hisのレビュー・感想・評価
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不確かな愛から生まれる愛情
白川の田舎の風景と人々。
そして同性愛という異質なコントラストが
時間とともに不思議に馴染んでくる。
このようなことは、日本でも珍しいことで
はなくなる日もそう遠くない気がしてなら
ない。
結婚という確かな約束もなく、ただ愛を信
じる同性愛は純粋な反面、不確かな愛だと
思う。
新しい愛や家族の在り方に一石投じる作品
かもしれない。
余談であるが、数年前米国のハーバードと
スタンフォード大学の首席は同性に育てた
れた子供だったと聞いて驚いたことがあった。
また有名なアーティストが同性の親だったと
カミングアウトしたこともあった。
才能や知識を深める環境は同性の親でも
十分に作れるのだと思う。
必要なのは子供への愛情ではないか、
それは両親のお互いの愛情があって成り
立つものだと思う。
育児放棄や虐待する親なら同性愛者の親
の方がずっと良い。
不確かな愛から生まれる愛情は無償の愛
ではないだろうか。
答えを求めてはいけない
この作品は、LGBTQの答えとか正解を出しているわけでない。ただただ愛のある暖かな物語。
とても人間愛に溢れてました。
涙が止まりませんでした。
この作品を見て、中途半端と思う人は、何か答えを求めてしまっているんだろうなと。
これは社会の答えを求めるものではなく、
各々が自分自身で感じて捉えれば良いと思います。
私の日本語はあまりよくないのですみませんでした。 世界中でこのよう...
私の日本語はあまりよくないのですみませんでした。
世界中でこのような映画は珍しいです。米国では、1930年に実装されたヘイズ・コードの影響により同性カップルを含むほとんどの映画の結末は悲しいになります。バイセクシュアルとして、それらの悲しい映画を見て育って心を傷つけました。「あなたのような人にとって幸せな未来はない」という理解したメッセージでした。
だから、hisを観ながらずーっと緊張しました。迅と渚の幸せに深く投資したけど、心のほんの一部で彼らが最後に悲惨になるという可能性を受け入れました。ハッピーエンドは私を安心して泣かせました。
両方の主演俳優は素晴らしかったと思います。特に渚は恐ろしいキャラクターである可能性があったけど、藤原くんは多面的で善意のある人を作りました。
早くまた観に行きたいです。
片手で、卵割れない人。
これは人が人を愛する話しだと思う。
好きになった人がたまたま、同性だった…というだけ。
少し前の風潮なら、同性愛=奇人変人!トンでもない事!でしたが、ここ十年位で随分変わりました。映画を観るとメインじゃなくても必ずゲイっぽい人が出たりする。ゲイの方々が全く出てこない映画の方が珍しい。
でも、大きな声で堂々と『そっち側の人です!』と云えるのはホンの一握りの人達で、やはり山に囲まれた小さい集落で暮らす若者は簡単にはカミングアウト出来るはずもない。そして彼は唐突にフラれた経験があって日々静かに暮らしている。そこへ、フった相手が女の子を一人連れて訪ねてくる…ところから話しは始まります。お話しが進むにつれ、フラれた理由は本当に愛するが所以だったとか、子供は容赦なく本当の事を云うとか色々あり、裁判の場面も見応えあります。
片手で卵を割れない人は、不器用だ。そして
その不器用な人の中にも練習すれば割れるようになる軽度の不器用さんと、どれだけ練習しても割れない重度の不器用さんがいる。私は卵は無理に頑張らなくても、上手く割れる人が割ればいいと思うんだけど。
メインの3人のうち、誰に感情移入するかで鑑賞後の感想が変わるんじゃないかな?もう一度、いや、二度観たい映画です。
【自らの過去の行いを省み赦しを請う事と相手を赦す事の大切さ。ゲイの二人が田舎の人々の優しさの中、前向きに生きる姿勢に変容していく様を優しい視点で描いた作品。】
純真無垢な幼子は、時に”真言”を口にする。
空ちゃんもそうだ。”パパ、ママにきちんと御免なさいって言った?”
