海辺の映画館 キネマの玉手箱のレビュー・感想・評価
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わぁ~スゴイ!
唯一無二、大林監督の映画でした!
モノクロ、トーキー、ミュージカル、殺陣などなど
映画の歴史に未来が続く。
最初は、このオモチャ箱が引っくり返ったような展開に
意識が着いていけなかったのですが、
だんだんと、三人の男たちと同じように
自分も入り込んで行くかのように集中していきました。
素晴らしいです。
戦争の酷さを映画できちんと教えてくれています。
こんなに監督自信が伝えたいことを明確に表している
日本の映画を観たのは初めてかも知れません。
スゴいです。
これは、あらゆる人に観て欲しいと思いました。
後世に語り継ぐべき作品です。
日本人を付和雷同と評されたこと、痛かったです。
頬を打たれた気分です。
この作品から学べたことに感謝します。
本当にありがとうございました。
終戦の夏、日本の夏
前日に広島・呉・尾道の旅から帰り
旅の名残りのあるうちに、と観てきた
観てから行くか、行ってから観るか
と旅行計画中に考えたけど
あの風景と原爆資料館を
目と心に刻み込んでから観たので
大林監督の信念と愛が良く伝わった…
あっぱれな遺作です!
大声で伝えたかったこと
倍速で詰め込みたかったこと
とにかく映画が好きなこと!
全部わかりましたよ大林宣彦監督♡
反戦がメインテーマは理解するが
映画を見終わった結論として、戦争という愚かなことをしてはならないという安部首相政権下でのメッセージは、充分理解しました。
しかし、正直詰め込み過ぎで、転校生などの大林監督のイメージ作品ではなかったです
良い映画
大林宣彦監督の遺作。
3時間に及ぶ作品…投稿レビューを見ると「わけがわからん」との書き込みがチラホラ…これまた、観る前から不安が…。
杞憂でした、…
いつもの大林宣彦ワールド全開です。
途中退場者もチラホラ…いつもの大林宣彦ワールドです(笑)
*作品は、監督のあまりにもストレートなメッセージが前面に出過ぎてしまって、テーマ性は感じられましたが、物語の面白さは今ひとつ。
*成海璃子を、最後までずっと三吉彩花だと思い込んで観ていた…最後のテロップで気づいた(笑)
*
見つかった
何が?
永遠が
海に溶け込む太陽が
…『気狂いピエロ』!じゃなく、ランボー「地獄の季節」の一節だったんかぁ…今度詩集買おう…。
ボップでテンポよく良かった
ストップモーションアニメのような映像のユニークさと面白さ。幕末から第二次世界大戦までを独特の解釈で自在に時を超えて移動し、終戦までを描いていた。ここで登場する歴史上の話は個人的にはよく知っており共感した。私には一番の大林監督作品となった。
全部乗せラーメン
ラーメン屋の店主が好き勝手に具材を乗せ、食べる方は食いづらいんだけどクセになるかんじ(常連客は喜んで食ってる)
個人的に根岸季衣が凄かったのと、昔から好きだった常盤貴子が今だに可愛かった
考えるな、感じろ!!
海辺の小さな古い映画館の最終営業日、
日本の戦争映画をオールナイトで上映する夜。
なぜか映画の世界に引き込まれた三人の青年が
映画の中で戦争というもの体験してしまうお話。
と、とりあえずあらすじは有るんだけど
それに囚われていたらこの映画楽しめないので
考えるな、感じろ!!としか言えません〜〜。
正直、一度見たくらいでは意味が解んないけど、
何回も観たからって解ったと言える映画でもなし〜
ピカソとかダリの絵を初めて観た人々の様に
今までに無かったものにブチ当たった「めまい」を
ぜひ、感じて観てください。
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
残念ながら大林監督の遺作となった本作ではありますが
コロナ禍によって世の中が、疑似戦時下の様な空気の
2020年にリアルタイムで観られたことを
人生の一つの大きな出来事だと思います。
大林監督の作品は「時をかける少女」以外は観てなくて、
なぜか最近の
「この空の花 長岡花火物語」から観だした者として
今回はまだ解りやすいかも〜
などと思ってしまった!(笑)
(実際はそんなに深く解って無いですよ)
それほどに大林監督の映画はぶっ飛んでいて
言葉では説明できないけど
監督が伝えたいこと、若者に残しておきたいことは
痛いほど伝わってくる。
戦争は絶対ダメ!だけど
民衆の心は簡単に操られてしまう危ういもの。
正論や正義や同調圧力に流されず
一番大事なのは「人の命」だと
そこだけはぶれてはいけない!
