劇場公開日 2021年2月20日

  • 予告編を見る

「死に方の理想とは?」痛くない死に方 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0死に方の理想とは?

2023年4月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

在宅で終末期の家族を看取る。
勉強になる知識がいくつもありました。
前半、在宅医の柄本佑が看取る肺癌末期の患者の死は
壮絶で見ていて苦しくなりました。
そこまで病院を拒絶するには、家族の死で相当に嫌な経験が
あったのでしょう。
柄本佑もショックを受けて先輩の奥田瑛二の指導を受けるようになり、
「人間を好きになれ!!」とアドバイスされて変わって行きます。

後半に出てくる肝臓癌の患者の宇崎竜童。
彼は死もネタにして、川柳をひねるユーモア溢れる人。
グッと画面が明るくなります。

この映画はとても勉強になる知識や教えがたくさんありました。

寝たきり患者への点滴。
……………痰や咳が多くなり、溺れたようになる。

私も母親が急性肺炎で在宅で看取りました。
在宅医の先生は当然のように、有無を言わせず点滴をしました。
そして2〜3日後には当然のように、痰吸引の機械のレンタルです。
ほぼ24時間の点滴の結果が痰が絡むのだ・・・と、はじめて知りました。
そして次々と電動ベッド、酸素吸入器を勧められました。

しかし母親は酸素もベッドも借りる前に闘病5日間で亡くなって
しまったのです。

在宅医療がすべて素晴らしい・・・とばかりは言えないと思います。
在宅医療でも収益を考える医師は多いと思います。

在宅で患者は住み慣れた家と優しい気心の知れた家族に看護される。
患者は確かに良いと思います。
しかし看護する家族は、食事、洗濯、買い物、掃除そしてさらに
入浴の介助と24時間、介護に振り回されるとしたら、
幾ら愛する家族のためでも体力的にキツくて辛いです。

だから入浴サービスや様々な介護サービスを併用する訳ですが、
人間関係や経費含めて簡単な事ではありません。
家族少なくても一人は係りっきりになる必要があります。

義兄は膵臓癌で病院で亡くなりました。
5ヶ月の闘病の最後の2ヶ月はホスピスでした。

身近で見ていてそんなに悪くなかったです。
静かで綺麗な最後の2ヶ月でした。
妻に下の世話を受けることもなく。
チューブにつながれることもなく、
個室で完全看護で至れり尽くせりでした。
もちろん体調は日々悪化していきましたが、痛み止めを少しづつ強めていき
最後は眠るように亡くなりました。

ガン保険に入っていたらホスピスも悪くないと思います。
(私はガン保険に入ってませんけど、)
義兄は良い死に方をしたと思いました。
妻は毎日見舞いに行き、食べられそうな食べ物を運びましたが、
そんなに病院で死ぬことが、悪いとか、不幸だとは思いません。
(義兄は家に帰った時に緊急時の不安を訴えました。)

宇崎竜童さんの死に様は理想的でしたが、医師と良好な関係を築けたのも、
本人と医師(柄本佑)が素晴らしいからです。
木遣りで葬られるなんて格好良過ぎです。

在宅で亡くなっても理想的に行かない場合も当然あると思います。

もう一つ勉強になったのは、
《救急車、在宅看取りの、夢を消す》
この言葉、しっかり肝に銘じて覚えておきます。

琥珀糖
レントさんのコメント
2023年6月24日

コメントありがとうございます。本作のモデルとなったお医者さんの大病院批判にちょっと引っ張られたレビューになってしまいました。
琥珀糖さんのおっしゃる通り、在宅か病院かと一義的に考えるのではなく、信頼できるお医者さんに看取ってもらうのが一番大切ですよね。
実体験に基づくレビューとても参考になりました。

レント
レントさんのコメント
2023年6月24日

こんばんは。おっしゃる通り、在宅にしろ病院にしろ患者と誠実にお向き合ってくれる医師のもとで死にたいと思いました。

レント
ゆり。さんのコメント
2023年4月25日

琥珀糖さん、突然のことで考える時間も無かったでしょうし、お辛らかったでしょうね。私もこれから直面する問題です。

ゆり。