海辺の映画館 キネマの玉手箱のレビュー・感想・評価
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遺作も大林ワールドだった
「ハウス」を観た時の新鮮な感動を思い出す。そんな原点復帰と数々の作品に縁の出演者も登場し、懐かしさは満載。
遺作のメッセージは平和主義と言論や表現の自由かなあ? 想いが尽きないのか、やや説教臭く長くなりがちは、仕方ないね。
高橋さんのぎこちない語りは、監督の代弁か。監督共々、合掌。
意欲は買いますが、長過ぎて、疲れました。
大林宣彦監督の遺作。それも179分(3時間)の意欲作。
大林宣彦監督の最後の命を、燃やし尽くした労作でした。
3時間の長い長いお説教、座って見てても卒倒しそうなストレスがかかった。
《戦争反対》《平和な未来を!!》
この2つを言うために、これだけ長々と、行きつ戻りつ、脈絡なく3時間を、
縮められなかったのか?
戊辰戦争、新撰組、白虎隊、沖縄の犠牲、満州事変から第二次世界大戦そして敗戦。
100年の歴史を草の根レベルで事細かな【寸劇の貼り合わせ。】
そのメチャクチャな時代の流れの、行きつ戻りつが耐えられない。
時代順に進まないのがストレス。
出演者・配役が多彩で、オールスターキャストです。
今夜限りで閉館する尾道(監督の故郷)の「海辺の映画館」
オールナイト上映で「日本の戦争」を学びます。
客席の男の子3人がスクリーンにタイムスリップして、役者に早変わり。
他にミュージカル、無声映画、トーキー、アクションと実験映画の様相です。
監督、老いても映画制作の情熱は凄かった。
そこは分かるのですが、詰め込み過ぎ、説教が長くて、伝わらない。
出演者では成海瑠子が体当たりの汚れ役もこなして頑張ってました。
新人の3俳優も健闘。元YMOの高橋幸宏も意外性ありナイスキャスト。
大林宣彦監督、ご苦労様。
優しい笑顔が大好きでした。
『異人たちの夏』大好きです。
ご冥福をお祈り致します。
若者に平和を託す・・
映画の形をとっていますがこれは紛れもなく大林監督の世界観に基づく平和への願いを込めた遺言です。熱意もその主張の正当性も疑いの余地は無いのですが映画としてみた場合に楽しめるかと言うと無理があるのは否めません。
タイトルから情緒的な作品かと期待したがいきなり珍妙なナレーション、一見SFチックと思ったらハリウッドレビューのような歌とダンスにはじまって戦争映画一挙上映と言いながら劇中へ観客がタイムリーブのハプニング連続に正直面食らいました。
先ず若者は戦争には無知であり関心もないノー天気だろうから興味を引くような現代風でビデオ・ゲームに参加のような軽妙なタッチであるべきと言う前提に無理があるように思えますが映画ばかりかCMづくりにも長けていた監督らしい読みとも伺えますね。
やはりそればかりでは迎合しすぎと思ったのか詩人中原中也の詩を用いて風格を添えてはいるのですが、まだ本意が伝わらないのではとの不安もあったのかくどいほどのナレーションで直接的なメッセージを足している。年寄の話はくどいと言われそうですが思い余ってのことなので致し方ありますまい。
広島生まれの監督だから反戦と言えば原爆だろうと察しが付くが戦国時代や新撰組と殺戮の歴史から振り返るから長くなる、3時間の長尺だがそれでもエンドマークは出さず中断と言うから恐れ入る。坂本竜馬に憧れていた金八先生も念願かなって龍馬役、これなら賛助出演者も納得のようでその顔触れも豪華絢爛。
反戦への思いとしては前作「花筐」で出し切ったと思えたが芸術性の故か肝心の若者に伝わっていないのではとあえて奇策で本作に臨んだようですが若者はどう受け止めたのでしょうかね・・。
独特な映像美・・・大林宣彦監督からの贈り物
この映画を制作する大林宣彦監督の姿を追ったNHK「クローズアップ現代+」という番組を観て以来、気になっていた作品。
