「【ウルトラ級の映画】」シン・ウルトラマン てっぺいさんの映画レビュー(感想・評価)
【ウルトラ級の映画】
スクリーンいっぱいに輝くスペシウム光線。巨体バトルのど迫力に、まさかのアレも巨大化する遊び心。オマージュもふんだんで、“好き”に溢れた、映像美もワクワク感もウルトラ級の一本。
◆トリビア
○ 劇中に登場するウルトラマンのデザインは、「ウルトラQ」「ウルトラマン」などの美術監督を務めた成田亨が1983年に描いた絵画「真実と正義と美の化身」がコンセプトとなっている。
○ 当初は神永(斎藤工)と浅見(長澤まさみ)のキスシーンがあったが、全体的なバランスなどを考えて編集でカットされた。
○ 斎藤工の父はかつて『ウルトラマンタロウ』の現場で爆破担当として働いていた。
○ 公開3日間で興行収入9億円越え、動員60万人以上を記録。「シン・ゴジラ」の117.2%、今年の邦画実写映画ナンバーワンスタートとなった。
○ 2022年2月、『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン』『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』のユニバースを共有する企画「シン・ジャパン・ヒーロー・ユニバース」プロジェクトが発表された。
○本作は「シン・ゴジラ」を鑑賞した円谷プロダクションの社長が庵野秀明に声をかけた事から企画が始まった。
○ 2019年からはNetflixでアニメ『ULTRAMAN』の配信、2021年にはMARVELコミックスより漫画『THE RISE OF ULTRAMAN』が発売されるなど、海外進出も盛んになっている。
〇ウルトラマンの動きは、庵野秀明が自身で動いたモーションキャプチャーデータも一部使用している。
〇特報映像が公開された際には、ギレルモ・デル・トロ(「シェイプ・オブ・ウォーター」監督)やジェームズ・ガン(『ザ・スーサイド・スクワッド』監督)が興奮や期待のコメントを寄せた。
◆関連作品
○「シン・ゴジラ」('16)
本作同様、庵野秀明、樋口真嗣タッグ作品。ラストカットが話題に。プライムビデオ配信中。
○「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」('21)
庵野秀明脚本、総監督作品。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』4部作の最終作。プライムビデオ配信中。
○「TSUBURAYA IMAGINATION」
円谷プロダクションのデジタルプラットフォーム。本作がオマージュする“初代”の映像配信や、本作関連の情報も。
◆各評価(2022年5月18日時点)
Filmarks:★×3.8
Yahoo!映画:★×3.8
映画.com:★×3.6
◆概要
【企画・脚本・総監修】「シン・ゴジラ」庵野秀明
【監督】「シン・ゴジラ」樋口真嗣
【出演】斎藤工、長澤まさみ、西島秀俊、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、早見あかり、田中哲司、山本耕史、岩松了、長塚圭史、嶋田久作、益岡徹、山崎一、和田聰宏
【主題歌】米津玄師「M八七」
【公開】2022年5月13日
【上映時間】113分
◆ストーリー
「禍威獣(カイジュウ)」と呼ばれる謎の巨大生物が次々と現れ、その存在が日常になった日本。通常兵器が通じない禍威獣に対応するため、政府はスペシャリストを集めて「禍威獣特設対策室専従班」=通称「禍特対(カトクタイ)」を設立。班長の田村君男、作戦立案担当官の神永新二ら禍特対のメンバーが日々任務にあたっていた。そんなある時、大気圏外から銀色の巨人が突如出現。巨人対策のため禍特対には新たに分析官の浅見弘子が配属され、神永とバディを組むことになる。
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◆以下ネタバレ
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◆巨体バトル
「シン・ゴジラ」とは違い、ウルトラマンvs巨体生物(本作ではあくまでも“禍威獣”)の巨体バトルが映像的な一つの見どころ。ザラブとのビル群戦にメフィラスとの工場バトル、ガボラとの山中戦。巨体で崩壊するビルや、ウルトラスラッシュで真っ二つの球体タンク、巨体のジャイアントスイングと、ど迫力映像に目を見張る。そして何より画面の端から端まで伸びるスペシウム光線。スクリーンの端から端まで伸びるあの映像こそ、“待ってました”な、本作を映画館で見る醍醐味。それがしっかり堪能できた。
◆オマージュ
そんなスペシウム光線しかり、散りばめられたオマージュのイースターエッグを拾っていくような感覚も楽しい。ゼットンの核へ向かう時に出た赤背景のあのポーズのウルトラマン。エンドロールで気づいた過去シリーズの曲へのこだわり。本作のウルトラマンのデザインが、成田亨オリジナルにそのご子息の手が加わった事が分かるのも感慨深い。個人的には“デヤッ”の掛け声まで欲しかったのも正直なところ笑、ながら、気づかない細部までおそらくあるだろう徹底したオマージュを調べ尽くしたくなる。
◆アイデア
巨大化した浅見(長澤まさみ)にはぶっ飛んだ笑。男としては色んなところに視線が行ってしまいつつ笑、あんな映画の箸休め的要素も、ウルトラマンの理論の元で違和感なく見れてしまうのも不思議。演者にスマホを持たせて、演じながら同時に撮影する、という手法を取ったという本作。映像の切り替わりも多く、禍特対の面々の緊迫感に繋がっていたと思う。総じて、“好き”や“こだわり”が詰まっていて、そこから生まれるアイデアにワクワク感が刺激された。これも映画の醍醐味の一つを味わえる一本だと思う。