作中で度々引用される中原中也の詩、
とりわけ「野卑[やひ]時代」の中の
「文明開化と人云ふけれど
野蛮開発と僕は呼びます」
痛いです!
そして戦争で命を落とした全ての人々への
鎮魂の塊の様な監督の後ろ姿に泣けてしまった。
めっちゃ怖いシーンだけどね〜〜
ぜひ、劇場で没入して
「訳わからん!でもなんか頭ぐるぐるされた!!」
そんな気持ちになってください。
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いつも「共感!」やフォローをありがとうございます。
人の感想を読んでしまうとすぐ影響されてしまうので
皆さんの評論は遅れて少しづつ拝見してます。
どうぞよろしくお願いします。
ジャンルは大林宣彦。
いろんな時代、いろんな映像技術、いろんなメッセージが詰め込まれ、目まぐるしい。映画というより現代アートというか監督の個人的メッセージを豪華絢爛に表現した、みたいな。
いろんな意味で他の映画とは違う、とても変わってた作品なので評価するのは難しい。
他に同じジャンルの映画を思いつかない。ジャンル=大林宣彦。
怒涛の展開、情報量は見やすいとは言えなくて、好き嫌いあると思うけど、
実験的な映像、青春ドラマ、平和へのメッセージなど大林監督らしさにあふれていた。
「映画こそタイムマシン」という言葉が心に残った。映画を通して、過去の歴史や世界中のいろんな問題に目を向けていきたい。
とても強烈な反戦メッセージ映画です。
戦争映画と評した映画は数あれど、ここまでその戦いではなく、国民、庶民にフォーカスされた映画はないと思う。
単純に世界大戦だけでなく、過去の殺戮も描き、それがどれほど醜い行為なのかを決して固すぎずにストーリー展開をするのは見事。さすがといっていい。
その中の言葉、結局自国民同士が殺りくしてしまう、愛する人も失う、そして日本人の特徴である付和雷同という言葉が特に突き刺さります。
沢山の有名どころの俳優が参加しています。長い間監督業をされているかも知れませんが、たぶんこのテーマに共感されての参加ではないかと思います。
日本人は特に、また世界の人にも伝えて欲しい、そんな映画です。
エンターテイメントではございません。でも観るべき映画だと思います。
ぜひ観て観てください。
もうなんも言えない
もう映画の評価なんてどうでもよくて、ペンの代わりに映像で遺言を書いてるようなものだった。しつこい。そのしつこさ含めて圧倒的。2時間過ぎたあたりからもう何も言えなくなる。ストレートな反戦メッセージ。被せに被せる情報。メロディ、テロップ、色、棒読み芝居だから迫りくるメッセージ。
繰り返させる戦争を同じ役者で繰り返し、無残に消えてく命を悲しみ、忘れない、そして繰り返させない、そのための万華鏡でした。
まぁ、なんですが^^;
正直、長い長い冗長な映画。
メッセージ込めるなら短い方がいいかも知れない。
ファンタジーだと思うと腹は立たない。
オープニングから、嫌な予感はしたけども。
ラストもなんだかなぁ。
山崎紘菜さんと成海璃子さん見れたからいいや^ - ^
大林監督の夢のような
大林監督の夢を一緒に観ているような3時間。
アタマの中身をそのままさらけ出したように、演出も、映像も、語りもとにかく過剰。
だがそのメッセージは明確に「反戦」で一貫している。
太平洋戦争ばかりでなく、戊辰戦争まで遡って。
今がまた「戦前」になってしまう、という監督の焦りが伝わってくるようだ…
ゴジラシリーズを観に通っていた「尾道松竹」あらため「シネマ尾道」が舞台となっているのも感慨深い…
もう帰省しても映画館には行ってないのだけど…
