劇場公開日 2020年2月28日

  • 予告編を見る

「物語を綴る意味」スケアリーストーリーズ 怖い本 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0物語を綴る意味

2020年3月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ホラーの主人公になれるんですか!?
いいんですか!?

なんて喜ぶ間もなく、毎晩毎晩ハイスピードで消されていく少年少女たち。
ほどよく怖くて観やすい、楽しい映画だった。
冒頭の雰囲気から「ジュブナイルホラーじゃないか〜!」と歓喜していたけれど、そう呼ぶには友情と愛情が薄めだったかな。

幻覚や夢ではなく、物理的で実体のある恐怖現象を起こしてくれることが嬉しい。
赤い部屋のメタボ女のビジュアルはひたすらに最高だし、意味不明で気持ち悪いし、生理的にしんどいシーンもきちんと味わえた。
地味にウンチ袋が酷すぎて笑った。

最初の犠牲者のやられ方が一番好き。
屈辱的で息苦しいことこの上ない。さらっと匂わせる連鎖。胸キュンしかない。もちろん意識は残っているんだよね。しんどいねえ苦しいねえ!
ベッドの下に隠れるやつも好き。追いかけっこと隠れんぼはいつどこでも絶対に怖い。

隅々まで綺麗に整ったストーリー。
各キャラクターの恐怖の対象はコトが起きる前にさりげなく伝えられ、象徴的なシーンがそれぞれに用意されている。
「物語を綴る」というテーマが最後までしっかりと貫かれ、終止符の打ち方もパーフェクト。

しかしなんだかあんまりにも優等生的にまとまっていて、若干の物足りなさを感じてしまったのも事実。
贅沢でごめんね。
圧倒的理不尽に力づくでぶん殴られるくらいのパワーを持ったホラーが好きなの。

怖い物語の主人公、なりたいな。
ファイナルガールになりたいな。
恐れ慄いて、次々減っていく人たちに嘆いて、恐怖の種を図書館で調べて回って、ついでに人肉を食べて、過去のトラウマを乗り越えて、絶対守ってくれるイケメンと生き残りたいな。ラモンめちゃくちゃ美青年だったな。
私の番はいつ来るのかな。

KinA