劇場公開日 2021年5月14日

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「【”マスカットの樹木の声を聴きながら、春奈は独り懸命に西日本豪雨で土砂に埋まった葡萄畑を掘り続けた・・。”一度は夢破れた若き女性と葡萄農家の再生の物語。】」しあわせのマスカット NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0【”マスカットの樹木の声を聴きながら、春奈は独り懸命に西日本豪雨で土砂に埋まった葡萄畑を掘り続けた・・。”一度は夢破れた若き女性と葡萄農家の再生の物語。】

2021年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

幸せ

ー 岡山県を中心にした、平成30年7月の”西日本豪雨”の記憶は未だ新しい。全国の死者が200名を超える且つてない、大水害であった・・。ー

■感想

<序盤>
・今作が映画初主演の相馬春奈を演じた、福本莉子さんの頑張っているのだが、やや空回りしている姿や(後半は、良いですよ!)、序盤、春奈が北海道から岡山に就職することになったきっかけの”陸の宝珠”を製造している”宗家 源吉兆庵”に入社した同期の女性3人の姿を含めたストーリー展開を見て、
”所謂、地方再生映画かなあ・・、”
と、少し冷めた目で鑑賞。
(映画製作者の皆さま、すいません・・。)

<中盤>
・”宗家 源吉兆庵”に何とか入社したは良いが、人の良さが裏目に出て、ドジばかりで実習先を盥回しにされる春奈。
 そして、困った人事部は春奈を”陸の宝珠”の中に入っている、”マスカット・オブ・アレキサンドリア”の生産葡萄園に実習に行くが、主の秋吉伸介(竹中直人)から、”帰れ!”と冷たい仕打ちを受ける。
 伸介が、頑なな態度を取り続け、葡萄栽培を来年はやらない哀しき理由も徐々に明らかになっていく・・。
 ー 竹中直人、久しぶりの”笑い一切なし”の演技。
   怖い。頑固一徹親父、似合い過ぎである。
   少し、映画が締まる。
   又、”宗家 源吉兆庵”本社のガードマンを演じる田中要次さん、何故あんな地味な役を受けたのか・・、謎である。良かったけどね・・。ー
・春奈が、カーリングの優れた選手だったが”指を怪我した事で”夢を捨て、岡山に来た背景も、サラっと描かれる。

<終盤>
・それまで、頑なだった伸介が、一生懸命な春奈の姿を見て、そして、臨家の葡萄農家の若者タツヤの言葉もあり、徐々に春奈を受け入れて行く姿。
 そして、亡き息子の遺志を引き継ごう・・と気持ちが動いて行く春奈と同じく不器用な伸介の姿を竹中直人が、笑顔なしに絶妙に演じている。

<人の心を動かすのは、
 揺るがぬ熱意、誠意、相手の気持ちをキチンと想いやる行動、そして絶やさぬ笑顔と失敗した時には90度の角度の詫び。
 この姿勢を貫く春奈を、福本莉子さんが、頑張って演じていたなあ・・。

 葡萄好きな男にとっては、
 流石果物王国、岡山 ”マスカット・オブ・アレキサンドリア”一房一万円にはビックリ!したが、
 葡萄の剪定作業、接ぎ木のシーンなども、面白く鑑賞。

 あとは、シナリオをもう少し剪定してくれると、良かったかな・・。>

NOBU