「フランスにも反ユダヤ主義は残っていた」オフィサー・アンド・スパイ マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
フランスにも反ユダヤ主義は残っていた
軍の隠蔽工作に対する糾弾はわかるが、ユダヤ人に対する差別は全く払拭されていないと思った。
しかし、フランスはこの約40年後にナチスと戦う。
フランスにも反ユダヤ主義は残っていたのだと思う。
なにか煮えきらないストーリーと思ったが、監督の経験が煮えきらない映画を作らせたと感じた。監督はフランスとポーランドの二重国籍だが、ユダヤ系で、フランスに対する愛国心は無いと見受ける。
同じ様な顔しているので、相関関係が分かりづらかった。
また、眠かった。
マサシさん、共感とコメントありがとうございます。
ドレフェスが当時のフランスの反ユダヤ主義と国家主義を知っていて陸軍に入隊したことが理解できませんでした。調べると故郷アルザス地方が普仏戦争(1870年~1871年)の敗戦によってドイツ帝国に併合されたことが、11歳の少年に大きく影響したようです。因みにピカールもアルザス出身でした。商業に秀でた勤勉さと生活力を持つユダヤ人が嫌われていたのは、他民族の嫉妬や羨望に宗教も絡んで複雑ですが、故郷を失った少年が祖国を守る仕事に就くことで認めてもらいたい強い意志を感じます。実際のドレフュスに対する人物評価はそれほど高くなかったと言います。ユダヤ人が陸軍で出世するには、孤立無援でも弱みを見せないことが求められたのでしょう。陸軍としても入隊を拒否すれば人種差別と批判されてしまいます。ただ軍内部での評価は、いくらでも操作できますから、それが冤罪につながる背景と想像しました。
歴史ものは、誰の立場で描くかで解釈が多様です。劇映画の宿命で、主人公を一人か数人に絞って事件や出来事を考察し、ある程度の結論を提示しなければ面白くはなりません。記録映画なら登場人物の視点を数多く列記して観る者に考えさせるのが望ましい。劇映画が事実の物語と銘打っても、脚本家と監督の視点が影響する。この創造性が映画の魅力にならなけばならないと思っています。
確かにポランスキー監督以外の視点も無い訳ではない。フランスの国家汚点の歴史をフランス人が進んで描くには、それなりの覚悟が必要でしょう。この原作者がイギリス人のジャーナリストなのが興味深いです。