「43歳の誕生日前日にこれをチョイスしたオッサンが語る。(激しくネタバレ)」2分の1の魔法 侍味さんの映画レビュー(感想・評価)
43歳の誕生日前日にこれをチョイスしたオッサンが語る。(激しくネタバレ)
予告編でガンガン流れていた例の曲はエンドロールでちょろっと流れます。そこまで雰囲気壊さないので良いかと。
さて、この映画。
ピータージャクソンが撮ると本編9時間、外伝5時間とかかかりそうな映画を、うまくコンパクトにまとめた作品となっている。
始まりは亡き父を思い、色々プライベート、友人関係、兄弟関係はうまくいかない少年が、徐々に成長する話かと思いきや、裏主人公の兄貴が良い。
はたから見て、問題児としか思われて煙たがられていた兄が、実は弟思いで、他人に対して理解があり、思いやりがあるものも不器用なだけだったという話は、他のピクサーではなかなか描れなかった部分で、最後の気付きのシーンで、43歳になるオッさんの涙腺崩壊。
隣にいた連れも軽く引くくらい泣いてしまった。
そうだよそうだよ、みんな分かってくれていないんだよ!!!
※僕は何かしら抱えているらしい…
愛車を西部劇風のテーマ「大きな犠牲」がかかる瞬間は最高に良い。途中パンクして結果馳せる駿馬の如く空高く舞い上がる訳だが、怒りのデスロードですら泣かなかったのに、この愛車の自己犠牲(というか生贄)のシーンは泣けた!
※あれ?歳のせいか涙腺緩くなったかな…
長い旅を終え、2人がドラゴンと対峙するのだが、このドラゴン、吠える時に軽く学校のチャイムが鳴るのも憎いし、学校のマスコットキャラのほのぼの顔があそこに収まるデザインも秀逸。恐ろしいシーンの筈なのに、素晴らしいなと感心する限り。
数多くの難関を乗り越え、魔法使いとして開花した主人公は、望んでいた父との再会を兄に譲るわけだが、このまま父と話せなかった演出が僕は大好きで、ご飯3杯はいける。
瓦礫の隙間から遠巻きに父の面影を見届けるあのシーンの神々しさよ。
消えてしまった父を見届けて、兄は弟を父からの伝言だと抱きしめる。
ベストハグオブザイヤー!
43歳のおじさんもう無理です。無理です。卑怯です。
こうなるって大体わかっていたけど、わかっていたけど、無理です。
43歳の誕生日前日、つまり42歳の最後の日にこの映画で涙の総決算。
この歳でも感情が揺さぶられる人間で良かった。
さて、この映画、裏テーマでケンタウルスおじさんが新しく家庭に馴染むってのもあるのだけど、それに絡んで道中で人文をした婦警2人のうち1人が「私も彼女に受け入れられる云々」発言があり、レズビアンだという事で、数カ国で宗教上上映禁止になったそうで。
今の日本は色々抱えている問題はあるけれど、この映画を映画館で観る事ができる我々はまだ少しだけ幸せなのかも知れない。
p.s. 僕の好きなピクサーのシーンはカールじいさんのオープニングです。