を乗り越え、魅力的な宗教に脱皮しようとしているように感じるのは僕だけではないように思う。

僕達のその先は、悲観するようなことばかりではないはずだ。

「流す涙は嬉し涙が良い」
フランシスコ 教皇の言葉だ。

※再び、Netflixにやられた感があった。

コメントする (0件)
共感した! 16件)
ワンコ

4.0最強お爺ちゃんトークムービー

2019年12月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

お爺ちゃんトークムービーの傑作、ここに誕生である。
Netflix作品が席巻した第77回ゴールデングローブ賞で4部門ノミネート。ジョナサン・プライスが主演男優賞でアンソニー・ホプキンスが助演男優賞候補なのに戦略を感じる...(まあ既報通りなんだけど)。
2012年、ローマ教皇ベネディクト16世退位直前のローマで、当時の教皇ベネディクト16世と現在の教皇、最近来日したことでもおなじみ教皇フランシスコ(ベルゴリオ枢機卿)の対話劇。
実際にこんなに密なやり取りがあったかといえばそれはフィクションであろうが、脚本は実際に彼らが述べた言葉をもとに構成されているそうだ。
2012年といえば、ベネディクト16世の机から機密文書が持ち出され暴露された「バチリークス・スキャンダル」の年。それ以前に発覚した性的虐待問題とともに教会大揺れの年である。心なしかお疲れのご様子のベネディクト16世の元に、偶然と必然が重なってベルゴリオ枢機卿がやってくる...。
アンソニー・ホプキンスが演じるとガッチガチの保守派であるベネディクト16世も、硬いながらもキュートなおじいちゃんに見えるから面白いものだ。ジョナサン・プライス演じるベルゴリオ枢機卿は最初から飄々とした人気者の体で登場するが、彼の苦悩の深さが見どころでもある。
ダンシング・クイーンを口笛で吹くベルゴリオ枢機卿。辞表を受け取らせたいベルゴリオ枢機卿と受け取らないベネディクト16世のお爺ちゃんらしい丁々発止(ヘリコプターでのやり取りが特におかしい)。ピアノを弾くベネディクト16世。ビートルズについてのおかしなやり取り。スポーツバーでサッカーで盛り上がるベルゴリオ枢機卿。基本的に、彼らも人間なのね...という緩やかな会話のテンポで物語は進む。お互いに「妥協と変化」を持ち出したり、「枢機卿の2割しか分からない」ラテン語で会話を始めたり、機知に富んでいる。
ふたりの宗教的価値観の対立から始まる対話は、途中緩み、中盤で退位を打ち明けるベネディクト16世に、ベルゴリオ枢機卿が語る過去、そして教皇の告白でまた緊張が入る。緩急がよい。そしてアンソニー・ホプキンスがピザの前でお祈りを続けるため、ピザを取れないジョナサン・プライスの微笑ましさよ...。
カトリックには全く詳しくないけれど、教皇が背負うものとか、信じる心とか、痛みを伴う過去とか。薄らと感じ取れた。彼らを徹底的に最初から最後まで、特別な者でなく「ひとりの人間」として描く。ベネディクト16世の苦悩と希望、ベルゴリオ枢機卿の悔恨と希望。互いが互いを受容する光景が印象的だった。
かなりの部分、2人のお爺ちゃんの対話で構成されるので、若干だれる部分もあるものの、それでもアンソニー・ホプキンスとジョナサン・プライスの表情とやり取りに魅せられる。若者には出せぬものがありますね...。
そしてラスト・シーンが最高に微笑ましいので、ラストまでじっくりご覧ください。
それにしてもこの映画の邦題、法王という呼称から変わる前から「2人のローマ教皇」だったと思うんだけど...先見の明...?

コメントする (0件)
共感した! 4件)
andhyphen