シン・ウルトラマンのレビュー・感想・評価
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ワンパターンな展開で残念
禍威獣をちぎっては投げ、ちぎっては投げの展開で新鮮さがないと思いました。空を飛ぶポーズからのサマーソルトや、メフィラスとウルトラマンの脚と脚が蹴りあうシーンは面白かった。しかし私は正直脚本がイマイチだった。『シン・ゴジラ』のようなシリアス要素が薄かったので個人的には肩透かしを食らった感想です。
キャスティングは最高だった。禍特対は追い込まれれば追い込むほどキャラクターが爆発する人たちだったので、観ていて飽きなかった。
演出に関して、子供向けの特撮には出ないシーンがあって、禍特隊の船縁の自主規制音(ピー音)があったり、田村の喫煙シーンはちょっと意外でした。
もう一回観ようと思いますが、Youtubeの解説動画を見ると新しい視点で観賞できると思うので一回だけじゃ否定できない映画でした。
庵野ワールド全開
映画館にて鑑賞
エヴァ好きだしシンゴジラがヒットしたこともあり、今回もヒットするのかなと期待感ありでの鑑賞
あらすじは
禍威獣が出る日本でウルトラマンが出現し倒してくれたが、その時の衝撃で斉藤演じる神永が子供を庇って死んでしまいそれを受けてウルトラマンは神永と合体して禍威獣と戦うというもの
まず思った点はやはり庵野がウルトラマンに対する愛がすごいなと思った。
オープニングからこだわりを感じるし
最後の戦いでの変身シーンを昔の映像風にとっていたのは胸熱だった
ただ長い作品を映画にしているためか全体的に駆け足ぎみ
初めの禍威獣と禍特対の説明早すぎ笑
目凝らして見てたから初めから若干疲れた💧
また全編に庵野作品独特の難しい言葉や説明が溢れていて人によってはしんどいかなあと感じる
特に今回気になったのはところどころ映像がスマホで撮影したぐらいのレベルになるのがすごく気になった。
またカット割りもこだわりがあるのだがそれいる?ってカットが多い
ストーリーとしては敵が多すぎて1人ずつにスポットが当たってないように感じる
もう一人二人敵少なくてもいいと思った笑
個人的にはそこまでくわしくのないのでバルタン星人やダダ、ピグモンなどの有名なやつのほうが良かった
また戦闘シーンが昔のはもっと殴りあったりプロレスしてた気はする
特にカラータイマーはある方が危機感も感じるし良いと思う。
まあ次回作も作れるような感じでは終わったので今後に期待という感じかな
次はシン仮面ライダーもあるようなので庵野ワールドはまだまだ続く
続
予算をかけた特撮映画
とりあえずの感想は、ザ・特撮映画。
事前にハードルを自分の中で上げすぎた感があったかも、、、
全体を通して、めっちゃ見やすかった印象。
コミカルなシーンと他の差がハッキリしてるから飽きることなく見れた。
個人的には滝くんにめっちゃ色々感じた。
神様みたいな自分よりも上と思っている存在に対して、依存していくのではなく、自分の意思で進んでいくのが人間なんだ、と
それが側から見たら奇妙に見えたとしても、
っていうのがあの一連のシーンに感じてグッと来た。
パンフレットとかいろんな物を読んで改めて見たら違う感想がまた出てくるんだろうなー、と。
ウルトラマンらしい、勧善懲悪に収まらない作品だった。
82/100
ウルトラマンという男の物語
まず特撮として終始わくわくが止まりませんでした。
ウルトラマンの造形も良く、正体不明の知的生命体感があったし、融合後の口元デザインなどは素晴らしい。
ストーリーラインとして、色々な先入観がありとても分かりづらくなっていますが、
ウルトラマンという「男の戦い」が描かれています。これは文明の発達した外星人としての精神構造(ほぼ、まどマギのキュゥべえ)が分かると、途端に熱いストーリーラインが見えてきますし主題歌が泣けてきます。
最後に
愛想は良いが薄っぺらい、メフィラス星人と、
