「老師。元帥。亀仙人。」台湾、街かどの人形劇 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
老師。元帥。亀仙人。
さてさて問題です。この映画に出て来ないのは誰?
って言うか、元帥、怖いです。地味に。小っちゃいアナベル、的な。魂、宿ってるから。元帥。絶対。冗談はさておき。
家督だか襲名だかは分らないけど、ずいぶんと面倒くさいシステムなんですね。いや、程度の差はあれども、類似した問題は世界中に溢れてる訳で。人を生き難くするシステムなんて、無くしてしまえば良いのに。なんて、マルクス・レーニン主義的な事も思ってしまうけど。屋号の継承に苦しめられた老師の秘技には、心奪われる。
かつて、布袋戯は生活の延長だった。今は芸術だの文化だのと持ち上げられるのは良いが、役所に認められなければ、存続すらままならない。
布袋戯のドキュメントは、その終焉の記録だと言う、一番弟子。生活の延長であれば、人の生活が変わって行けば、無くなってしまうのも定めだと言えなくも無い訳で。今、この時。儚くも消え行こうとする民間文化は、ただただ美しい。
誰にでも教える。熱意があれば、外国人でも、誰でも。
分化の伝承は、偉大な父である老師の、また自分の生きた証の布袋戯に賭けた、賭けるしか無かった命を繋ぐことに他ならず。
消え行く定めと知りながら、見過ごす事に慣れ過ぎた私達。私達が未来に遺せるものって、何なのだろうか。なんて考え出すと。繋ぐ事の意義を再考しなきゃ、って思いました。
良かった。とっても。
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