「成長する美しさ」2分の1の魔法 KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
成長する美しさ
ピクサーは名作が多い事もあって自然と新作には毎回期待値が高く鑑賞してしまうが、この作品は非常に美しい作品だなぁってのが率直な感想。
ディズニー、ディズニーピクサー作品のファンである為全て見てきてるがこの作品はあまり続編を構想せずに作られたように感じる。その為非常に中身が詰まった作品ではある。
タイトルでもある「2分の1」。これがもちろんストーリーのキーとなるのだが、僕はこの「2分の1」を半人前だったり、未熟ということと重ね合わせながら途中から観ることとなり、そういった部分と重ね合わせながら観てるととても心躍らせれながら観賞する事ができた。
誰もが皆一人前になる事を目指し日々人生を過ごしていくわけだが、多くの人は未熟であり半人前である。
時には未熟がある故に、人に迷惑をかけたり、恥じる事もあるだろう。ただ未熟な部分があるから人は成長し続ける事ができるのであって、その成長はとても美しいものでありかけがえのない大切なものである。
主人公のイアンとバーリーは対照的な性格の持ち主ではあるが共にまだまだ未熟である。
成長過程もスピードももちろん違うが、2人で旅に出る事で互いの存在の大切さを改めて実感し、互いを尊重し合う事でお互い成長し合う。その成長する描写がとても美しい。
この作品の世界では便利な社会を追求し実現する事で魔法を失ってるわけだが、これは現実世界でも置き換える事はいくらでもあるだろう。
あくまで僕個人の見方としてはこの魔法もまた成長に置き換えて観ると楽しむことができた。
現実社会でも便利で且つ効率的な社会を求めることはもちろん素晴らしい社会である。ただそれが故に多くの人々は効率的且つ模範的なレールの上で過ごす事を求め過ぎ、そのレールの上だけでは各々の成長や個性的な成長というものを感じとりにくくなってるのかもしれない。
そして同時に失敗をより少なく過ごせるようになっているのであろう。
人は失敗するからそこから学び成長し、未熟だからこそ成長するのである。
この成長過程というものをもっと体感し、そして喜びに変える事の美しさ、大切さをこの作品を見て改めて感じさせてくれた。
比較的分かりやすく見やすい作品の為子ども達が楽しめるのはもちろんだが、ピクサーらしく大人も楽しめる作品でもあった。