寡黙だが熱い、ウルトラマンの対比はすごく面白かったです。
ウルトラマン(光の国の戦士)という存在について考えさせられた
ゾーフィ(ゾフィー)が敵役にまわることに不信感を募らせた人が数多くいると思う。
今までのウルトラシリーズでは光の国の戦士達は幾度となく地球及び地球人を救ってきた。ただそれは彼らが地球人を好きでいてくれたからであり、何も知らない光の国の戦士が無条件で救ってくれるわけではない。そして彼らは私たちから見たら正義の戦士だが、怪獣や一部の星人からしたら敵である。そして今回、ゾーフィは地球人について対してゼットンを投入して滅ぼそうとしてきた。これは地球人は野蛮な知的生命体であり、その野蛮さを持ったまま光の国の戦士と同等の存在へと進化する可能性があると認識したからである。彼ら光の国の戦士達は地球の守護者ではなく宇宙の平和を守る者である。ゾーフィは地球人を怪獣と同様の悪だと判断し、宇宙の平和のために地球人を滅ぼそうとしたのではないだろうか。
そもそも光の国の戦士は誰の味方なのか、勝手に人間の味方だと考えているのはウルトラマンを神だと思っているのと同じではないか。
ウルトラマン(光の国の戦士)という存在について今一度考えさせられる、一つの考察を見るかのような作品だった。
ウルトラマンを初めて見た感想
誰もが知るウルトラマン。カネゴンとかバルタン星人とかそんなやつと戦うのかな?なんて考えながら、初めてその戦う姿を鑑賞するため映画館へ行きました...が
ウルトラマンて胸に3分タイマーなかったっけ?とか宇宙から来る謎のヒーローじゃないの?とか...本場(?)からウルトラマンの何たるか教えてもらいました。
本作品は汚い人間性が散見され、イラッと来るシーンがありました。特に手のひら返しや政府の責任の擦り付けのような会話の駆け引き...
でも結局やってる事は関係ない宇宙生命体の殴り合いですからね。横で小難しい事を話してる役に立たないホモサピエンスと力を持つが故に利用される正義のヒーロー『ウルトラマン』
そんな彼の勇姿は魅力的でしたが、救うに値するような登場人物がいなかった為、地球にいっそ滅んでしまっては?とふと思うような...そんな風刺ありありな映画でした。
ウルトラマンを知らなくても楽しいウルトラマン
ウルトラマンはこどもに頃に流行っていましたが、特に見ていませんでした。
昭和ウルトラマン(1980年)には生まれておらず、平成ウルトラシリーズではもう特撮を見る年齢ではなかったためです。
記号としてのウルトラマンはあちこちにあったこともあり、そこそこの知識はありました(怪獣がどうとかまでは知りません)
さて、そんな状態で見たのですが、
庵野監督のリブートはおぼろげながらウルトラマンを知っている人でも楽しく見ることができました。
もしかしたらそういう人ほど楽しいのかも。
例えば「原作のアレは…」系の話。代表的にはカラータイマーがないなど、そういう細かい差分も全然気になりません。
怪獣が現れたら、異星人がコンタクトを仕掛けてきたら、
その状況で政府はどう対応しようとするのか、という点も非常にリアル。このあたりはシンゴジラと同じノリ。そのかわり「そこまでやらんでも」っていうところはばっさりカット。
なんなら必要な説明も「これ見に来ている人なら今更説明いらんでしょ」ってばっさりカット。
これが非常に良い方向に転んでいて話のテンポがとてもいい。
「大怪獣のあとしまつ」に言及したくなりますが、やるべき方向はこちらだった。
リアルに考えれば政治家が人類をひとつにまとめて対抗しようとか、ウルトラマンを全面支援しようなんてしませんね。
しかしヲタは叡智を結集しようとしますね。わかります。
ヲタをほめてるわけではなく現実的に何とかせなばならず、その後のことも含めて考える政治家と、
とりあえず今をどうにかできればそれでいいヲタの違いです。
相変わらず早口で難しいことをしゃべり続けています。
