「どれだけ惚れて死んでいけるのか」Red mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
どれだけ惚れて死んでいけるのか
内容は何も知らずに観賞。
映画のジャケット(サムネイル)、タイトル、赤い色合いからして、サスペンス調のドラマだと思っていました。主演の二人は共犯者か?なのかと。全然違っておりました。暗いタッチでしたが、耽美的な文学の匂いのする作品でした。そんなわけで、原作も読んでおりません。
夫は商社マンで、子宝にも恵まれ、何一つ不自由のない裕福な生活をしていると思われる主婦、塔子。10年前の恋人、鞍田に出逢い、再び心に火が付いてしまう。ストーリーだけ聞くと、「単なる不倫ドラマじゃん」ということになってしまうのですが、理性や常識やモラルでは割り切れないものを描いたんだろうなあと思いました。
結婚生活の居心地の悪い感じは描かれていますが、塔子は最初は、自分が「不満を抱いて生きている」とはそれほど自覚していなかったかも。鞍田に出逢って、身も心も潤っていき、水を得た魚(というのも変だが)のように、生き生きし始め、生きている実感を掴んだようにも思えます。
夏帆は好きな女優さんです。すごく可愛いかなと思うと、ぶさいくに見えたり、妙にエロかったり。眼で物を言うようなまなざし。今回も好演でした。妻夫木君は頼りがいのある家族のお兄さん的存在、正義に燃える熱い涙が似合う男、みたいなイメージを勝手に抱いていたので、クールで口数の少ない鞍田の役にはちょっとびっくり。でも、タバコ吸いながら、雪の中、塔子を待っている姿はそれだけで、かっこいいなぁ。
あまりエロティックじゃないという感じ方が多いようですが、塔子が鞍田の姿を見かけて、追いかけていくところは少しドキドキ。そして、壁ドンで、いきなり、むさぼりあうな、長いキッス。しばらくして、鞍田が「久しぶりだね」だなんて、自分には十分、刺激的でした。^^;
結末は残酷で、現実的にはありえないぐらい悲しい(子供にとっては特に)けれど、あれは二人の「愛の決着」ではなく、一人の女性がある意味「自らの魂を解放して」、人生を歩み始めるという意味が含まれているのか。子供が「ママ、ママ」と何度も叫んでいるのに、怖い顔して、顔を横に振った塔子。安易に共感はできないけれど、彼女はこれからどう生きるのか。
塔子の母親は「人間、どれだけ惚れて死んでいけるのかじゃないの。」と言ったけれど、改めて「惚れる」って、どういうことなのかと考えてしまいました。
コメントありがとうございます。
原作読まれたのですか!!凄いですね。
私もラストのことチラッと検索したら映画と違うって、読みました。
ラストの車を運転して行く夏帆の横の鞍田はもう死にかけているみたいでしたね。なんか友人は、夏帆のお葬式に娘と夫が立ってるのが、葬式シーンだと言うんだけれど、私にはそうは見えなかった・・・などなど。
思い入れのある映画だったので、貴重なお時間を割いて頂きまして、
恐縮です。「ある男」は配信で観ました。
映画館には中々行けません。
それではまたね。
「別れる決心」にお返事ありがとうございます。
かなりの映画好きとお見受けしました。私もです。
この映画の妻夫木君、いつもの優しい頼れるお兄ちゃんとは
別人でしたね。
前から好きだったんですが、この映画はセクシーで絵になりますよね。
「ある男」を観たのですが、写し方が短足に見えてそこだけ残念でした。
夏帆の生き方は母親としてはNO、ですけれど、
「どれだけ惚れて死んでいけるのか」
実母の言った、この言葉は刺さりましたね。