昭和の映画少年が遺した次世代への希い
3時間の大作。観るのに結構な体力が要った。製作した監督が、当時、80才を超えていて、しかも余命宣告を受けていたと知り、とても驚いた。映画の神様に深く愛された昭和の映画少年が、自分の命の時を知り、次世代へのメッセージをこれでもかというくらい、ぎっしりと玉手箱に詰め込んだ感じだ。奥様へのインタビュー記事では、監督にもっと時間をあげたかったそうだが、作品からも窺い知れた。
監督は1938年生まれなので第二次世界大戦終戦時7才位。尾道に暮らす幼い子供の毎日にも戦争が強い影を落としていたそうだが、映画の中には少し成長した青年となって登場する。
仲間と共に映画を観に行ったはずが、日本の各時代の戦闘シーンに次々とタイムリープさせられて、日本人はなぜ戦争をしたのか、そもそもいつから戦っているのか、戦争とは何か、自分達にもっとできることはなかったのかと、体当たりで大きな問いに向き合っていく。
結論の出ていない難しい命題。でも、きっと何かできることがあるはず。私達に物語を創る力がある限り。そんなメッセージを私は受け取った。
主演3人の熱演が光った。特に細田さんが、蒲田行進曲の風間杜夫さんのような、昭和の香りを漂わせていて、華があった。
まるで大林流『ユリシーズ』。彷徨の果てに辿り着いたのは…。
かつて大林宣彦監督作品に反発し、もしかして遺作となるかも、という一抹の寂しさと共に『花筐』(2017)を鑑賞したところ、力強く明確なメッセージと洪水のような映像に打ちのめされた観客による感想です。
被爆によってほとんどの団員が亡くなった実在の移動劇団、桜隊を扱っているということで、8月6日に合わせて鑑賞。
何度か予告を観ていたので、題名通り玉手箱のようにいろいろな技巧を凝らした作品なんだろうなー、と想像しつつ、「大丈夫、唐突に宇宙の誕生まで話が飛んじゃう、あの『ツリー・オブ・ライフ』(2011)を観ることができたんだもの!」という妙な自信と共に鑑賞開始。しかしぶっ飛んでいると思ってたあの予告は、実は本作の中でも「見やすい場面」をつないだものだった!あの『ロボコン』もぶっ飛ぶ突飛な導入部に、たちまち打ちのめされました。ただこの一見奇抜な設定も、監督なりの意図を込めたものであることは、結末近い会話によって明らかになります。
本作が劇場長編映画初出演となる吉田玲さんは、その凜とした顔立ちと存在感が素晴らしく、めまぐるしい映像において静的な印象の強い彼女の姿は、むしろ目を引きます。吉田さんの姿がなければ、画面全体の慌ただしさにさすがに辟易していたかも…。これも大林監督の演出上の采配だと思いますが、このあたりはさすがのバランス感覚。
洪水のような映像が約二時間展開した後、桜隊の場面になって物語は急速に収斂し、映像も通常の劇映画としての落ち着きを取り戻します。やがて登場人物の役割や物語構造が見え始め、これまでの一見奇抜なだけに思えた映像の断片が繋がっていくさまは圧巻でした。そしてこの出来事は、まさに75年前の本日(8月6日)あったことなんだと…、劇場の闇に沈み込むような感覚を持ちました。
本作の主題は、大林監督の化身であろう登場人物達が繰り返し口にしているため、実は非常に明確です。
・「嘘(映画的語り)」であっても「まこと(理想の未来)」をもたらす可能性がある。
・誰かが覚えている限り、人は生き続ける。
・軍靴(暗い未来)が忍び寄る中で、君(観客)はどうふるまうのか。