(空ちゃん、大人になると余計な知識やつまらないプライドなどで中々、謝れないんだよ・・と心の中で呟きながら鑑賞)
又、人生経験豊かな人も、時に”名言”をさらりと口にする。
老練な猟師、緒方さん(ムーンライダーズの鈴木慶一さんではないか!)の朴訥な口調の台詞
”人から”影響”を受けて生きるのは人生の醍醐味だからなあ。”
”この村の人達は噂好きだが、ソトから来た人は受け入れるよ。噂なんか気にしなくていい・・、直ぐに忘れてしまうよ。皆、良い人達なんだ。”
村の外部移住者受け入れ担当の美里さん(松本穂香さん:この女優さんは今作のような優しい雰囲気の映画が本当にハマるなあ・・、と勝手に思う。)は言う。
”村の老人の方々がお喋りな理由は、自分の豊かな経験を若い人に残したいから何ですって・・。”(良い言葉である。)
・渚(藤原季節さん:邦画の名バイプレイヤー、こんなに優しい表情の藤原さんは初めて見る・・)と、
・迅(宮沢氷魚さん:お父さんそっくりで驚く。初見であるが素敵な方である)は、学生時代から恋仲。
だが、二人は世間の目を気にしてカミングアウト出来ない。
やがて、渚は迅の元を”ある理由”で去り、その後
・玲奈(松本若菜さん:実は”仮面ライダー電王”で拝見した時からのファンである。日曜日の朝、子供達は佐藤健さんを、私は松本若菜さんを観ていた・・。素敵な女優さんである。)と結婚し、
・空(可愛い女の子)が生まれる。
その後、迅は東京を離れ、自ら野菜を作り+緒方さんの猪肉との物々交換とカフカの”審判”を日よけ代わりに顔に乗せ長良川の河原で昼寝をする、隠遁的な日々を過ごしている・・。
そこに、玲奈と離婚調停中の渚と空ちゃんが突然現れ、3人の覚束ない生活が始まる・・。
空ちゃんの岐阜県白川村で過ごしている時の表情と東京での表情の違いに驚く。
又、親権を争う裁判のギスギスした遣り取りも観ていて辛い。
悪人は誰も居ないのに”世間体”の壁と、人の心の中にある潜在的な差別意識の壁は厚く、徐々に追い詰められていく迅と渚と空ちゃん・・。
<裁判の最中に、渚が空から言われた事を自ら行う姿にじんわりと涙が込み上げてきた作品。
新たなジャンルでの恋愛映画でも、今泉力哉監督の力量は確実であることを再認識した作品でもある。>
生きていける未来
なんの予備知識もなく、他に見たい映画がなくて鑑賞した『愛がなんだ』でいきなり顔面パンチを喰らったように唸らされ、その次は期待たっぷりで観た『アイネクライネナハトムジーク』であの練り込まれた原作をこう料理したのかと唸らされ、迎えた今回の『his』。製作していたのも知らないほどに予備知識無し、けれど期待はMaxで公開初日の金曜日に鑑賞。
うーん、やっぱりまた唸ってます❗️
主要人物の男女3人+女子児童ひとり、やたら人懐っこい五右衛門(あの飼い主なのでたぶんゴエモンではなく漢字名)。いずれも私にとっては名前も知らなかった人達とワンチャンでしたが、心からエールを送りたくなりました。
誰にだって
わけがあって
今を生きてる
私にだって
わけがあって
ギターを弾いてる
あいみょんさんの楽曲(小松菜奈さんと門脇麦さん主演の『さよならくちびる』の中でコンビ名ハルレオが歌ってました)でそんなフレーズがありました。
3人の男女ともそれぞれ、ひとどころか家族にも言えないような〝わけ〟があって、およそ望んでた形とはまったく違ってる〝今〟を生きてる。
個人的に抱いているだけの偏見や差別的考えを、あたかも世間一般的な〝常識〟や〝良心〟の代表者であるかのように振る舞う人間の醜さは、これまでも色々な映画で描かれてきています。そしてまた相手方の欠点を抉り出すこの映画の弁護士のような責め口についてもどこかで見たことがあります。
私が唸ったのはそのあとです。
和解を求める渚の妻への謝罪のシーンです。
