「戦闘機アクションのみならず、練りこまれたストーリー、出演者・音楽にもこだわった傑作エンタテインメントに脱帽」トップガン マーヴェリック Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
戦闘機アクションのみならず、練りこまれたストーリー、出演者・音楽にもこだわった傑作エンタテインメントに脱帽
ジョセフ・コジンスキー監督による2022年製作のアメリカ映画、
原題:Top Gun: Maverick、配給:東和ピクチャーズ。
遅ばせながら、良い音響の映画館で視聴。十二分に楽しめ、脱帽の大満足であった。
前作は見ており(音楽以外の印象は乏しい)、オープニングでの「Danger Zone」(Kenny Loggins)の迫力・懐かしさと曲に良くマッチした映像の格好良さに、いきなりやられてしまった。また、前作ビーチバレーを受けてのビーチフットボールのシーンも、鍛えられた肉体を見せつけ、かつ皆が楽しげでとても良かった。
何よりジェット戦闘機のアクションが凄まじくリアルで迫力満点、コンピュータ映像が実に素晴らしいと思っていたが、俳優が本物の戦闘機に乗り込んで撮った映像も使ってることを知り、あらためて驚かされた。海軍の協力もあって、戦闘機や空母の質感・重量感に迫るものが有った。
そして、アクション物ではいい加減になりがちだが、ストーリーがとても良く練られていて感心。マーヴェリック(トム・クルーズ)はマッハ10達成で止めておけば良いものを、更に上を狙い機体分解事故を起こす。何とか脱出も、それが原因でテストパイロットをクビになり、海軍追放もあり得たが、偉くなった元同僚アイスマン(バル・キルマー)の推薦でトップガン・メンバーの教官という流れが上手い。無人兵器登場で、凄腕パイロットは過去の遺物で予算を割けない存在という今風論調の物語取り込みも、感心させられた。
酒場で講習前に生徒たちを見かけ、(観客も含めて)そこで一人一人の個性を知る。自信満々で他人と対立しがちなハングマン(グレン・パウエル)に、女性ながら自信に満ち万能に思えるフェニックス(モニカ・バルバロ: この映画でもろにファンになった)等。そして、いわく付きの曲(父の得意曲)をピアノを奏でて唄いあげ盛り上げる準主役ルースター(マイルズ・テラー)。彼の父親が死亡する事故に、マーヴェリックも同乗していた過去も明かされる。酒場での支払いの現金が足らずに、生徒たちに担がれて、情けないかたちで店の外に放り出される教官マーヴェリック。
一方教練では、マニュアルはゴミ箱に投げつけ、実力を知りたいと生徒たちと飛行対決をする。ことごく勝利し、教官の凄腕を知らしめる展開は、酒場でのカッコ悪さがあっただけに爽快感が有り、実に上手い。恋の相手が、娘と2人暮らしの元カノの酒場店主というのも良いし、娘が突然帰ってきて、彼女の家の窓から飛ぶ出したが娘とまさに鉢合わせというのも笑えた。
そして、後ろ盾アイスマンが亡くなり教官のクビを言われた後は落ち込み、元カノに慰められ何か手が打てるはずだと示唆される。そして、敵基地攻撃生還に必要な奇跡を複数クリアする短時間飛行に自ら挑戦し、それを成功させクビを翻させ攻撃隊の一員となる。どん底からの逆転劇だけに、トム・クルーズが何とも格好良い。
F/A-18戦闘機による攻撃隊による目標物破壊に成功したものの、マーヴェリックはルースターを庇って、戦闘機は何と炎上。かろうじて脱出も敵機の格好のターゲット。危機一髪の時、ルースター機は帰還命令を無視して敵機を攻撃し、マーヴェリックを救う。しかし彼の戦闘機もミサイルの餌食となり、彼も脱出し、2人で敵地に取り残される。どうするか見ものだったが、2人は見つけた古い敵機F-14(前作の愛用機)を操縦して、敵地を脱出する。だが、空中線になり攻撃能力も尽きやられるばかりの時、当初対立していたハングマンが操縦の戦闘機が来て敵機を破壊してくれる。
実に良く出来た素晴らしいストーリーで、ピーター・クレイグとジャスティン・マークスによる原案を基に、アーレン・クルーガー 、エリック・ウォーレン・シンガー、 及びクリストファー・マッカリーの3人で脚本を共作しただけはある。
前作から36年、リアルでも病身のバル・キルマー(アイスマン役)を出演させ、最先端のCG技術活用は勿論、音楽ハンス・ジマーに、主題歌にレディ・ガガまで担いで、傑作エンタテインメントを作り上げた製作者トム・クルーズと理系のジョセフ・コジンスキー監督(スタンフォード大機械工学学士・コロンビア大建築学修士)に脱帽である。
製作ジェリー・ブラッカイマー、 トム・クルーズ、 クリストファー・マッカリー、 デビッド・エリソン、製作総指揮トミー・ハーパー、 ダナ・ゴールドバーグ 、ドン・グレンジャー、 チャド・オマン、 マイク・ステンソン。キャラクター創造ジム・キャッシュ、ジャック・エップス・Jr.。
原案ピーター・クレイグ、ジャスティン・マークス、脚本アーレン・クルーガー 、エリック・ウォーレン・シンガー、 クリストファー・マッカリー。
撮影クラウディオ・ミランダ、美術ジェレミー・ヒンドル、衣装マーリーン・スチュワート、編集エディ・ハミルトン、音楽ハロルド・フォルターメイヤー 、ハンス・ジマー 、ローン・バルフェ、主題歌レディー・ガガ。視覚効果監修ライアン・タドホープ。
出演
トム・クルーズ(マーヴェリック)、マイルズ・テラー(ルースター)、ジェニファー・コネリー(ペニー・ベンジャミン)、ジョン・ハム(サイクロン)、グレン・パウエル(ハングマン)、ルイス・プルマン(ボブ)、チャールズ・パーネル(ウォーロック)、バシール・サラディン(ホンドー)、モニカ・バルバロ(フェニックス)、ジェイ・エリス(ペイバック)、ダニー・ラミレス(ファンボーイ)、グレッグ・ターザン・デイビス(コヨーテ)、エド・ハリス(ケイン)、バル・キルマー(アイスマン)、リリアナ・ウレイ(アメリア)、アンソニー・エドワーズ(グース(回想))、メグ・ライアン(キャロル(回想))。
コメントかつ
お褒めの言葉をありがとうございます。
Kazu Annさんのレビューも、丁寧にストーリーを追っていらして、監督の背景とか原案と脚本など、スタッフも改めてこの映画に携わった方々を知れて、素敵でした。
何度でも観たくなる映画ですね。
これからも楽しみましょう。
また、よろしくお願いいたします。