「トム・クルーズ製作・主演ということもあってか、ストーリー全体が格好付け過ぎに見えて…」トップガン マーヴェリック KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
トム・クルーズ製作・主演ということもあってか、ストーリー全体が格好付け過ぎに見えて…
昨年のTV放映分を年明けにようやく鑑賞。
CG処理に感じるシーンもあったが、
実際どうやって撮影したのだろう、
トム・クルーズは実際には飛んでいない
のだろうなぁと思ったものの、
驚かされるばかりの見事な映像が続いた。
そして、昔の仲間の息子を、
その負い目のために
体を張って助けて亡くなるマーヴェリック!
で終わるかと思ったら、
そこがアメリカンムービー、
全てをハッピーエンドに導いて終わった。
この作品はキネマ旬報ベストテンで
見事第2位(読者選出共)に選出されたが、
ストーリー的には、
露骨にイランを想起させるような、
ならず者国家と称した国の
ウラン濃縮プラントを破壊するという
一方的な正義感に危うさを感じると共に、
亡き仲間の息子がマーヴェリックを敵視する
のも、父を死に追いやったためではなく、
志願書の工作だったというのも美談的過ぎ、
トム・クルーズの製作・主演
ということもあってか、ストーリー全体が
格好付け過ぎに見えるばかりだった。
この作品との比較で思い出されたのが、
同じアクション映画で第1位に選定された
「ダイ・ハード」。
経済的に危うくなったアメリカに進出した
日本商社のハイテクビルに、
組織力に優れたドイツ犯罪組織が
テロを仕掛け、
その窮地を救ったのが
妻と別居中の身体を張った一警察官という、
見事にその時代の世相を写し撮った設定に
ベストワンの栄冠を得たと思うが、
残念ながら、この作品では
そんな時代的な洞察性を感じることは
出来ないまま観終わった印象だった。