あれを聞き取ったうえで理解できる人はあまりいない気がします。
できるなら超楽しい空想科学のシーンかも。
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以下、どうでもいい話。ネタバレ部分。
・神永さんの唇が分厚い。
・班長、シブい。
・初対面から先輩を見下してかかる浅見さんの好感度がマイナスから始まりすぎて映画の尺で取り返せない。嫌いな人のままで話が終わる。
・においを嗅ぐシーンをいれる意味がわからない。あれは何のためなの。
逆探知では追えないから残り香で追いかけて捕まえる、ってフックを脚本にいれる必要があったのか。
逆探知で追えたので捕まえに来た、でもシナリオへの影響はまったくなかったはず。
これがなければ脚本に何か入れられないフック、あるいは原作へのリスペクトの一環だったのか。笑いどころとしていれるにしては人を選びすぎるのでは。
→あ、もしかして浅見さんの好感度リカバリのためにヒドいめにあったシーンをいれたつもりだったのかな?
・遺体が数日たって、血の気が引いている顔色がリアル。
・圧倒的な暴力を持っているウルトラマンに対し、権力で縛ろうとする姿は「ありそうだなぁ」って思った。
シリーズへの思い入れで結構見方が変わりそう
おそらく昭和のウルトラマンシリーズに漂っていた空気の再現なんだろうけど、ウルトラマンのシーンはなんとも言えない可笑しみと悲哀があって、なんだかクセになってしまった…。ウルトラマン、何だか可愛らしいよね。
動作の独特の間の取り方というか、どこかゆっくりとしたウルトラマンの動作とか、言葉を発しないウルトラマンの動かない表情のアップとか、飛んでる時の背中の反り具合とか高速回転とか…。
ちなみに私はウルトラマンシリーズは本当に触ったぐらいしか観たことない人間。
それでもやっぱり庵野監督作品なので面白かった。
まず冒頭数分の情報量がすさまじい。
シン・ゴジラのカットとタイトルロゴが挟まって「あ、これはシン・ゴジラの世界線なのね」ということが説明(?)される。
実際シンゴジメンバー(本作の首相もそうだし、何より赤坂さん…!相変わらずご苦労されている…)も登場するし、劇伴もアレンジ違いのものが使われたりで、あの作品大好き人間には嬉しい。
そしてゴジラの脅威を乗り越えたことで日本政府の対応のスピードや仕組みが強化されている感じがしたのも、「ゴジラ対応の教訓が活かされているんだなあ」となんだか感慨深い。
そして怒涛のダイジェストで流れる禍威獣と禍特隊の存在や経緯。
いやいや、速い。情報量多い。笑
このあたりも庵野監督カラーを感じて面白かった。
そして本編。
まずは印象に残ってるとこだけ。
・相変わらず登場人物のセリフの情報量多すぎ&早口がすごい(シンゴジで慣れたはずの人間も驚きの専門用語の多さと登場人物の頭の回転の速さ)
・禍威獣に感じる使徒感と、戦闘シーンのウルトラマンに感じるエヴァみ。
・巨大化する長澤まさみ!ウルトラマンシリーズに出てくる女性隊員巨大化エピソードがベースらしいけど(※ウルトラマンシリーズ履修済みの夫情報)、初見勢はあっけに取られること必須。
・本作は個人的にメフィラス(山本耕史さん)のインパクトがすごい。爽やかで物腰柔らかで胡散臭い感じが最高。「私の好きな言葉です」が私の中で流行った。神代くんと居酒屋で飲んだ後割り勘にするシーンも好き。外星人体のフォルムも格好良い。
・ウルトラマンの飛び立つシーン、どうしても「ふふふ」となってしまうんだよな。可愛い。
・すさまじく簡単に外星人と契約締結してしまう日本の首相たち。
・終始悲哀を感じる神代くん(斎藤工)のまなざし。
・班長(西島秀俊)や室長(田中哲司)さんの安定感良いなー。しれっと莫大な請求を防衛省に回させる室長がツボ。
・異空間で会話するウルトラマンとゾフィー。ウルトラマンの声、誰かと思ったら高橋一生さん…!