人格をも変えてしまう戦争というものの怖さが、主人公の追体験を通してリアル伝わってきました。
満天の星空の下、細田善彦さんと成海璃子さんお二人によるデートシーンの映像が切なく美しい。
戦争のない未来を作って欲しいとの大林宣彦監督の強い願いを感じました。その思いに賛同されたキャストの皆さんの熱演も印象に残る作品。
-瀬戸内キネマ
映画館での観賞
コメディタッチだけど芯はついてる
179分と3時間ほどある大作でしたが飽きることなく1日で見れました。細山田隆人君は太ったのか顔はまん丸で体型も年相応で肉がついていてなんかエロさを感じました。厚木拓郎君は昔の映画(マヌケ先生)の映像も使ってあり少年の頃も見れました。映画は正直めちゃくちゃ自由で意味がわからなくなる事もありましたが先が気になり楽しめました。今回もヌードシーンはありましたがぼかしが入っていて逆に良かったです。(トップレスも乳首は見えず輪郭だけな感じです)見やすいなって感じました。笑える演出とかもありましたがしっかりとした所もあり楽しめます。
知的、難しい、寝られる。
突然思いついて、9/2にシャンテシネまで見にゆく。
久しぶりの有楽町であり、日比谷であり、映画館でもあったのだが、なかなか刺激的な時間を過ごした。一つおきの座席。
しかもチケットを買うとき、あえて最前列を指定してしまったため、画面は見づらいものの、没入感は最高の席で鑑賞。
年上の友人から勧められたのだが、ほぼこの映画についてなにも調べず見た。寝るつもりはなかったが、不覚にも何度か寝てしまった。
スクリーンで高橋幸宏さんを見たのはもしかしたら初めてかもしれない。
大林宣彦の遺作。反戦思想がたっぷり詰まっている。
「ふたり」とか「転校生」とは比べようのないほぼなんの制約も受けず製作したのではないかというような内容だった。
破綻寸前のストーリーと超豪華な役者陣。片岡鶴太郎、稲垣吾郎、武田鉄矢、笹野高史、高橋幸宏、小林稔侍、常盤貴子、大森嘉之、浅野忠信‥‥
しかし感動を交えた素晴らしい驚きは私にはほぼない。人によってはあるかもしれない。
ヤクザ映画も、戦争映画も、白虎隊もトーキーも好きだった少年時代の宣彦少年に向けて作られたのではないかというような実験的作品。
宇宙船のコックピットに高橋幸宏
瀬戸内シネマ?という場末の映画館の最終日
中原中也の詩
オールアフレコだろう
背景との合成も半分以上あるのではではないか
上映後、後ろを振り返ると20人程度は入っていた。
その人たちの顔を眺めていたかった。
多分その方が面白い。
まぁ、なんですが^^;
正直、長い長い冗長な映画。
メッセージ込めるなら短い方がいいかも知れない。
ファンタジーだと思うと腹は立たない。
オープニングから、嫌な予感はしたけども。
ラストもなんだかなぁ。
山崎紘菜さんと成海璃子さん見れたからいいや^ - ^
大林宣彦作品の集大成ではあるんでしょうが…
タイトルからなんか引かれる物があり、また故大林宣彦監督の作品とあって、観賞しました。
で、感想はと言うと、あくまでも個人的な感想ではありますが、一言で言うと…う~ん…
言わんとしている事は分かんなくは無いんですが、正直全く合わなかった。
教育映画の様で演劇チック。
映画の様々な映像手法を敢えて取り入れているにしても、やりたい事が殆ど理解し難いし合わない。
また、179分も掛けてこれか?と言う感じです。
最初の始まって直ぐに違和感と言うか、合わない感じがずっと最後まで拭えなかった。
大林宣彦監督の集大成に近い作品なのかも知れませんが辛辣な言い方ですが、なんか宗教に軽く傾倒していて、声高らかに世界平和を謳い、映画好きのお金持ちが周りに乗せられて、自分のメッセージを目一杯盛り込んだけど、途中で予算が尽きかけて、出資者がお金を出してくれたけど、いろんな意見を言われて、無下に断れないから、言われた事を盛り込んで作りました映画。
的な作品と言う感じでしょうか?
