「ブラッシュアップ・スカイアクション!」トップガン マーヴェリック しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
ブラッシュアップ・スカイアクション!
"トップガン" シリーズ第2作。
IMAXレーザー/GTテクノロジーで鑑賞(字幕,レイトショー)。
会社の同僚2人と観ました。
コロナ禍による延期に次ぐ延期に、否応無しに期待値が上がっていた本作ですが、期待を遥かに上回る面白さでした!
冒頭のシークエンス―空母から発艦していくF‐18を様々な角度から捉えたシーン、そのバックに流れる名曲「デンジャー・ゾーン」。1作目への溢れんばかりのリスペクトとオマージュだけでなく、「伝説的作品の続編をこれからぶち上げるぞ」と云う意気込みにも感じて、体中が興奮にたぎりました。
続編ながら、ストーリーは1作目に似通っていました。
ですが決して、二番煎じでは無かったのがすごいな、と…
マーヴェリックが年月を経、若者を指導する立場となったことで、前作からの物語の広がりを生んでいました。
彼が過去の悔恨やグースの息子と向き合うことで生まれるエモーショナルな人間ドラマが、過酷な訓練や最高難度のミッションにおいて繰り広げられる圧巻のスカイアクションと共に描かれており、カタルシス満載で突き進む様はまさに怒涛。
随所に散りばめられたオマージュは、1作目公開当時からのファンの方ならめちゃくちゃ胸アツなことは必至でしょうし、かつてのライバル、アイスマンとの再会シーンなんて、にわかの私にとっても本当に感動的な名場面でした。
クライマックスはジェリー・ブラッカイマーらしさが全開でした。80年代から2000年代初頭にかけて製作されたハリウッドのアクション映画を彷彿とさせる展開の連続で懐かしさを覚え、手に汗握らずにいられませんでした。
旧型が圧倒的優位の新型に立ち向かうと云うシチュエーションが大好きなので、クライマックスのF‐14対第5世代機のドッグファイトでは興奮の坩堝に突き落とされました。
操縦はマーヴェリック、後席にグースの息子・ルースターが乗り込む展開もアツすぎました(マイルズ・テラーに髭を生やすとグースにそっくりになると云うのはキャスティングの妙で神懸ってる。ほんのりそっくりなのも親子設定に説得力を齎していた。だからこそ、マーヴェリックの後席にルースターが座った瞬間の感慨も一入になったんだろうなぁ…)。
なんとニクい演出なのだろうと涙が出ました。マーヴェリックの心には常にグースの存在があり、その息子を後席に乗せて戦い、無事生還したことで、彼自身が救済されただけでなく、ルースターとの関係も修復されて絆が生まれると云う、前作をきちんと踏まえた上での結末を提示する、続編のお手本のような手堅さにさらなる感動を覚えました。
劇中でも語られていたように、戦闘機はいずれドローンに置き換わり、パイロットが必要無い時代が訪れる…
これほどまでに感情が交錯する迫力満点のスカイアクション映画は、もしかしたら本作で最後となるかもしれません。
今はまだ、その時では無いにしても。
そう考えると、本作は素晴らしいタイミングで世に送り出された、鮮やかで強烈な閃光のような映画に思えて来ました。
[余談1]
アイスマン(ヴァル・キルマー)はどのように登場するのかが非常に気になっていました。ヴァル・キルマーは実生活において喉頭がんを発症し、治療したものの後遺症で声が出せない状態だったからです。いざその登場は、そのことが考慮された設定の上で構築されていて、トム・クルーズの配慮と友情を感じると共に、胸が熱くなりました。
[余談2]
本作こそ、真にIMAXで観るべき映画だと思いました。
トム・クルーズがコロナ禍の影響で公開延期されても、配信ではなく映画館での公開を切に願った真意がよく分かった…
テレビ画面では決して味わえない興奮と迫力が満載でした。通常のスクリーンですら、最大限に引き出せないかも?
CGを極力使用せず、本物での撮影と云うこだわりが炸裂した空中戦は、大画面や最高の音響で観てこそ、とてつもない迫力や戦闘機の爆音・振動を臨場感たっぷりに体感出来る…
本作の持つスペックを余すところ無く発揮出来るのは、きっとIMAXのスクリーンと音響なのでしょう…
IMAXで観てこそ、本当の意味で「トップガン:マーヴェリック」は完成するのだと、自信を持って断言します!
[余談3]
故トニー・スコット監督への追悼も忘れていない…
ここも本作が素晴らしいところ!
