ジョジョ・ラビットのレビュー・感想・評価
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2019年の反戦映画
ナチスとホロコーストを扱う映画史上、一番ポップで可愛い作品。
主人公ジョジョにフォーカスすることでその向こうに広がるナチスの非人道的な残酷さ、ひいては排他主義的なヘイトがまかり通る現代社会をも浮き彫りにするという構成は見事だし、「恐ろしい存在」であるはずのナチスやヒトラーを滑稽と茶化すことで排他主義や人種的な優生思想の間抜けさを揶揄するという構成は、さすがタイカ・ワイティティ監督という感じ。
一方でこちらがコメディーだと油断していると、いきなりドキッとさせられるシーンをぶち込んでくるあたりのセンスや、それら108分とイマドキの映画としてはかなりコンパクトにまとめているのも好感が持てる。
色んな意味で、2020年の映画になっていると思った。
ウサギのフワフワからの落差よ
久々に映画見て嗚咽するほど泣いた。コメディタッチの反戦ものだよね〜...
アーティスティックで愛溢れる映画
スカーレットヨハンソンマジで好き❤️
仕事早退、劇場直行。二本立て一本目。 主役の子役が愛らしい。敗戦直...
トータルでAランク
子どもの視点で描く戦争
われわれにできない芸当
ジョンブアマンの戦場の小さな天使たちで学校が爆撃に遭ったとき、子供たちが空をゆく敵機を仰いで「サンキュー!アドルフ!」と言ったのを覚えている。
子供が子供ゆえに、戦況ともイデオロギーとも無縁なほど、マジカルなペーソスになりえることを私たちは知っている。それを縞模様のパジャマの少年やLife Is Beautifulに見てきたからだ。本編はその名画たちの方法論をもっと大胆に深化させている──と思う。
ジョジョとヨーキーには基本的に演技の気配がなかった。台詞をおぼえて、動作を指示されて、はいアクションで、それをやっている──という感じがまるでない子供だった。加えて、ふとしたとき素の表情があらわれた。なにげに、カメラを向けていないかのような自然体の顔を見せる。とりわけヨーキー君のシンギュラリティの絶妙さは凄かった。アニメだってこれだけadorableには創れない。
エルサにはアンネフランクのような死の予感があった。全体がコミカルなオーバーアクションのなか、相対する諦観を一人もっていた──ように感じた。
しばしば、挿入される、本物の戦争の気配──吊られたユダヤ人、身体の欠損した軍人、荷台に揺られる傷痍軍人、と併せて、エルサはカリカチュアの行き過ぎを抑制していたと思う。
そんな感じで半尺までは、わたしも冷静だった。
しかし、ヒトラーの幻影と、陽気な母親と、愉快なナチの面々にささえられ、暢楽な気分で見ていると、映画は次第に戦争を露呈してくる。
観る者とて、悠揚迫らずというわけにはいかない。いや、人様のことは解らないが、少なくともわたしは恐恐としてくることを予期していなかった。終いまで朗らかな風刺を保つだろうと楽観していた。だから、青いコートの裾と瀟洒な靴にひしっと抱きつくジョジョを見てしまったら、もはや、マジカルなペーソス──などと、こまっしゃくれた分析ができる状態ではなかった。
かえりみれば、大仰なほどのフラグを見過ごしていた。
緑いっぱいの美しい川辺。眩しいほどの青いコート。ジョジョと二人で自転車を駆る並木道。真っ赤な口紅にサングラス。Horizontal Stripeの赤いニット。傷だらけの帰還兵たちに向かって、まるで「アメリカ映画」のようにWelcome Home Boys!と声をかける。
そのときなぜ彼らが英語なのかを個人的に理解した。
悲嘆を和らげるためだ。
ドイツ語をドイツ市場向けのビートルズのI Wanna Hold Your HandとデイヴィッドボウイのHeroesに任せたからだ。
そして怒濤の破壊を、ナチの饗宴を、Heroesで踊ってカリカチュアに収めるためだ。
もう抗えるところなんか一つもなかった。
海外の評は少なからずラストの不自然を指摘している。わたしは逆で、魂を持っていかれた。はるかに遠い第三帝国にあのイントロが流れてきたときの驚嘆をどう言い表したらいいか解らない。またウェスアンダーソン監督が引き合いにされてもいた。そこは頷ける。色彩や演技のテンションに近似性がある。見上げるような長身のゲシュタポ役Stephen Merchantが現れハイルヒトラーが飛び交う場面はアンダーソン監督映画を観ている気になった。
総じて、一線級俳優を配しながら子役を全面featureしているところはムーンライズキングダムにそっくりである。
忘れ去られるあの時代の物語。
最近は第二次世界大戦時を舞台にした映画やTVドラマにあまり遭遇する機会が無くなった気がする。自分が子どもの頃は夏休みとかに戦争映画の放送や、戦争ドキュメンタリーとか頻繁にテレビで放送されてた記憶がある。
で、この「ジョジョ・ラビット」は久しぶりに観る「あの時代が舞台」の映画。
10歳のジョジョが見る幻影のヒットラー(こいつが彼に付き纏う。)や反ナチスの母親に匿われたユダヤ人少女によってストーリーが展開される。
スカーレット・ヨハンソン演じるジョジョの母親は正直あまり印象に残らない。
それよりも頻繁に現れる監督自身が演じるヒットラー。これはジョジョ自身が裏で感じる思いを彼自身に言い聞かせているような印象がある。
また、ユダヤ人の少女とのやりとりが重要。思春期に差し掛かる年齢の男の子の姿が純粋に描かれている。
人類の暗部をコミカルに明るく描いた傑作
ジョジョが愛おしくてたまらない!
