劇場公開日 2022年5月27日

「コレはScreenXに向き、とIMAXレーザーGT鑑賞感追記+作品徹底解説試み」トップガン マーヴェリック アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0コレはScreenXに向き、とIMAXレーザーGT鑑賞感追記+作品徹底解説試み

2022年7月18日
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鑑賞方法:映画館

いつもはiMaxレーザーで上映されてる作品はそれにこだわって鑑賞してるが、今回は(手始めに) ScreenX版で鑑賞してみた。

オープニングの空母発艦シーンから早速度肝を抜かれた感に突入し、空撮や戦闘シーンなどで横方向(側面まで)無限空間状態を体験でき、異次元の迫力を感じさせて貰いました。
横ワイドな体験で、当時一作目を都内有数のワイドスクリーンだった、今は無き「新宿プラザ劇場」D150の大スクリーンで観た時のことが蘇ってきた。

次はiMaxレーザーで見比べる予定。
さながら「テアトル東京」っぽい感じの鑑賞となりそう。
一作目のStar Warsをあそこで観た時の、あのX-wingのクライマックスを彷彿させそうな感じ?

今回の作品自体については、もはやなにも言うまでも無い、(むしろ一作目よりも遥かに)、久々に観た「コレぞ映画っ!」「これこそがエンターテイメントっ!」という以外の何物でもないものだった事だけ伝えておきたい。

蛇足ながら、字幕状ではF-18、F-18、と呼ばれているが、正式には戦闘攻撃機でF/A-18です。
ただの戦闘機では無いのでF-じゃ無いんです。
戦闘攻撃機だから地上の敵基地の攻撃(爆撃)も行えるので、F-22やF-35のような敵と同世代のレベルの新鋭機はこのミッションには不向きという事です。

この機体は、当初F-4ファントムIIの後継的”対戦闘機戦用”「F-18」と、A-7コルセアIIの後継的”対地攻撃用”「A-18」を平行開発し別名となる予定だったのが、開発の進行で両者の仕様を統合可能になったため、最終的に統合によりF/A-18という唯一的な名称になったという、他にない異色の経緯をもっている、F/A-18なのです。
その流れからスコードロンも同期に再編、VA-(攻撃隊)、VF-(戦闘隊)と目的別機種と同様に別隊だったのが、F/A-18の登場によりVFA-化されるか、或いは廃止に。

我が国での『ミッドウェイ』横須賀時代と一致し、F-4とA-7がF/A-18へ機種転換したことで、スコードロン「Dambusters」などもVA-195 からVFA-195に。
そんな1986年12月に第一作の「トップガン (Top Gun)」が公開。

招集された中心メンバーの所属スコードロンと部隊機は、

VX-31 Dust Devils マーヴェリック :米海軍、海兵隊の固定翼機及びヘリコプターの航空試験と評価を行う部隊。
VFA-41 Black Aces フェニックス F/A-18F
VFA-87 Golden Warriors ルースター F/A-18E 以下同
VFA-143 Pukin' Dogs ファンボーイ
VFA-86 Sidewinders コヨーテ
VFA-151 Vigilantes ハングマン

VFA-125 Rough Raiders ペイバックのみ F-35C
VFA-51 Screaming Eagles ボブ 現存しない幽霊部隊(笑)

ボブのVFA-51 Screaming Eagles は、1995年にVF-51のまま(前述参照)廃止になりVFA-は架空です。が、VF-51は第一作の撮影に参加したNASミラマー拠点の飛行隊の 1 つだったことと繋がりで、教官ヴァイパーがマーヴェリック父と同僚時代所属の部隊として語られており、その延長のオマージュとリスペクトに盛り込んだと考えるのが妥当そう。

蛇足で、当方所有の2着の初期型CWU-45Pは『ミッドウェイ』横須賀時代のスコードロン仕様と、初期型CWU-36P当時の新古の素のまま、直後81年製新品入手のCWU-36P後期モデル初年版は、Kitty Hawk (CV-63)艦載機F-14廃止の最後までトムキャット運用部隊VF-24フルパッチ仕様。廃止されたWEP(俗称G-8)は官給廃止直後にアヴィレックスが民間転用製造したUSA製モデルに、ラスト・ファントム部隊の一つVF-161 Chargersのメモリアルフルパッチ仕様で、本体は40年以上、パッチも当時のリアルで35年になり、上記の歴史そのものと。

以下は追記として、取り敢えず予定通り国内最大スクリーンのIMAXレーザーGTでも鑑賞を終えてきたので、今回は映画人生の集大成的に、考えつくままウンチク的な事並べてみます….