数々の功績を残した大林宣彦監督の遺作となる作品なので、野暮は言いたくないですが、それでもここまで合わないとこれはちょっと…と言う思いです。
尾道を舞台にした作品は沢山あり、その風光明媚な情景に想いを馳せる映画ファンも沢山いると思いますし、また映画ファンなら一度は訪れてみたい場所でもあるかと思います。
小津安二郎監督の「東京物語」に、最近山田洋次監督がリメイクした「東京家族」。
なんと言っても有名なのは大林監督の「尾道三部作」。
大林監督が尾道を有名にしたと言っても過言では無いかと思います。
大林監督の作品はどれもノスタルジックな思いにかられるし、思い出補正がされているにしても、今観賞しても何処か"キュン"となる青春の思い出の1ページみたいな感じです。
そんな映画の町、尾道は一時期映画館が存在しない時期があり、それを憂いた大林監督が恩返しの意味も込めて製作したかと思います。
ですが、全うな映画を作ると言う趣旨から結構外れている(感じがする)
思いとメッセージだけが先行している感じでしょうか?
なので、舞台となる映画館の「尾道シネマ」は実存する「シネマ尾道」がモデルとなっているかと思いますが、殆ど意味を成してない様に思えます。
また、戦争映画を上映するに当たり、そこからタイプリープすると言うのは大林監督らしいけど、結構なこじつけ的にも感じて、尾道の意味合いが薄くなってるんですよね。
広島での過去の戦争だけを取り上げるのではなく、様々な戦争を取り上げているのが大雑把になりつつブレている様に感じる。
沖縄の徴兵事情や戦中に演劇慰問をした「桜隊」の辺りからそれなりに面白くはなってきましたが、それでもダレる。
尾道を語るのに敢えて沖縄や会津の白虎隊や婦女隊の話っていります?
平和の上に映画と言う文化が成り立っていると言うメッセージは分かるんですが、…なんだかなぁ~的でこじつけ臭いんですよね。
またクロマキー合成もなんかあざとい。
その他、いろんな説明のナレーションもくどいし、意味の無いインターミッションも意味不明。
文字にして説明していても、転換が早すぎて読むのが追い付けないテロップの意味のなさも分からないし、映画を楽しもう!としていたとしても、覚えたての編集技法をとりあえず入れてみました的なのがウザい。
スペシャルゲスト的な出演者はかなり豪華で様々な俳優さんが出演されてますが、メンバーが多すぎて、大林宣彦監督を偲んでと言うのは分かっても、これで良いのか?と言う感じです。
正直「海辺の映画館 キネマの玉手箱」と言うタイトルの意味が殆ど成り立ってないかな。
すいません。ボロクソですね。
でも、結構期待してたのでここまで辛辣になりました。
ただ、原爆投下の際の描写の「ピカッ…ドン!」の件りは生々しく迫力がありました。
コロナの影響で4月の公開が今まで延びたのは幸いしたかと思いますし、広島での映画の成り立ちと戦争の歴史。桜隊の部分だけをクローズアップした方が良かったかなぁと思いますが、如何でしょうか?