子どもの視点から戦争を描いた映画といえば、『禁じられた遊び』が思い起こされるが、こんな描き方もできるのかと驚かされた。コメディの体裁をとりながら、それでも戦争の悲惨さを伝えてくれている。母親が何をしていたのか、ジョジョは知らない。ジョジョにとって大事なことは、「ヒトラーユーゲント」に入り、活躍することであり、母親やエルサとの時間がすべての小さな世界で生きている。それでも、戦争ってやつは身近に迫ってくる。日常として… 無邪気でいいところもあるジョジョが、単にあこがれの対象にすぎなかったヒトラーを乗り越えて、世間に流されるのではなく、自分の気持ちから事態を見極めるようになってくれたことがうれしい。ジョジョの友だちも気づいていたけど、子どもにだってわかるのだ。戦争の本質が! それから、サム・ロックウェルが最近いい奴を演じているのが不思議な気がした。『リチャード・ジュエル』といい、本当にびっくり。以前はいや〜な奴を憎たらしく演じるのが得意でキャスティングもそうだったのに、演技派だからどんな役でもこなせるけど、それを逆手に取っているのかな?
やんわりとした反戦映画
ヒトラーの妄想と会話してはしゃいでる軍国少年ジョジョ。
しかしウサギが殺せなかった事からウサギ扱いされ、ヒトラーユーゲントの訓練中に手榴弾で誤爆して、訓練から脱落、顔には傷、足には障害が残る。
しかしイジメられっこオーラを醸し出すジョジョに対して母親の強いこと強いこと(笑)
そりゃそうだスカヨハが母ちゃんなんて強いに決まってる(笑)
しかも母ちゃんドイツ人だけど戦争はキライ
バリバリのヒトラー信者の息子ジョジョとは揉めてしまう。揉めたら母ちゃん、顔に墨つけて髭にして息子を叱るシーンみたら息子の妄想癖は遺伝か?と思った。
おまけに家で壁の中に住むユダヤ人女性エルサを見つけるが体力でも口でも負けてしまう…やられ通しのジョジョ。ろくに友達も居ないのでエルサに絡むが毎回やられてしまう。流石に10才のぼくちゃんでは敵わないのは仕方ない。
しかし、ジョジョの母親が反戦活動に参加して処刑されると物語は一変し、ジョジョが盲目的に信じた全てがウソだった事を理解していく様は悲しい。彼が信じたユダヤ人とドイツ人の違いなど在りはしないし、角も生えない。
ゲシュタポに踏み込まれた時は姉を偽ったエルサをユーゲントのクレンツェンドルフが見逃してくれるなど、ドイツの全てが狂ってなかった様子は看て取れた。フィンケルとクレンツェンドルフが怪しい仲なのは間違いないのだが、同僚のミス・ラームの方が余程狂っていて恐ろしい。
ただ一人の友人ヨーキーが分かりやすい気持ちを出して好感が持てる、彼はただのデブじゃない。
ミス・ラームに唆されて連合軍に突っ込まされた時は逝った~と思ったが…。
ドイツでの戦闘では武器を持った民間人がどれだけ亡くなったか分からないが連合軍占領後は本当にマシになったのだろうか?
作中に出てくるジョジョの父やエルサの婚約者はどうなったのか?色々気にはなるが分からないまま。
ラストの踊って終わってしまうのはちょっとズルいよ。まだ幼い彼の恋心は実らなかったけど、それでもいい。新しく生まれた姉弟に祝福を。
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