「痛快にしてお見事!な、間違いを恐れぬ主人公の大驀進!」エマ、愛の罠 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
痛快にしてお見事!な、間違いを恐れぬ主人公の大驀進!
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最近、別の映画で「お見事!」というセリフがものすごく効果的に使われていたが、この映画やエマという主人公に対しても、同じくらいのテンションで「お見事!」と言いたくなる。とにかく言葉で説明しようとしても、この物語のハチャメチャな魅力は伝えづらいのだが、圧倒的に新しくて刺激的で、現実を突き破るような痛快さに満ちている。
正直、エマの立てた計画というのは、緻密なのか、おそろしくずさんで行き当たりばったりなのかが判別できない。判別できない、というより、その両方なのだと思う。ただ、倫理的に正しかろうが間違っていようがお構いなしに「よっしゃ!誰も彼もあたいがメロメロにしたるでぇ!」という途方も無い自信を武器に、先へ先へと突き進む。
ベタではあるが、冒頭で赤信号が燃えている。もう止まることなどありえないという作り手とエマの決意表明であり、前半の行き過ぎにも感じるスタイリッシュさも、エマの暴走に引っ張られてバランスを欠いていくような作りが面白い。ラライン監督はエマの世代のことは理解できないと語っていて、理解できないと腹をくくったからこそ、ここまで破天荒なキャラが生まれたのではなかろうか。最高。
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