劇場公開日 2020年2月21日

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「美しさに酔う」Red eltomoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5美しさに酔う

2020年3月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

三島有紀子監督の映画は、五感に訴える映画だ。絶対映画館で、大きなスクリーンで見るのが良い。おいしそうなコーヒーが入る音、布をシャキシャキ切る音、人生の苦労を感じさせる階段の段差、少女のふわふわ感を感じる宙を舞う白い布。
今回も、冒頭からひりひりと突き刺すような吹雪の中、行き場を探して舞っているような赤い布が目に入り、悩ましげな塔子(夏帆)の表情に、ジェフ・バックレイの「ハレルヤ」がかぶさるように流れる。生々しく、しみいる歌声。「ハレルヤ~♪」と歓喜の言葉を吐きながら、なぜか苦しそうにも聞こえる歌声。これから始まる物語を予見しているようだった。

女性は、人生の中で様々な選択を強いられる。男性よりも,その選択を、周りから、世間から批判されることが多いように思う。だから、選択は、時に無難な方に流れ、自分を見失いがちになる。そしてある時、選択の間違いに気づく。軌道修正するかしないか。これもまた選択だ。

何かを好きになることは、人間に与えられた最高の能力なのかもしれない。そして、それは、人生の隅々まで、影響を及ぼす。そんなことを思った映画だった。

eltomo