劇場公開日 2020年1月17日

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「大尉の存在感はヒトラーとかぶるので、脚本的には面白みがないが、個人的には大好きだ。」ジョジョ・ラビット YAS!さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5大尉の存在感はヒトラーとかぶるので、脚本的には面白みがないが、個人的には大好きだ。

2020年2月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

題名の意味は解ったが、映画のテーマには成っていない。
僕なら、この題名をきちんと映画の切り口にしたでしょう。
なぜなら、この映画を通して、監督は何を言いたかったのか、心棒が通っていないからだ。

主人公と逆説的・同調的な存在であり、主人公のもうひとつの内面を表現する冪ヒトラーだが、中盤以後は重要なシーンでさえ機能していなく、最後だけ再登場。
監督はヒトラーを出し過ぎると、映画的に”しつこい”と判断したのだと思いますが、逆にその判断が映画の質を落としました。
”ラビット性”とヒトラーとの対比がこの映画の肝に成る冪です。
少年がヒトラーと話すように母親も誰かと話をしているシーンがあるが
その相手はイタリアの戦地・運動地から戻らない父親だろう。
しかし少年とは違い、母親の相手との関係は違い、ヒトラーと対比させても良く
その辺をもう少し掘り下げた方が映画として良かった。

カメラ位置はまるで小津映画の様に低位置が多く、それは主人公の目の高さ
足だけで表現できたりもする重要シーンもある。流石だ。
ただ、その足に書かれていた札の文章を日本語訳してほしかった。理由を知る為だ。

少年にとって無情な死への怒りは、ユダヤ人少女に向くのはこの映画の神髄を描いている。

どうしてもユダヤ人を扱うと、割礼がついてくる。
欧州ではとても敏感な宗教的行為・目印だが、日本ではテレビCMでも割礼を促す奇妙な国なので、
映画を観る宗教観の薄い日本男子には、この辺の意味合いが理解できないでしょう。

終盤での国民総動員死闘(ベルリンでの戦い)で連合軍と戦うドイツ人(残存兵・老人・女子・子供達)の様子が痛しく、胸が詰まった。
戦場に横たわる破壊された105ミリ砲は88ミリ砲だともっと嬉しかった。
映画を通して、挿入歌の選曲はとてもいい。特に最初

この映画は「ブリキの太鼓」と見比べた方がよさそうだ。

YAS!