劇場公開日 2020年11月20日

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「夢十夜」ホモ・サピエンスの涙 t2law0131さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0夢十夜

2020年11月26日
PCから投稿

夏目漱石の「夢十夜」。「こんな夢を見た」という書き出しで様々な異世界な物語を語る実験小説。もちろん、映画化もされた(2006年)。そんな「夢」を観たようなロイ・アンダーソンの作品。すべてが彼の夢で見た情景の断片が只管に並んでいく。なんの脈絡もなく、もちろんストーリーの接続もなく。ただただ、夢の主題ではなく、導入部や終幕後の余韻のようなエピソードが羅列されていく。で、そうであることに気づいた観客は、描かれている世界を食い入る様に凝視するが、気付かなかった観客は、抗いがたい睡魔が訪れる。ともあれ、スクリーンの長方形の窓の外に、カメラ的な移動が一切ないまま四角い空間の中で起きる夢の断片が、観る者によっては至福の時間を齎すことになる。

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