まず初めに観たScreenXとIMAXレーザーGTの比較では、この作品は当初よりIMAX上映前提機材で撮影がなされていること、加えてScreenXの為の側方情報も同時収録で、素材自体がマルチ対応している性質上、両者を見ることは必須であると感じ、これはもはや甲乙を述べるの意味ないです。ある意味、別モノ。

特にクライマックスの敵ミサイルで入り乱れた空戦シーン等では、ScreenXは横に気を取られて散漫になりがちなのと、上下情報量的に(広大さが)窮屈感でやや分かりにくい感。
それがIMAXレーザーGTだと、上下情報量において通常版に準じたScreenXのに比して圧倒的な情報量に。
入り乱れたシーンでも十分に”空”が感じられて視認もしやすいくなり、単純に「観やすい」です。
側方情報は「あればより良い」が、IMAXの正面横いっぱいまでの広がりで、問題無しと。

個人的には「国内最大スクリーンIMAXレーザーGTでストレートに映画を堪能(埋没)」がお勧めかと。
もう一度観てもと考えるのなら、付加的(270°とか)要素も楽しめるScreenXは良いです。

本編についてスグに気付くのは、この映画も近年の例にもれずリメイク的手法による続編と言うこと(ターミネーターニューフェイトや、ブレードランナー2049も)
前作のストーリーや人物のキャラクター設定等の素材を活かし、一度バラしてリミックス+新要素も加えて再構築するやり方。
この手法の元祖的なのは『七人の侍』→『荒野の七人』(更にシリーズ化)でしょう。
一例だと、ルースター=かつてのマーヴェリック(父親の件など)、ハングマン=アイスマンを彷彿など。それを要素を足し引きしてアレンジ。偶発墜落事故シーンなんかもそのクチですね。

加えて60、70年代、さらには80年代には良く見られた所謂男気映画の要素がてんこ盛り状態であると。っで、今回 新たに盛られたと思われる要素を列挙。
まずは60~’70年代の戦争アクション、中でも爆撃モノ『633爆撃隊』辺りと、『モスキート爆撃隊』も入ってるかも。難攻不落に果敢に挑戦する為に、殆ど不可能と思われるミッションの訓練を繰り返すという元祖。
敵地で敵機奪って二人で脱出は『大脱走』。(トムでリメイクも囁かれた)
爆撃、墜落、脱出という流れは’80年代の『イントルーダー怒りの翼』辺りも?

それと外せない感じが’84~'86年の人気TVシリーズ『超音速攻撃ヘリ エアー・ウルフ』。
レーダー網など敵の探知を回避して山の起伏や渓谷形状に沿い山肌を這うような超低空高速飛行で攻略するという、まんま感。

一応、万人が気づきそうなのが、SW/EP4の計器に頼らず標的命中させるクライマックスとの類似。
大元は『燃えよドラゴン(龍爭虎鬥)』クライマックス鏡の間の闘いでリーに聴こえてきた老師の教えとも。

締めは、今回ミッション自体は6人でチームですが、最後のお助けでハングマンが1人加わったらこれで、主要メンバーは7人=まんま『The Magnificent Seven』完成って事で!

この映画にて、実は最もトムが意識(リスペクト)していたと考えられるのが「チャック・イエーガー」と言う”地球上(大気圏内)最速”に挑んだ伝説的人物です。
映画の冒頭、そして映画の締めで再びそれが現れているので間違いないでしょう。
冒頭のマーベリックがテストパイロットとしてマッハ10のスピードに挑むシーンは、チャック・イエーガーがマッハの壁に挑んだことへのオマージュと考えられる。
その象徴の、冒頭の格納庫内にその姿が認められラストシーンで宙に舞う第二次大戦の量産レシプロ機史上最強(諸説あり)のP-51マスタングこそ、大戦末期のエース・パイロット、チャック・イエーガー氏の愛機と同型機。
因みにそのP-51で、史上最初の量産ジェット戦闘(爆撃)機独Me-262の撃墜も記録され、チャック・イエーガーこそ、まさに戦中~戦後にかけてレシプロとジェットの過渡期の狭間を生きた伝説的存在なのです。
日本では短縮版公開だった『ライトスタッフ』中でそのテストパイロット時代がマーキュリー計画との対比として描かれ、エド・ハリスは(対する)宇宙飛行士側を象徴する役柄が今作と被るのと、『ザ・ロック』の准将役でもブラッカイマー繋がりあり。

