「2022年の挑戦」シン・ウルトラマン masao moroさんの映画レビュー(感想・評価)
2022年の挑戦
シン・ウルトラマン観てきました!
初代ウルトラマンのリアル世代として素通りできない作品ですね。
円谷イズム+庵野イズム+樋口イズムのコラボレーション。
初代ウルトラマンマニアの裏ネタ満載でニヤニヤが止まらない!
端的なストーリーを言ってしまえば、オマージュ・リメイク。
冒頭は「ウルトラQ」の「パシフィックリム」版のノリで時短。
「ウルトラQ」の「ゴメスを倒せ!」の怪獣ゴメスは
1964年東宝映画「モスラ対ゴジラ」のゴジラのスーツを流用したが
今回はシン・ゴジラの造形でゴメスを表現してる。
地球に降り立ち、ネロンガと対峙した黄金色のボディのときの
ウルトラマンはAタイプマスクと呼ばれた口元が歪んだ顔つきをしている。
後に斎藤工さんが演じる神永 新二と融合した後はCタイプマスクの
顔つきに変わる。
初代ウルトラマンの挿入曲も適用に場を盛り上げている。
初代ウルトラマンで美術デザインを手がけた成田 亨先生のザラブ星人を
忠実に再現したのは素晴らしい。これを観たくて足を運んだといっても過言ではない。
ザラブ星人がなりすました、にせウルトラマンの頭部をウルトラマンが
ハンドチョップしたときに痛がったスーツアクター古谷 敏さんの
アドリブもちゃんと再現した。
エネルギーを消費したウルトラマンのボディラインがグリーンだったり、
最後に登場するゾーフィはブルーだったり、成田 亨先生のデザインの
モチーフを採用したのだろう。
しかし、高評価もここまで・・・
禍威獣特設対策室、通称 禍特対(カトクタイ)は科特隊ではない。
スーパーガン、スパーダーショット、ジェットビートルなどの超兵器は
出てこない。禍威獣の撃退殲滅の分析解析するだけのディスクワーカー。
シン・ゴジラ同様、米軍戦略爆撃機B-2までが現実と整合上の限界なのね。
長澤まさみさん演じる、浅見 弘子もエロくて素敵だけど何かが違う。
初代ウルトラマンの桜井浩子さんが演じたフジ・アキコ隊員の清純な神秘性は無い。
欲を言えば、上映時間を延ばしてでもバルタン星人を登場させてほしかった。
なぜなら、スペシューム光線の解説が必要だと思うからだ。
メフィラス星人以降も成田 亨先生デザインの期待値が高かったが、
なぜか名旧車がEVセダンみたいなデザインで威厳も重厚感もゼロ、残念です。
初代ウルトラマン第33話「禁じられた言葉」は私のウルトラマンベスト1です。
当時、メフィラス星人はウルトラマンを「スパイめ!」と呼び、同等以上の能力を持ちながら
何故、戦わないんだろう?と・・・「止そう・・・宇宙人同士が戦ってもしようがない。」
これは後のウルトラセブンにも繫がる深淵なるテーマなんですよね。
シン・ウルトラマンで、もっと掘り下げてもらいたかったですね。
最大の問題点はゾーフィが「光の星」から来た裁定者であり、人類を
生物兵器に至る存在として殲滅しに来たというところです。
宇宙恐竜ゼットンならぬ巨大最終兵器が「風の谷のナウシカ」の巨神兵を
連想する方もいたかと思います。
マルチバース(多次元宇宙論)など小難しい設定が出てくるわりに駆け足で
ウルトラマンが解決してしまい、感動や高揚感が希薄ですね。
平成ウルトラマンを見慣れた世代だとVFXやCGは物足りないだろう。
逆に特撮世代のシニアにはノスタルジックな時間が楽しめるはずだ。
これは、庵野秀明さん、樋口真嗣監督の2022年の挑戦だと思いたいです。
おさらい
初代ウルトラマンからの引用
第1話 「ウルトラ作戦第一号」
第3話 「科特隊出撃せよ」
第9話 「電光石火作戦」
第18話 「遊星から来た兄弟」
第33話 「禁じられた言葉」
第39話 「さらばウルトラマン」
シン・ウルトラマン上記のオマージュ・リメイクですので
未見の方は、ぜひ参考にしてくださいね。
あと、やたらと「マイティジャック」のマイティ号の画像やフィギュアが
映ったのが気になった・・・まさか!予告?