「シン・マルチバースへの序章の一歩となってくれ。」シン・ウルトラマン kouさんの映画レビュー(感想・評価)
シン・マルチバースへの序章の一歩となってくれ。
本作は、初代テレビ版ウルトラマンへのオマージュが多い作品だとは聞いていたが、
ここまでやるのかと思ってしまう。
着ぐるみ怪獣の使いまわしネタ。
銀色から赤色の体色変化(カラーテレビ普及率を表しているのかなぁ)や、独特なカメラワーク。
空の飛び方や飛行効果からのオマージュ。
当時の効果音・劇中曲。
ゾフィーのゾーフィ呼びなど、あげるとキリがない。
ストーリーは主に4つの話を繋げたダイジェスト的な作品で、一本の映画として見ると、やや小間切れ感があるため、骨太の物語を見たかった方には物足りなさを感じたかも知れない。
また、過去の映像を現代風にリメイクする事に重きを置いているようにも感じるので、ウルトラマンの大きさを表す為の装置が戦場セットのみで、人間側からウルトラマンや怪獣を見上げるような映像が極端に少ない。シン・ゴジラはゴジラの大きさを感じるカットが多かったので、巨大怪獣の恐怖を感じられるが、本作はそこの恐怖感がオモチャのような愛らしさすら感じるのが、作品の方向性とズレているようにも感じる。
しかし、やはりウルトラマンの格好良さに関しては素晴らしい。ウルトラマンと言えば、基本的には宇宙プロレスを見る作品だ。そこに関して言えば、本作の面白さは非常に高い。
ネロンガ・ガボラ戦も素晴らしいが、特に素晴らしいのはザラブ星人(偽ウルトラマン)との戦闘時の、市街戦。ビルの間を飛ぶウルトラマンの映像は美しいとしか言いようがなかった。
本作でのMVPはメフィラス星人役の山本氏。いやぁ、絶妙な変態感と胡散臭さ(良い意味で)である。ビジュアルも、より現代風になっている為、スタイリッシュ悪魔な感じが良い。
各所で言われているが、渦特隊 が全然活躍しない。
現場の指揮権の行使のみで、情報収集程度の仕事。基本的には現場に行くけど有効打を出さないし、最終戦での結論もウルトラマン頼み。もっと人類の叡智の結晶を見せて欲しかったよ……。
特殊兵器の開発や、ビーグルでウルトラマンとの共闘とかあっても良かったのでは?
そこが肝だと思っていたので、渦特隊にイマイチ感情移入が出来ないのが残念。
ただ、見終わった後の感想としては、……昔、正月くらいには特撮のダイジェスト特番とかあったなぁと。意外と面白くて、それを見て作品を知ったものも多かったなぁと。
それに近い感覚があったので、まさに初代のテレビシリーズを模しているとも言える。
難しい言葉は多いが、内容はシンプルなので万人向けとも言える本作。
劇場で初代ウルトラマンの「音」を楽しむ事に特化した映画とも言えるので、劇場での音に特化した宇宙プロレスを楽しんで欲しい。
個人的にはラストの余韻がもう少し欲しい派なので、そこについては今後のシン・サーガとも言えるマルチバース展開での「帰ってきた」あたりを待ち望みたいと思う。
※シン・仮面ライダーも公開するし、1993年に発売された「スーパーバトル ウルトラマンVS仮面ライダー」をもう一度やろうとしているのかなぁ。いっそ、2大ヒーローに復活したゴジラと戦ってもらっても良いので、そんなお祭り映画を作って欲しいなぁ(版権的には頑張ってクリアして頂いて……)