「ウルトラマンの真髄を凝縮した一作」シン・ウルトラマン 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)
ウルトラマンの真髄を凝縮した一作
まさに、ウルトラマンの真髄を一作に凝縮した作品と自分は考える。
宇宙人≒外星人であるウルトラマンはなぜ人類のために戦うのか。そして、人類はウルトラマンという絶対的神に翻弄されるばかりなのか。その答えのためにあるのが原作となるウルトラマンであると思う。そうした核となるストーリーを完全に描き切ったのが本作である。
ザラブ星人、メフィラス星人というあくまで合理的な外星人に対して、非常に人間臭いウルトラマンという対比も面白い。敵はあくまでビジネスであり、宇宙全体から見れば何もおかしなことはしていない。一方でウルトラマンはあくまで個人的な感情で動いているにすぎない。宇宙のルールからも逸脱している。
あくまで合理的に考えて人類は滅ぼされるべき。ウルトラマンもかつてはゾーフィと同じ考え方だっただろう。しかし今は違う。ゾーフィとの会話はまさに、過去の自分との対話のようにも捉えることができる。ウルトラマン、そんなに人類が好きだったのか。あれは自分自身への問いでもある。人間と出会い、そして融合したことによる変化に自分自身が驚いていることの表れでもあろう。
ウルトラマンは怪獣と戦ってなんぼだと思われるかもしれない。しかし原作も非常に哲学的な作品でもある。人類とは何か、その問いを投げかけられることが印象的な作品も多い。そういう意味でも本作のようなウルトラマンの人間臭さを中心に描くドラマが、まさに最も本来のウルトラマンに近い気もする。だからこそ、この映画のタイトルはシンウルトラマンなのであろう。真ウルトラマン、こうなろう。
マイナス点を言えば、台詞回しがくどくて漫画チックなのと、演技もちょっとわざとらしい感じで、リアリティはだいぶんなかったこと。