「安心安定の庵野秀明(印)な出来映えで楽しめます!」シン・ウルトラマン ミラーズさんの映画レビュー(感想・評価)
安心安定の庵野秀明(印)な出来映えで楽しめます!
庵野ファンならご存知だと思うけど、初代『ウルトラマン』と『仮面ライダー』に並々ならぬ影響を受けている人なので、今回は、監督ではなく脚本と全面監修として携わっているが、庵野氏の意向が込められた作品として過去作の要素が濃縮されているイイ意味でテンプレ的に初代『ウルトラマン』をまとめてあります。
ネタバレあり
ウルトラQと地続きな世界観で始まる冒頭からカットとテンポも抜群のキレで、見せ場を盛り込み観客を引き込む作風もサービス満点で、キャラの日常的な部分を刈り込んだところも『シン・ゴジラ』に通じるイキの良さで、初代ウルトラマンと同じく神格化した造形と精神にして僅かではあるがウルトラセブンの侵略者と攻防や男女観の要素も混ぜているのが絶妙なテイスト絡めている。
禍特対メンバーの役者もそれぞれ適材適所な演技で良いが、やはりメフェラス星人に扮する山本耕史が、とても良い感じで、少しいかがわしくてゲスで安い雰囲気も漂う名演で役者としての力量を魅せる(堀○真○はここに惹かれて口説かれたと思うと想像がはかど…おや?誰か来たようだ…)
少し気になるのは、撮影のカメラ機材の影響か、若干撮影や画面のクオリティにバラツキが見られる点(ピンボケなカットも!)やミニチュア着ぐるみ特撮テイストなイメージなのか?CGも一部が微妙に見える。
実相寺監督アングルなカメラワーク多用も少しやり過ぎに感じる。(ここまでやるなら画面の質感と照明の濃淡にも気を配るべきかな)
5月19日追記
この手映画にしては予算は少なめ(東宝のケチめ)で撮影カメラはかなりのカットをスマホで撮影しているとの事なので、明暗に乏しいのは何となく納得。(後処理で弄ることもするけど画像によっては等しく劣化するので止めのかな)
ウルトラマンを神格化している部分(他の宇宙人👽は結構俗物感あり)から、テレビ版でもあった禍特対メンバーの巨大化を、長澤まさみにさせたり、ウルトラマンに匂いをクンクンする場面などで中学生の妄想並みのギャグを挿入してくるところも庵野氏界隈ぽくて、さもありなん。
監督の樋口真嗣氏もベテラン職人として上手く現場"まとめている姿も想像に難くなく演出家としてこれまでより一段冴えた印象。
とりあえず過去の庵野監督と特撮作品のテイストが溢れており、親の顔よりその手の作品を観てる同好の士と考察が捗るひとも多いと思うので、何度か繰り返し観たい映画。
112分の上映時間も潔い。