「もしかして・・・女として」Red Hime-taroさんの映画レビュー(感想・評価)
もしかして・・・女として
賛否両論渦巻くこの作品ですが、映画を見てからもう数日も経つのに、頭から離れないシーンがあるので一言だけ。
ラストで塔子が泣いてすがる我が娘に、その目をしっかり見据え、小さく首を横に振るシーンがありました。
普通に見ると「身勝手な母といたいけな娘の別れのシーン」ですが、私には塔子の覚悟とともに、同じ女として生きていく娘に対して、「同じ女」として、対峙しているように見えてなりませんでした。
自分の母親(余貴美子さんが好演!)から言われた言葉を無言のままに伝えているような、そんな気迫を感じました。
そこには「母と娘」ではなく「同じ女同士」の無言の会話があったような気がしてならないのです。
この娘がこれから、どんな風に生きていくにせよ、「女として、人間として、自分がどう生きていくのか」を、一般的な常識ではなく、自分自身で考え、選択せざるをえない人生となっていくのだろうなあ、と。あんなお母さんを持ったばっかりに(笑)!
塔子は母親としては失格かもしれませんが、もしも塔子が、自分の気持ちを押し殺したまま、あの豪邸に住まい続けて行けば、娘もまた同じように、「本当の自分」を押し殺して生きる道を歩むのかもしれません。
あの、娘を見つめた目は「あなたも自分の人生をしっかり生きて!」という、母親からの最大のメッセージではなかったかと、そう思えて仕方ないのです。
もしこれが、私の勝手な解釈ではなく、監督の伝えたい想いが、あの1秒足らずに込められているとしたら・・・そしてそれを、実に見事に演じきったのだとしたら・・・三島監督と夏帆さんに脱帽せざるを得ない。
と言うわけで、深読みかもしれませんが、心に残る映画だったので、満点を!