私はウルトラマンシリーズを観ていないので、エピソードの取捨選択や庵野監督のアレンジがわからないし、今この作品を観られるという感動がないのも残念だけど、ストーリーの大筋はちゃんと追えるし、終始楽しめた。
でもウルトラマンシリーズを通ってきてるか感想は結構変わるんだろうなとも思う。
でもわからないなりに作り手からのウルトラマンシリーズへの愛が詰まっているのも感じた。
ウルトラマン/神代さんと、長澤まさみ(ごめんなさい役名忘れた)のバディとしての描写の部分は少し物足りないかも(バディという関係性に夢を抱く人間としては)。
良い意味で漫画なのに何故批評?
長澤まさみへのセクハラとか禍特対の隊員の描写が足りないとか、何を書いてるのか?と思う。特に前者はメフィラスの意図を効果的に見せるために必然とも言える巨大化でしょう?着衣だとか見せ方の問題?記号として捉えたら不自然でもいやらしくもない。だいたい演者や製作者側はそんなの最初っからわかっているよ。そんな批判書くからものつくりに閉塞感が付きまとうんだってまだわかんないかな(泣)これは【空想特撮映画】なんだよ。思い入れで作られた世界観に好き嫌いの評価は仕方ないが、もっとこうした方がとかこの方が良かったと書くならば自分自身の頭の中で空想してくれないかな?ウルトラマンの作品世界を下敷きにして1人(もしくは複数人)のファンが円谷と東宝を動かしてここまでの物を作り観せてくれたことに素直に称賛を送りたい。
庵野監督と同時代を生きている喜び
ウルトラマンを知らない小4の息子と小1の娘と一緒に見に行ったが、案の定娘はドラマパートで飽きてしまい、鑑賞後も「ウルトラマンはカッコよかったけど、話はよくわかんなかった」という感想だった。
私自身も66年のウルトラマン世代ではないが、昭和と平成の合間世代の私は、ビデオデッキが普及し始めたことも相まって、小学校入学前後に昭和ウルトラマンに触れた世代である。ウルトラマンは、ビデオ等で全話見た記憶がある。
1960年生まれの庵野監督は、もちろんウルトラマンのドンピシャ世代なのだろう。庵野監督の『シン』シリーズは、彼が生きてきた中で彼が好きだったものが詰め込まれているように思う。本作も、にせをチョップした際の痛がるシーンや、ゾーフィとゼットンの件など、当時を生きた子どもたち(それを知っている次世代のオタクたち)に向けた小ネタがバンバンと繰り広げられる。彼の映画にとっては、ネタバレも何もない。なぜなら「全部すでに出ている」からである。この映画を見た人の中にも、娘のように「よくわかんなかった」という感想を抱く人は多いだろう。「よくわかんなかった」という娘に言いたくなった言葉は「それはお前が勉強不足だからだよ」(もちろんそんなことは本人には言わないが…。)