主人公三人は映画の世界に入り込み、映画の技術史をなぞるという『ユリシーズ』的冒険を経て、このテーマを浮かび上がらせていきます。特に観客自身の振る舞いを問いかける最後のメッセージは、度々登場する憲兵の姿と共に強烈な印象を残します。とはいえ『花筐』の最後に見せたような観客に突きつける鋭さはありません。むしろ、現世から去りゆく父(映画の端々に、監督自身の死の意識が垣間見える)と、これから生き続ける娘の会話という形で、あくまでも穏やか、かつ優しい口調で表現されます。これは恐らく、監督から娘・千茱萸さんへの作品を通じた愛情表現でもあるんだろうなー、と思い、ここでも何とも言えない感慨がこみ上げてきました。
誰にとっても観やすい映画、では決してないし、観通す上で相当なエネルギーを必要としますが、今観るべき価値のある作品であることは間違いありません。
監督の言葉通り、本作のエンドマークはお預けです。物語の続きは観客一人ひとりに委ねられました!
これは映画を超えた愛そのもの
文明開化と人云ふけれど
野蛮開発と僕は呼びます
中原中也「野卑時代」
海辺の映画館、観てきました。
ピカとドン。
この2つの時間差で生死が分かれた。
ピカっと光っただけの爆心地にいたひとは即死で、ドンの音まできいたひとは原爆後遺症で苦しみながら遅れて死んでいく。
そんな8月6日の広島でのクライマックスを迎えるまでの映画のストーリーは、ピカという言葉だけが暗号のように出てきて、それが広島だとわからないくらい、爺ファンタこと高橋幸広が操縦する宇宙船から俯瞰して地球とその上で殺戮をくり返す人間の戦争時代を、タイムマシーンで行ったり来たりしながら、ハチャメチャに展開していく戦争ファンタジー映画なのだ。
本来の公開日は4月10日だったが、コロナ禍で延期となり、奇しくもその日が大林宣彦監督の命日となった意味。
プランデミックの煽りを受けた映画館も軒並み低迷し、やっと再開して7月31日に公開。
その6日目の8月5日にやっと観ることができた。
翌6日が最終日だったので混むかもと、たまたま観た日が、広島の前日だったため、映画の後半からまったく同じ、広島の前日の状況をシンクロしながら体感することになった。
この映画は、尾道三部作でわたしの何分の一ができてるくらい、時かけ転校生さびしんぼうが青春時代とまるかぶりな80年代に大影響を受けたのち、しばらく大林映画から遠ざかり、やっと最近の戦争三部作の花筐で久しぶりに映画のよさを味わったわたしにとって、それまで観た大林映画のすべての要素を、命の限界に達しながらも極限のエネルギーで調和した、集大成という言葉を超えた、時代のエネルギーが凝縮して映画になったかのような、大林映画史上最大級の、日本映画史上でも巨匠黒澤明の夢なんて遙かに超えた3時間の超大作に仕上がっていた。
一言でいうと、まったく説明できん、レビューなど書けるような映画ではなかった。
冒頭に示したような中原中也の詞が、1世紀も前とは思えないリアルな言葉として挿入される。
戦争反対を露骨に表現するでなく、当時の人がいかに戦争の狂気に染まり、否が応でも忠誠心や誰かのための美意識で命を捨てていき、江戸末期から明治の戦いから世界大戦へと、どんどん狂っていく姿はもう誰も止められない。
それをただ表現した映画を、鑑賞者が傍観することが、あの時代に、ただ時代を傍観して、だれも自分事にしなかったから戦争になったのだという監督の慈悲深い想いから、この映画では、映画の中の映画に、映画館の観客が上映されてる戦争映画特集のスクリーンの中へ入っていく。
映画は、監督の完パケでなく、観客が能動的に変えていかなければならない。
ハッピーエンドのない映画を、自分たちで変えていかなければならないのです。
