「何も共感できない」Red あこさんの映画レビュー(感想・評価)
何も共感できない
私は建築学科を出て、建築設計をしている女です。
原作は読んでいません。
・もっとリアリティが欲しい
主人公たちが建築やインテリア設計をしていて、建築の要素がストーリーの中でとても大事な部分であるのに、いろいろと「?」と思うところが満載で、ストーリーに気持ちが乗らなかった。
妻夫木さん、夏帆さんが模型を作るシーンとか、家のできた模型があんまりカッコよくないところとか、鞍田の「あんな線引くなんて…」のセリフとか、「ないなー」ってことの連続だった。
極め付けが、ストーリーの鍵になってる谷崎潤一郎の陰翳礼讃で、私も好きな本だが、新書版や文庫版も出てる廃盤ではない本。鞍田が何で古い版でわざわざ読んでるか謎だし、その本を形見みたいに渡そうとさるのも全然理解できない。もっと、建築設計業界にヒアリングしたり、登場するデザインは建築事務所に協力仰いで、もっとかっこいいデザインにしてくれないとリアリティなさすぎる。
・共感できない
夫(間宮)も姑もそんなにひどくないし、なぜあんなに主人公が切羽詰まった感じになるのか理解できない。
正直、私も建築業界で働いていて、娘もいるけれど、あんなに何日も家を空けて、飲み会もいって、姑にお世話になりながら、夫からの「帰ってきてよ」の電話にあんなにヒステリックにこの世の終わりみたいになる意味がわからない。その後、タクシー呼ぶでも、レンタカー探すでもなく、雪の中歩き出してるのも謎。
雪の中の嫌いなシーンが撮りたかったんだろうな〜という感じで、リアリティ後回しで綺麗な画を優先してる感じが強い。
・セックスシーンがなんとも
他のレビュー記事で、女性目線のセックスシーンとあったので、期待してみたが、今一つ。。。
もっと、夫(間宮)とは感じられない人として認められている愛に満ちたHシーンがみたかった。鞍田からの「声聞かせてよ」の攻めも、何だかオラオラ系で好きではなかった。もっと本当のコミュニケーションみたいな一方通行でない愛のシーンだったら、鞍田に走る主人公にも少しは共感できたと思う。
最近は大根演技と脚本が臭くて嫌で、海外映画や韓国映画やドラマばかりみていて、久しぶりに期待してみたけど、こんな感じか〜っと思って、また日本映画から遠ざかってしまう。
もっと、背景まで作り込んだ気合の入ったものが見たい。