パンフレットの樋口監督のコメントの中に「僕らが少年時代に熱狂した感じを共有すること」とある通り、これは全方位的映画でもある。オリジナルを知らなくても見られるようにできている。おそらく小1のこどもにとっては「よくわからないけど、カッコイイ」でいいのであろう。そう考えると、30分というTVシリーズは絶妙な長さである。これを入口にして「ウルトラマン」という沼にはまる若い世代も、もちろん増えるであろう。
同人誌と一般向け作品の、絶妙な中間作品。それが私の『シン』シリーズに対する感想である。庵野監督と同時代を生きられている幸せを感じながら、『シン・仮面ライダー』を楽しみに待つとしよう。
※マイナス評価ポイント(-0.5ずつ)
・ストーリー展開上どうしても仕方がないのだが、メフィラス(引き分け)⇒ゼットン(負け)と続くのでどうしてもウルトラマンが「そんなに強くない」という印象を受けてしまう。
・ウルトラマンが倒せなかった敵を、人間が倒すというプロットならば、「1ミクロン秒でパンチ」は雑だろう。
以上でマイナス1、4.0採点にさせていただきました。
シン・マルチバースへの序章の一歩となってくれ。
本作は、初代テレビ版ウルトラマンへのオマージュが多い作品だとは聞いていたが、
ここまでやるのかと思ってしまう。
着ぐるみ怪獣の使いまわしネタ。
銀色から赤色の体色変化(カラーテレビ普及率を表しているのかなぁ)や、独特なカメラワーク。
空の飛び方や飛行効果からのオマージュ。
当時の効果音・劇中曲。
ゾフィーのゾーフィ呼びなど、あげるとキリがない。
ストーリーは主に4つの話を繋げたダイジェスト的な作品で、一本の映画として見ると、やや小間切れ感があるため、骨太の物語を見たかった方には物足りなさを感じたかも知れない。
また、過去の映像を現代風にリメイクする事に重きを置いているようにも感じるので、ウルトラマンの大きさを表す為の装置が戦場セットのみで、人間側からウルトラマンや怪獣を見上げるような映像が極端に少ない。シン・ゴジラはゴジラの大きさを感じるカットが多かったので、巨大怪獣の恐怖を感じられるが、本作はそこの恐怖感がオモチャのような愛らしさすら感じるのが、作品の方向性とズレているようにも感じる。
しかし、やはりウルトラマンの格好良さに関しては素晴らしい。ウルトラマンと言えば、基本的には宇宙プロレスを見る作品だ。そこに関して言えば、本作の面白さは非常に高い。
ネロンガ・ガボラ戦も素晴らしいが、特に素晴らしいのはザラブ星人(偽ウルトラマン)との戦闘時の、市街戦。ビルの間を飛ぶウルトラマンの映像は美しいとしか言いようがなかった。
本作でのMVPはメフィラス星人役の山本氏。いやぁ、絶妙な変態感と胡散臭さ(良い意味で)である。ビジュアルも、より現代風になっている為、スタイリッシュ悪魔な感じが良い。
各所で言われているが、渦特隊 が全然活躍しない。
現場の指揮権の行使のみで、情報収集程度の仕事。基本的には現場に行くけど有効打を出さないし、最終戦での結論もウルトラマン頼み。もっと人類の叡智の結晶を見せて欲しかったよ……。
特殊兵器の開発や、ビーグルでウルトラマンとの共闘とかあっても良かったのでは?