因みにこのP-51というのがまた、「マルチロール機」のごく初期例との評価もあるようです。
付け加えると、映画のP-51(改造機)はトムの私物だそうで。

音楽ネタは、
冒頭の墜落後にたどり着いた店内で流れてる(サワリのみ)のはハンク・ウィリアムスの「Your Cheatin' Heart」だけ’50年代曲で、他の前半使用曲は’60年~’70年代の、何故かほぼブリティッシュ系。
因みに、最重要な訓練シーンの「Won't Get Fooled Again」がThe Who71年作で、これはよく知られたブラッカイマー繋がりの『CSIマイアミ』のテーマにも。
ジュークボックスからのT.Rex「Get It On」が71年とFoghat「Slow Ride」が75年、Otis Redding & Carla Thomas 版「Tramp」が67年。

レディングはアメリカ系ですが、The Whoとはモンタレー繋がり(別日)。
彼のこの曲は67年4月にヒット、6月モンタレー・ポップ出演、更に同年12月に”自家用機の墜落事故”にて事故死しており、その彼へのオマージュも?
マーク・ボラン(T.Rex)はその十年後の77年の9月、こちらは自動車事故死で29歳の若さで早死。先述のハンク・ウィリアムスも29歳で。
The Whoもキースがその翌78年のやはり9月32歳で若死に。ジョンも ‘02年に57歳の早さで。
これらの楽曲はブラッカイマー氏の青年期と被るって感じかな?

何故かDavid Bowieの「Let's Dance」だけが83年という、理由に考えられるのはブラッカイマー絡みの82年『キャットピープル』の主題歌「Cat People (Putting Out Fire)」がBowieで、それ(再録)が収録されているアルバム表題曲が「Let's Dance」といったつながりモロです。
更には、ジェニファー・コネリーの店でBowieの曲が流れてるって?、実はこの2人は‘86年の『TOP GUN』と同年公開の『ラビリンス/魔王の迷宮』主演(曲も提供)の二人という楽屋落ちです。
ジョージ・ルーカス制作だったこれの次回作、88年の『ウィロー』にヴァル・キルマーが主演というのも。

劇中曲は続投のメイヤーに加えハンス・ジマーで、この2人はどちらもドイツ系。
(上記の曲は公式サントラには未収録なので、自力で自作を)

あと、この映画の空戦関連は殆どCGで、当然実写じゃ無いです(ムリです)。
実写は主にメインのF/A-18一機だけと地上シーンのF-14だけで、他は敵機も含めてフルCG状態です。

最後に言っておきたいのは、‘80年代頃までのご都合主義ハリウッド映画のテイストそのまんま感が兎に角良い!
人種とかジェンダーとか男女同権とか、誰かやどっかへの気兼ねや忖度や配慮は要らない、「これがアメリカの娯楽映画なんだ」で良いと思う。しかしホント、中国のテンセント手を引いてくれて良かった~

個人的には映画の内容についての感想以外の、うんちく等を披露して長々と並べさせると言うのは好きじゃ無いんですが、うんちく好きな方たちも結構おられるようですし、これも何かの参考になりましたらと、勝手放題書かせてもらいました! (突っ込みはご勘弁)

アンディ・ロビンソン
wizard03-angel32さんのコメント
2022年7月31日

マルチロール機は整備変更しなくても爆装等できますよ。
F-22がF/Aにならなかったのは、もはやマルチロール機が当たり前だから。
なお、F-117は実質爆撃機なのに戦闘機記号つけてますよね。
つまりアメリカあるあるの「基準はテキトー」ってこと。
そこまで具体的に定義しようとすると、日本人は真面目だなHAHAHAで終わりです。

wizard03-angel32
アンディ・ロビンソンさんのコメント
2022年7月23日

誤解あるようなので整理しますね。
マルチロール機というのは、最新鋭の多目的機を指すカテゴリーとかじゃなく、整備変更にて制空戦闘、偵察、各種の攻撃任務などに適応可能となる機体の総称で、F-4,5,20,15E/EX,16,22,35の全てです。あとF/A-は米軍機で唯一の18のみであり他には存在しません。22はなり損ねました(笑)。F-4,A-7後継個別のF-18+A-18からF/A-18となったとか?

アンディ・ロビンソン
wizard03-angel32さんのコメント
2022年7月20日

F-35はマルチロール機なんで、爆や対地攻撃もできますよ。
また現状、ほとんどの戦闘機は戦闘攻撃機なので、F/Aという記号はもはや使われず、F記号のみが使われています。

wizard03-angel32