「キャスティングがよい、ひたすらに絵を描く北斎」HOKUSAI waisighさんの映画レビュー(感想・評価)
キャスティングがよい、ひたすらに絵を描く北斎
腕は良いものの食うことすらままならない生活を送っていた北斎に、ある日、蔦屋重三郎が目を付ける。重三郎の後押しによって唯一無二の独創性を手に入れ、その才能を開花させる。そんな中、北斎の盟友で柳亭種彦が、幕府の禁に触れ討たれたという報せが入る。怒りに打ち震える北斎が描いた命がけの作品とは・・・?というストーリー。
全4章で柳楽優弥と田中泯が葛飾北斎を演じる。脇を固めるキャストも阿部寛、永山瑛太など主演級が集まり、しっかりと深みを増してくれる。田中泯の迫力は素晴らしい。
ただひたすらに描く、というところに北斎の本質があると感じさせられるほど、描いて描いて描きまくる。そこに北斎そのものがある、というメッセージだと自分は感じた。
時代に抗って自由なものを創り出すことの大切さは「ただ描く」北斎にぴったりのテーマだったと思う。
ただ、全4章は少し多かったかも。特に第一、ニ章はやや冗長な部分もある。柳楽優弥の演技は少しやり過ぎてると思う人もいるだろう。
細かい点がちょくちょく引っかかる。個人的に気になったのは柳亭種彦がやや若すぎる点。30-40代で出会ったとしても晩年の北斎と交流があったにしては永山瑛太は若すぎる。
冒頭町のど真ん中で本燃やすのは当時の江戸ではありえなさそうだし、青の絵の具をかぶったのもよくわからない。
ただ、シンプルながら北斎の絵に引っ張られて良い作品だったと思う。
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