そこが肝だと思っていたので、渦特隊にイマイチ感情移入が出来ないのが残念。
ただ、見終わった後の感想としては、……昔、正月くらいには特撮のダイジェスト特番とかあったなぁと。意外と面白くて、それを見て作品を知ったものも多かったなぁと。
それに近い感覚があったので、まさに初代のテレビシリーズを模しているとも言える。
難しい言葉は多いが、内容はシンプルなので万人向けとも言える本作。
劇場で初代ウルトラマンの「音」を楽しむ事に特化した映画とも言えるので、劇場での音に特化した宇宙プロレスを楽しんで欲しい。
個人的にはラストの余韻がもう少し欲しい派なので、そこについては今後のシン・サーガとも言えるマルチバース展開での「帰ってきた」あたりを待ち望みたいと思う。
※シン・仮面ライダーも公開するし、1993年に発売された「スーパーバトル ウルトラマンVS仮面ライダー」をもう一度やろうとしているのかなぁ。いっそ、2大ヒーローに復活したゴジラと戦ってもらっても良いので、そんなお祭り映画を作って欲しいなぁ(版権的には頑張ってクリアして頂いて……)
最初から最後までクライマックス
元のテレビシリーズを知らない人でも楽しめるエンタメ作品に仕上がっていたと思います。
知っている人には、リスペクトするような小ネタも満載なので、より楽しめるかと。
作品タイトルロゴが出てきた瞬間からずっとクライマックス。
三幕五戦八場のスピーディな展開は、サブスク配信にYouTubeやTikTokなどで倍速再生に慣れた子供たちすら飽きさせることはないはず。
それに、ウルトラマンも怪獣も、庵野さん監修のもとに作られた、直感的に「かっこいい」「美しい」と思わせる造形なので、老若男女問わず視覚的に引き付けられると思います。
なにより、役者さんの持ってるポテンシャルを引き出す演出・撮影がすばらしく。
主演の斎藤工さんもよかったですが、終わってみれば長澤まさみさんと山本耕史さんのことばかり思い出します。
このあたり、役者の演じるキャラを丁寧に撮る、樋口監督の手腕がいかんなく発揮されたと思います。
私自身、ものすごく面白かったと感じたし、何度も観返したいと思いました。
ただし、若干の懸念が2点。
まず、本作ではテレビシリーズ最終話「さらばウルトラマン」に描かれた「宇宙人と人間のコミュニケーション」「ウルトラマンが人間を好きになって守りたい気持ち」を大事に膨らませています。
かつてのテレビシリーズでは、最終回と宇宙人の絡む数話以外は「怪獣と科特隊(人間)」が主人公で「人間目線」で物語が構築されていました。
今回は「ウルトラマンが主人公」になり、人間と外星人の狭間にある「ウルトラマンから見た目線」が多く入れられたため、(禍威獣の脅威にさらされる当事者・地球人類側視点=自分事としてではなく)俯瞰した「第三者」「観察者」から見た人間の姿が描かれることになります。
これによりSF的要素が強まり、かつ『ウルトラセブン』に近いテイストが足されていたように思います。
そのことが、物語に没入しにくくする可能性があるかもと。
もう一つが、お色気やフェティシズム要素が強いこと。
コメディ要素として機能するように描いてはいるのですが、一部には過剰反応して叩く人が出そうなことも心配です。
本来ならその辺をマイナスと思わず、物語を面白くする工夫と捉えたほうが、作品を素直に楽しめるとは個人的には思うのですが、娯楽は嗜好品なので……捉え方は人に寄りけりかなと。
そんな不安は杞憂・取り越し苦労で済むように、大ヒットしてくれたら嬉しいかな、と。
劇場から出るときに、興奮していたよその子どもたちや、女性たち、外国人たちの姿が見えたので、心配しなくてよいのかもしれません。
シンウルトラマン。これは、正しくウルトラマンのリブート作品である。
映画や小説アニメに限らず物語には王道と呼ばれるストーリー展開がある。
視聴者や読者が予測するであろう望むであろう求めるであろうストーリーの展開を意味する。
王道とは最大公約数的な展開である。最良では無く最善。
