劇場公開日 2022年6月3日

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「フランス人の2つの側面を想起」オフィサー・アンド・スパイ kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5フランス人の2つの側面を想起

2022年6月6日
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鑑賞方法:映画館

「最後の決闘裁判」を観たときになんて強引な裁判だと感じた。時代が時代だから仕方ないが、暴力ですべてを解決する中世のフランス(フランスだけではないが)を怖く感じたことを覚えている。あの映画の時代から500年がたった時代が本作の舞台。
この手の冤罪事件を扱う映画だと、権力者たちの保身やいい加減さが描かれるものだと思っていたが、もう完全に予想通り。あの手この手で自分たちが下した判断は間違っていない!と主張し工作する姿は醜悪でしかない。
でも予想外の展開となったのが決闘シーンがあったこと。500年もたっているのにまだこんなことやってたのか!フランス人はどれだけ決闘好きなんだよ!
たとえ自分が間違っていても納得のいかない結論になるなら暴力で解決しようとする。この発想は時代も地域も超えて、DVを繰り返す男たちに脈々と受け継がれているのが恐ろしい。
この話をただの友情物語にしなかったのも憎らしい演出。フランス人は正義のために行動するのだ!みたいな監督のドヤ顔を想像してしまった。ま、暴力で解決しようとしたのも、正義のために行動したのもどちらもフランス人の側面と言える。そんなフランス人感を考えさせられた映画だった。

kenshuchu