映像は大林監督らしいチープな映像処理が飛び交いますが、それはいかにもリアルな映像だと傍観してしまうので、あえてリアリティを排除し、誰もが映画の中に入り込める余裕をもたせ、いったいこれは映画の中側なのか、映画の外側の世界なのかわからなくさせる大林マジックなのです。
出演者の俳優のことや、ミュージカルタッチの数々の歌のことや、書きたい要素が細かくたくさんありすぎて端折っても、こんなに書いてしまいました。
すべていいです。
悪いとこ気に入らないとこが一切ない、純文学映画。
戦争は映画から学ぶしかない。
それは映画にしかできないと。
今はあのときのようにとても危険な時代だと。
時代の傍観者にならず、自分で考えれば戦争になどならないと。
だからこそ、監督はこの作品を遺作となっても、死んででも作り上げたかった。
あと30年は映画を作りたいといって、作り上げたのです。
こんなセリフもあった。
恋人を選ぶときのように、平和を見つけなさいと。
今の平和は、真剣に選んでないよね。
監督は、こんなすげえ映画を残して天国へいっちまった。
死んだんじゃなくて、映画の中で永遠に生きつづけ、僕らを応援してくれてる。
大林宣彦監督、ありがとう。
今日は8月6日、広島の日。
8時15分に黙祷します。
人望のなせるキャストです。
贅沢な、ほどの人がかけつけた映画です。
尾道、広島を愛した、大林監督の全てを映像にした作品です。反戦を声高に口にしては、いないけど、大林監督が広島を大切にするに、当たり、必然的な要素ですね。
映画好きが純粋に映画監督を職業にした人だと。凄く感じました。
大林宣彦作品の集大成ではあるんでしょうが…
タイトルからなんか引かれる物があり、また故大林宣彦監督の作品とあって、観賞しました。
で、感想はと言うと、あくまでも個人的な感想ではありますが、一言で言うと…う~ん…
言わんとしている事は分かんなくは無いんですが、正直全く合わなかった。
教育映画の様で演劇チック。
映画の様々な映像手法を敢えて取り入れているにしても、やりたい事が殆ど理解し難いし合わない。
また、179分も掛けてこれか?と言う感じです。
最初の始まって直ぐに違和感と言うか、合わない感じがずっと最後まで拭えなかった。
大林宣彦監督の集大成に近い作品なのかも知れませんが辛辣な言い方ですが、なんか宗教に軽く傾倒していて、声高らかに世界平和を謳い、映画好きのお金持ちが周りに乗せられて、自分のメッセージを目一杯盛り込んだけど、途中で予算が尽きかけて、出資者がお金を出してくれたけど、いろんな意見を言われて、無下に断れないから、言われた事を盛り込んで作りました映画。
的な作品と言う感じでしょうか?
数々の功績を残した大林宣彦監督の遺作となる作品なので、野暮は言いたくないですが、それでもここまで合わないとこれはちょっと…と言う思いです。
尾道を舞台にした作品は沢山あり、その風光明媚な情景に想いを馳せる映画ファンも沢山いると思いますし、また映画ファンなら一度は訪れてみたい場所でもあるかと思います。
小津安二郎監督の「東京物語」に、最近山田洋次監督がリメイクした「東京家族」。
なんと言っても有名なのは大林監督の「尾道三部作」。
大林監督が尾道を有名にしたと言っても過言では無いかと思います。
大林監督の作品はどれもノスタルジックな思いにかられるし、思い出補正がされているにしても、今観賞しても何処か"キュン"となる青春の思い出の1ページみたいな感じです。
そんな映画の町、尾道は一時期映画館が存在しない時期があり、それを憂いた大林監督が恩返しの意味も込めて製作したかと思います。
ですが、全うな映画を作ると言う趣旨から結構外れている(感じがする)
思いとメッセージだけが先行している感じでしょうか?