シンウルトラマンは、正しく王道展開である。
気を衒ったり予想を上回ったりする展開では無い。新しい発見や予想を裏切る様な展開は無い。
一見さんには直ぐには理解できない様な用語を並べた台詞を早口で淡々とまくし立てられる。いつもの庵野作品ではあるが、それでも骨子となるストーリーは非常にわかりやすい。
展開が早いため視聴者が答えを予想する前に回答を披露されるが、王道展開なので予想を裏切らないしすっとストーリーが頭に入ってくる。
ウルトラマンの予備知識がなくとも十分に楽しめる点は良い。
だが誰かがレビューで書いてたが、ウルトラマン好きがこんな演出があったらいいな、こんなネタあるんじゃない?そんなオタク同士の会話がほぼ詰め込まれた様な作品と評していた。
決して肯定的な意見ではなくむしろ否定的な意見ではあったが、本作品はそんな作品なんだろう。
しかし、本作品はウルトラマンのオマージュであり、再構築したリブート作品である。
であるならば、それは正解では無かろうか。
余計な雑味を加えず洗練された印象もある。
他の庵野作品のオマージュも散りばめられているが、程よいスパイスになっている。
一緒に見た小5の息子は本作品は100点と採点した。
ウルトラマンシリーズは全く見ておらず予備知識0の評価。ストーリーも概ね理解していたのでリブート作品としては成功していると思う。
ただ若干の消化不良が残る。当初は最後のシーンが淡々と描かれているからで、その為の消化不良かと思ったが、内容を思い返してふと思い至る。
以下若干ネタバレを含む。
外星人とウルトラマンが川岸を変えて居酒屋で話すシーンがある。
これは比喩的な表現ではなく、外星人にとって地球人をどの様に扱うかはサラリーマンが商品の取り扱いについて、もしくは客先との営業内容について悩む様な、その程度の問題でしか無いのだろう。
ゾフィーも数多ある知的生物のたかだか1種が滅んだところでと、そんな趣旨の発言をしている。
つまりこの作品は、地球人類の存亡がかかった大スペクタクル浪漫では無い。
もっと、ずっと小さいスケールで語られた話なんだ。
映画を観ている間も見終わった後も感じた何とも言えない閉塞感。
消化不良な終盤の展開や、非常に狭い範囲のカメラワークで表現されるために感じる閉塞感が原因かと思ったが、多分このスケール感の違いが理由なんだと思う。
作品としては文句なしに良作。とは言えこのもやもや感が消化しきれないので個人的には4.5点。
余談
イオンシネマのTHXで鑑賞したが、普通のスクリーンでも良いかなぁと思った。
光の国の正義は誰のためのもの?
〔ウルトラQ〕や〔ウルトラマン〕はリアルタイムで見ていた世代。
ただ幼いこともあり、興味はやはり
単純な怪獣退治モノに偏りがち。
右代表は〔ゴメスを倒せ!〕や〔ペギラが来た!〕〔ガラダマ〕の回か。
〔1/8計画〕や〔あけてくれ!〕などの面白さが判るのは、
かなり長じてから、それも再放送を見た時で。
しかし、そうした単純な勧善懲悪モノの方が
ウケは良かったのだろう、
続いてのシリーズはそちらに特化した〔ウルトラマン〕。
ただその中にも〔故郷は地球〕〔まぼろしの雪山〕といった、
今から思えば社会性を帯びた回もこれあり。
『ジャミラ』であれば、その対極に在るのは
〔オデッセイ(2015年)〕と、
後々の作品との比較も、楽しかったりする。
さて、「シン」である。
同じ惹句を冠した〔ゴジラ〕では、突然の厄災に衆知を集め対応し、
永く向き合う決意をし、更には光明を見い出す、
イマイマの日本の表象を描いた『庵野/樋口』コンビが
どんな外連を見せてくれるのかと期待したら、
蓋を開けてみれば、まるっきりの{リブート}作品。
これには少々、拍子抜け。
とは言え、そのことが全体の面白さを毀損しているかと聞かれれば、
そのようなことは全く非ず。
先ずは出て来るクリーチャーを「怪獣」と「星人」に大きくカテゴライズ、
各々が頻出する理由を説明する。ああ、なるほど、
なので今回は単なる「侵略者」の「バルタン星人」は登場しないのだと納得。
