「私は前半部分のほうが印象深い」HOKUSAI あおさんの映画レビュー(感想・評価)
私は前半部分のほうが印象深い
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私は、青年パートの方が印象に残っている。派手な喜多川歌麿や予想外に若い東洲斎写楽らとのやりとりにより刺激を受け、また現代のプロデューサーにあたる蔦屋重三郎の後押しによって、開眼していく青年北斎。その過程が見ていて面白かった。まあこのパートは史実ではなく創作による部分が大きいとの事だが、例えば 歌麿に「お前の画には色気がない」と指摘され、悔しい思いをしながらも画を探求していく所とか、道楽で描いているという写楽に、「そんなもの画か!」と北斎が絵師としてのプライドから感情をあらわにし殴りかかるシーンとか、蔦屋に一旦は見限られたものの、刺激の中で変わったのちの北斎が再び蔦屋に認められるシーンとか。好きだなぁ。あの時代、この映画に登場するようないろんな浮世絵師が切磋琢磨したからこそ、たくさんの豊かな絵が描かれたんだと思うと、その多様性の重要性を感じる。 老年パートはベロ藍を初めて手にした北斎=田中の雨の中のスローモーションシーン。体全体でベロ藍を「感じる」といった舞が印象深かった。また、田中が北斎(の自画像)に似ていて、ホントにこういう顔をしていたのかもと思った。
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