「「空想特撮」の魅力は充分伝えた」シン・ウルトラマン 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
「空想特撮」の魅力は充分伝えた
地球人に興味を持ったウルトラマンが、地球人と融合し、次第に人々を愛するようになっていき、最後は命をとして戦うという筋書きは、初代『ウルトラマン』とほぼ同じ流れで、初代に登場した怪獣(禍威獣)とエピソードを抜粋して一本の作品にまとめた構成になっている。初代好きには懐かしい作りになっていて、若い世代には初代の魅力をわかりやすく紹介できるようになっている。
ただ、ドラマのパートが弱いというか、ウルトラマンと禍特隊との交流がそれほど丁寧に描かれていないために、どうしてウルトラマンが人間を好きになったのか、いまいち伝わりにくいのが難点。禍特隊の面々もなんだか緊張感がなくて日本の命運を背負っている感じがないので、クライマックスが盛り上がり損ねている。
しかし、特撮の面白さは十二分に伝えている。とりわけ前半の禍威獣たちとの戦闘パートが良かった。禍威獣たちのデザインが秀逸だった。生物感はそこそこに作り物感が適度に混ざった異形の意匠が良い。「空想特撮」の魅力はたっぷりある。
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