現代的なアレンジは施しつつ、各エピソードの骨格はきっちり踏襲。
その中身が五十年を経て古びていないのは、
元々の構想が秀逸だったのだろうと感心。
偉大な先達である『成田亨』や『古谷敏』へオマージュを捧げたいとの想いにも
激しく同意。
加えて、過去作との比較で見つける楽しみも。
「ザラブ星人」による「にせウルトラマン」は
目の形だけが異なり、肝心のつま先を見せない、とか。
或いは巨大化させられる『浅見弘子(長澤まさみ)』は
『フジ・アキコ隊員(桜井浩子)』とは異なり
科特隊の制服姿ではないので、サービスシーン満載との
嬉しい余禄はあったりも。
また、対象はちと違うが、
「メフィラス星人」のフォルムは「EVA初号機」そっくり、とか。
先の作品でお馴染みの、政治に対しての揶揄は軽めも、
ちくちくと寸鉄を刺すような皮肉は十分に効いている。
一方、風俗の取り込みは、全くと言っていいほど行われておらず。
その分、原作の流れを忠実になぞっているので、
知識のある者にとっては判り易い。
他方、初めての鑑賞者に対しては、親切な造りであったかどうか。
魂は細部に宿ると言うけれど、
不思議なコトにイマイマの社会情勢を予見したような幾つかの科白にははっとさせられる。
とりわけ「ゾフィー」が吐く科白は、
あまりに現状のどこかの国のスタンスに合致し過ぎて驚愕。
「ウルトラマンの美」をもう一度見つめ直す傑作
「自分がウルトラマンに親しみを覚えていた理由はこういうことだったのか・・・」
この映画を見て気づかされた時にはもう涙が止まらなかった。
ウルトラマンをよく知らなくても本作はエンターテイメントとして楽しめるだろう。
シンゴジラのようなインパクトを求めに行った人は消化不良に感じるだろう。
しかし、なぜかウルトラマンに心惹かれ、好きな理由が自分でもよく分からなかった人ほど絶賛する映画に違いない。
この映画のテーマは「ウルトラマンの美とは何か?」ということだと感じた。成田氏が描いた「真実と正義と美の化身」。あの絵で表現したかった真実、正義、美はなんだったのかという事を庵野、樋口監督は目を逸らさずに解釈し、我々に分かりやすく「君がウルトラマンを好きな理由はね、こういう事なんじゃないの?」とヒントを与えてくれる。
最初に降り立ったウルトラマンは「銀色」。神に限りなく近く完全だった彼が人間と融合することで「赤色」が加わり、彼自身も「神」から人間を理解することで一つの「生命体」であることに気づき、最後は人類を守るためにメチャクチャな行動をして完全とは言い難い存在として描かれる。
でもだからこそ!人間の悪いところ、未熟なところを承知な上で人類の可能性を信じて身を犠牲にするからこそ!「真実、正義、美」を感じることができるのだ。ウルトラマンの魅力は神のような力や完全性ではなく、人間の不完全さを理解した上で人類に寄り添い、決して見捨てないところにある。
完全な力を持っているのに寄り添ってくれるところにこそ、優しさ、愛を感じることができる。(この巨大な何かが優しく寄り添ってくれるという感覚はトトロ然り、日本の自然観に由来しているような気がする)
「千万人といえども、吾往かん」
初代ウルトラマンが生み出された時代ではこの考えを当然のごとく持っていたクリエーターが多かった。資本主義が強くなりすぎたこの時代にはただの綺麗事に聞こえる。でもね、もう一度思い出してみていいんじゃないか。現実にこんな事したらただの問題児として処理されてしまうが、こういった行動が認められる世界があったっていいよね。だからそういった意味でも「空想・浪漫」なのかなと。
「初代ウルトラマン」は原点であるものの、技術/予算的制約や子供向け番組という位置付けがあり、ウルトラマンのメッセージ、本質は大人になればなるほど忘れてしまう。
この映画ではそれをありありと分かりやすく描き直した傑作だと思う。
ウルトラ映画としては満点。
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