訴えている内容は、ありきたりといえばありきたりなのですが、『自分の居心地の良さを優先し、かつ、それを壊したくなかったことで(具体的には子供と仲良しなのは自分だけという状況を失いたくなかった)、妻が頑張る姿や良いところを見出だす努力をしなかったこと、いや、本当は見えていたのに見ないふりをしてきてたであろうこと』を正直に告げたことです。
弁護士2人、特に戸田恵子さん演ずる女性弁護士の口撃が凄かったのを見せつけられた直後のことだったので(松本若菜さんは演じなくても本当に泣いちゃったのでは、と思わせるほど)、その対比が余計際立ちました。
他人の欠点をあげつらうことに多くの言葉を使うことに比べて、他人の良いところを見つける少しの言葉の愛おしさと優しさと慈しみ。
この劇的な転回によってそれまでの夫婦のしこりの感情が雪解けして一気にめでたしめでたし、としないところも、この監督の凄いところだと思います。現実世界と同じで、一時的な感情や感動はどんなに強いものであっても長続きしないし、それで単純に解決することなどはないということもしっかりと描き切っているのです。
でも、それぞれの〝わけ〟をそれぞれが理解し、到底納得などはできないことであっても、それでも現実的に受け止めることができれば、なんとかそれぞれが生きていける未来はやってくる。明るいかどうかも定かではないけれど、たぶん、いや、確かに生きていける未来。
そんなことが十分伝わってくる、観てよかったと心から思える映画だと私は思います。
何とも中途半端…
日本のメジャー映画でゲイを描くのはこの辺りがやはり限界なのだろうか?先ずメインキャラクターにリアリティーが無い。ゲイカップルの間にあまり恋愛感情が感じられないのだ。「愛がなんだ」ではあんなに男女間の微妙な感情を巧く描いていたのに。妻にしても夫がゲイだと本当に分からなかったのだろうか。二人の間のセックスはどうだったのだろうか。こういうところをちゃんと描かないとキャラクターに説得力が出ない。最初におじいさんが理解してくれた辺りは良かったのだが、後は周りがあまりに容易く受け入れるのが却って嘘臭い。しかも後半は重点が親権争いに移ってしまって、“Any Day Now”(邦題『チョコレート・ドーナツ』)のパクりかと思ってしまう。ゲイの恋愛模様だけで最後まで引っ張れなかったのだろうか。今の日本の環境では欧米レベルのLGBTQ+映画はまだ無理としても家族ものに逃げないで欲しかった。
「歳を取ったら、男も女も関係ない」by吉村房子(根岸季衣)と吉村美里(松本穂香)のおばあちゃん!?
完成披露試写会にて鑑賞。
立見が出るほど、映画と出演者への関心度の高さを感じる。
前作ドラマから映画の公開を心待ちにし、
予告、記事、インタビューなどあらゆる前情報を入れてから迎えた完成披露試写。
情報を入れ過ぎたかも…、という余計な心配は、
センセーショナルな「えっ!?」シーンから吹っ飛び
最後まで世界に引き込まれ、胸が詰まるシーンの連続に涙が何度も頬を伝う。
ドラマからの伏線と言えるかもしれない、本、好きな人の香り、
映画での、卵、絵本、手紙、自転車の使われ方にもぐっとくる。
主演の2人が試写を観終わったあと、その手ごたえに握手をした…というラストシーンで涙を流し切った。
♪神様 どうか お願いだから♪ 主題歌マリアロード(Sano ibuki) エンドロールを聴きながら
彼らが選んだ道の行き先が、優しい世界とつながっていてほしい。
それぞれがただ、幸せになってほしいと願いながらも
沢山考えさせられ、勝手に彼らのこの先を心配してしまった。
LGBTQというテーマ、それだけではなかった。
人間愛、子育ての在り方、そこに繋がる母娘関係、
地域移住とコミュニティ
離婚裁判の無常、無力感まで考えさせられた。
誰も悪くない、
ただそれぞれが、もがき苦しみながらも、
人を愛し、一生懸命生きているだけ。