[追記(2022/05/31)]
近年人々の映画の鑑賞傾向が、コロナ禍の影響もあって、サブスクなどの配信をスマホやタブレットで楽しむ方へと変化して来ている中で、映画館で観てもらうことを絶対条件として主眼に置いた本作が公開3日ですでに国内において社会現象的ヒットとなっていることに喜びを禁じえません。
映画館でしか味わえない体験を約束した本作のクォリティーが高いことを証明しているのはもちろん、そのおかげで「映画は映画館で観るもの」と云う原点回帰を促す絶好の機会になるかもしれないなと、一映画ファンとして嬉しいムーブメントになりそうな予感があり、とてもワクワクしています。
[追記(2022/08/20)]
ラストのマーヴェリックとルースターのやり取り…
マ:君は命の恩人だ。
ル:父の代わりです。
…をもう一度聞きたくて居ても立っても居られず、せっかくだからとMX4Dで3回目の鑑賞に挑むことにしました。
結果、マーヴェリックと共に空を飛び、困難なミッションに参加しているような気分を味わうことが出来ました。
過酷な訓練、ミッション本番を経、クライマックスのドッグファイトでは興奮のあまり泣きながら揺られていました。
その後の上記のやり取りに追い打ちの落涙でした(笑)。
[以降の鑑賞記録]
2022/06/11:TOHOシネマズ梅田(TCX,Dolby-ATMOS,字幕)
2022/08/20:TOHOシネマズなんば(MX4D,字幕)
2022/09/11:Amazon Prime Video(購入【4K UHD】,吹替)
2022/12/03:Ultra HD Blu-ray(字幕)
※修正(2023/08/27)
なないろさん
コメントありがとうございます。
拙文がなないろさんの鑑賞後のお役に立てて何よりです。
ルースターとハングマンの関係性、マーヴェリックとルースターのそれにばかり目が行って見落としていました。気づかせて下さってありがとうございます。確かに感動的です。
突然お邪魔します。自分も2回観賞したところですが、この興奮と感動を言葉にするには安っぽい言葉にしかならない気がしてレビューは見る専門にしておりました。
余談から追記まで読ませて頂いて共感と自分が望む余韻に浸らせて頂きました。
ハングマンが予備員になるあたり、絶対最後来るでしょ!と思いつつ、あのシーンがあるからこそルースターとハングマンが、かつてのマーベリックとアイスマンを彷彿とさせて、帰還後のシーンは二重に感動致しました。
これを機に映画館が更に盛り上がってくれるといいですね。
ばるすパパさん
コメントありがとうございます。
まさに仰る通りです!
映画館でしか味わえない興奮と感動がたくさん詰まった作品でした。
アカデミー賞で撮影賞や音響編集賞辺りにノミネートして欲しいです。
Megさん
コメントありがとうございます。
とんでもないです!
仰る通り、映画館で鑑賞したことを誇れる作品だと思います。
Megさんがレビューに書かれてらっしゃいましたが、確かに観た後は会社帰りにイヤホンはめてサントラを流して、デンジャー・ゾーン聴いてます(笑)。
私が感じたことを全て言葉にしてくださって、ありがとうございます‼︎ そうそう!ってうなずきまくりです。これを映画館で見たんだよ、って語り継がれるべき映画だと思います!
本当にそう思います!
それだけでも感動的です。
ヴァル・キルマー氏は声を出せないので、劇中で発した彼の声はご本人の音声データを元にAIで再現したものらしいです。
近大さん。
コメントありがとうございます!
僕も未だに興奮と感動を引き摺り、反芻しています。
「デンジャー・ゾーン」や「トップガン・アンセム」が頭の中で鳴り響いています。
一切妥協しなかったトム・クルーズと製作陣の熱意に心からの敬意を表したい気持ちでいっぱいです!
興奮と感動の見応え。
ド迫力のドッグファイト。
キルマーの出演。
トニー・スコットへの敬意。
前作オマージュ。
トムの熱意。
仰る通り、全てが完璧でしたね。
私の心は未だ大空を飛んでいます。
> トム・クルーズがコロナ禍の影響で公開延期されても、配信ではなく映画館での公開を切に願った真意がよく分かった…
ほんと、そうです。一生忘れることの体験ですよね。
1作目の内容は、ほとんど忘れていましたが、すごいものを見て、音楽に酔いしれた体感は記憶は残っています。今回は、さらにすごいことになっているから、あの世でも思い出すと思います。
y.n.さん、コメントして下さり、ありがと うございます。
敵の隙をついて横移動しながらのバルカ ン砲は凄まじくカッコ良かったです。
前作のリアルタイム世代ではありません が、前作が大好きなので、本作のつくりには胸が熱くなったし、感動させられました!