とにかく、かなりスカされた感じで今の所、個人的に今年のワースト作品に入ってます。
「時をかける少女」「さびしんぼう」「転校生」「青春デンデケデケデケ」「天国にいちばん近い島」「異人たちとの夏」
大林作品は青春の1ページと言っても過言では無いかと思います。
だからこそ、すんごく残念。
あくまでも個人的な感想なので、一意見として捉えて頂ければなんですが、物凄くガッカリではあります。
映画館の暗闇の中でなにを視るのか
自宅での鑑賞が続いていたので、多くの作品は、わざわざ映画館で見なくてもいいのではないかしらん、と思うようになってきた今日この頃ですが、さすがに大林宣彦監督の遺作のこの作品を見逃すわけにはまいりません。
尾道唯一の映画館、それは海辺にある古いコヤの「瀬戸内キネマ」。
ピカと稲妻が光り、ドンと雷鳴轟く嵐の中、最終日を迎えることになった。
最後の上映プログラムは「日本の戦争」映画大特集オールナイト上映。
映画を観ていた3人の若者、突然スクリーンの世界にスリップイン!
そこでみた「映画の真実」「日本の戦争の真実」とは・・・
といったハナシだけれど、オープニングから面食らう観客が続出するかもしれない。
先に書いたあらすじに入る前に、監督の分身ような(でもそうでないような)高橋幸宏「爺・ファンタ」が宇宙船に乗って登場し、何が始まるのか、もうてんで予想がつかない。
大林監督の妄想の大爆発なのだが、今回ばかりは妄想ではなかった。
映し出される映像は、おもちゃ箱をひっくり返しても、こうはいかないと思うぐらいのカラフルさ。
で、かつ、(一見)脈絡のなさ。
けれども、「日本の戦争の真実」が描かれている。
戦争といえば、太平洋戦争・・・というのではなく、幕末の戊辰戦争から描かれており、「日本の戦争」がそこから始まったと監督がみていることがよくわかる。
勝ったのは官軍、薩長とはいうもの、実は長州のひとり勝ち。
太平洋戦争で米国に日本は負けたけれど、長州のひとり勝ちは変わっていないんじゃないの、それはいまも続いているのじゃ何か知らんと訝っている。
映画は、時代も物語も登場人物もなにもかも縦横無尽に行き来する。
かつて、大林監督が言っていたことで印象的な事があります。
「映画というものは、止まっている画を動いているようにみせるものなんだけれども、画が写っているのと同じ時間だけ、画と画の間で閉じているシャッターの暗闇を観ているんです。暗闇の間は何も見ていないのではなく、実は、暗闇の中で自分自身を視ているんです」
暗闇の中で視る自分自身、自分自身の心・・・
一見、騒々しく取り留めのない煌びやかな画の連続だけれども、暗闇の中で自分自身と相対する・・・
大林監督、ありがとう!
でも、ひとつだけ文句を付けると、「ハッピーエンド」ではなく、「to be continued... and be happy」がいいと思うんですけど。
なお、後半登場する沖縄のエピソードでは涙が止まりませんでした。
ご冥福をお祈り申し上げます。
大林監督はとても大好きな監督さんで、私の青春の1ページを飾ってくださった監督さんです。
ですので、お亡くなりになる直前まで映画を撮り続けられたパワーに心より敬意を表します。
…多くは語りませんが、私はこの映画は好きになれませんでした。描きたいことはわかるのですが、設定にも違和感があり、歴史考証も甘く、クロマキー合成やアフレコのせいか、出演者にまったく感情移入ができず辛い時間でした。
編集も、たしかに体験したこともないものでしたが、私は映画にこんな違和感のある体験は求めません。不愉快に近いものでした。NHKの「歴史が動いた」や「歴史秘話ヒストリア」の編集の方がずっと上だと感じました。
厳しいレビューになりましたが、大林監督の後を追ってがんばる皆様もおられると思いますので、観客として、追悼の意を込めつつも率直な感想を書かせていただきました。
もし、若い方がご覧になって、「戦争の悲惨さ」や「大林監督のパワー」を感じられたのなら、それはそれでよいと思いますが、少なくとも私の世代には受け入れがたい作品と感じました。
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