だけど、人とも社会とも噛み合わない現実が辛く厳しい。
受け入れる、皆で育てる、地域や性別世代を超えた色々な人が関わることが出来る、転んだらみんなで助ける。
そんな子育ての新しい可能性を見せてくれたようにも思う。
出演キャスト皆さんの魅力と見逃さないで欲しいシーン。
井川迅:宮沢氷魚くんの言葉少ない表情演技が尊い。
田舎暮らしをしていても消せない美しさが、白川町の優しい自然の中に儚く、溶けてしまいそう。
渚が現れた戸惑い、静かだった世界が乱される焦燥感。
空ちゃんや緒方さんとの関わりで、閉ざされていた心の扉が開いていく、狩猟シーンの表情が見もの。
役者として初体験だったという濃厚なキスシーンから朝日に立つブリーフ姿が、脳裏に焼き付いてしまった。歯磨き粉味verも重要。
日比野渚:藤原季節くんのダメンズをはるかに超えた、くずなんだけど人間味溢れる愛されキャラの魅力は、彼自身の魅力、彼も主役なんだと思わされる強烈な演技力。
舞台挨拶で語った、2020年の抱負は「我慢」、劇中の渚にも通づる言葉。
胸えぐられた法廷シーンは、渚の決断によって一気に許された。
日比野空:紗玖良ちゃんの純粋に父母を想い、更には迅をも気づかい、主要キャストをつき動かす言葉の影響力‼︎7歳のお芝居全てが天使!!
日比野玲奈:松本若菜さんの、母として、妻として、女として、彼女の苦悩、親子関係は身につまされ深く深く共感。シングルマザーにはサポートと心のケアが不可欠。
迅との秘密の共有、転んだらみんなで助ける、それがこの作品の最も重要なシーンだったのかもしれない。
吉村美里:松本穂香さん、「わたしは光をにぎっている」では銭湯でお湯沸かしてる鈍臭かった娘が、移住推進課としてシャキシャキ人の為に働いて、氷魚くんに告白までして、勝手に感動。移住推進課の存在を初めて知る。
美里さんが語る、「年寄りがおしゃべりな理由」もイイ。
緒方さん:鈴木慶一さんの存在が、優しい社会のお手本。
「誰かに出会って影響を受けるのは人生の醍醐味やで」
「誰が誰を好きになろうとその人の勝手やで。好きに生きたらええ」
吉村房子:根岸季衣さんの「歳を取ったら、男も女も関係ない」
観ているこちらが一番救われた。
キャスト名を見直してみて、実は吉村美里ちゃんのおばあちゃんだったのか!?
水野弁護士:堀部圭亮さんと桜井弁護士:戸田恵子さんの法廷シーンはきつかった。
「一旦、裁判という場に巻き込まれた人間は自分の未来がどうなるかを如何ともしがたい」というカフカの「審判」の意味を考えさせられながらも、
ベテラン俳優陣の存在感とセリフの重みが胸にしっかり刻まれ、様々な場面で救われた。
二日連続、今泉監督作品を試写で観れた幸運。
ありのままの自分の正直な気持ちを伝えることの大切さを再確認。
mellowを観た直後だから、今泉節は薄い!?と感じたのは理由があったことを、舞台挨拶で話されていた。
「脚本家のアサダさんとも沢山やり取りをして、見る人によっては、気にする人にはこれでも気になるんじゃないかと、気になる部分を直して相談しながらやりました。」
それでもやはり、見逃している今泉ワールドの細かな演出を、探しに行かねば!
聞き逃した音、まだまだあるはずのドラマからの伏線。緒方さんの飼い犬五右衛門の演技。
何回観るかな?
観る前以上に、また観たい、追い続けてきて良かったと思える作品に出会えて良かった。
年末紅白の舞台でも、MISIAがLGBTサポートの意味をもつレインボーフラッグが掲げられ、氷川きよしが「ありのままの姿で」龍に乗った。時代が来たな~と思う2020年。
当初3館だけだった上映館が、全国ロードショーへ広がったことも優しい世界への大きな一歩と信じて。
この作品に関わる皆さん、応援しているファンの拡散力にも感謝したい。
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