なので、舞台となる映画館の「尾道シネマ」は実存する「シネマ尾道」がモデルとなっているかと思いますが、殆ど意味を成してない様に思えます。
また、戦争映画を上映するに当たり、そこからタイプリープすると言うのは大林監督らしいけど、結構なこじつけ的にも感じて、尾道の意味合いが薄くなってるんですよね。
広島での過去の戦争だけを取り上げるのではなく、様々な戦争を取り上げているのが大雑把になりつつブレている様に感じる。
沖縄の徴兵事情や戦中に演劇慰問をした「桜隊」の辺りからそれなりに面白くはなってきましたが、それでもダレる。
尾道を語るのに敢えて沖縄や会津の白虎隊や婦女隊の話っていります?
平和の上に映画と言う文化が成り立っていると言うメッセージは分かるんですが、…なんだかなぁ~的でこじつけ臭いんですよね。
またクロマキー合成もなんかあざとい。
その他、いろんな説明のナレーションもくどいし、意味の無いインターミッションも意味不明。
文字にして説明していても、転換が早すぎて読むのが追い付けないテロップの意味のなさも分からないし、映画を楽しもう!としていたとしても、覚えたての編集技法をとりあえず入れてみました的なのがウザい。
スペシャルゲスト的な出演者はかなり豪華で様々な俳優さんが出演されてますが、メンバーが多すぎて、大林宣彦監督を偲んでと言うのは分かっても、これで良いのか?と言う感じです。
正直「海辺の映画館 キネマの玉手箱」と言うタイトルの意味が殆ど成り立ってないかな。
すいません。ボロクソですね。
でも、結構期待してたのでここまで辛辣になりました。
ただ、原爆投下の際の描写の「ピカッ…ドン!」の件りは生々しく迫力がありました。
コロナの影響で4月の公開が今まで延びたのは幸いしたかと思いますし、広島での映画の成り立ちと戦争の歴史。桜隊の部分だけをクローズアップした方が良かったかなぁと思いますが、如何でしょうか?
とにかく、かなりスカされた感じで今の所、個人的に今年のワースト作品に入ってます。
「時をかける少女」「さびしんぼう」「転校生」「青春デンデケデケデケ」「天国にいちばん近い島」「異人たちとの夏」
大林作品は青春の1ページと言っても過言では無いかと思います。
だからこそ、すんごく残念。
あくまでも個人的な感想なので、一意見として捉えて頂ければなんですが、物凄くガッカリではあります。
映画館の暗闇の中でなにを視るのか
自宅での鑑賞が続いていたので、多くの作品は、わざわざ映画館で見なくてもいいのではないかしらん、と思うようになってきた今日この頃ですが、さすがに大林宣彦監督の遺作のこの作品を見逃すわけにはまいりません。
尾道唯一の映画館、それは海辺にある古いコヤの「瀬戸内キネマ」。
ピカと稲妻が光り、ドンと雷鳴轟く嵐の中、最終日を迎えることになった。
最後の上映プログラムは「日本の戦争」映画大特集オールナイト上映。
映画を観ていた3人の若者、突然スクリーンの世界にスリップイン!
そこでみた「映画の真実」「日本の戦争の真実」とは・・・
といったハナシだけれど、オープニングから面食らう観客が続出するかもしれない。
先に書いたあらすじに入る前に、監督の分身ような(でもそうでないような)高橋幸宏「爺・ファンタ」が宇宙船に乗って登場し、何が始まるのか、もうてんで予想がつかない。
大林監督の妄想の大爆発なのだが、今回ばかりは妄想ではなかった。
映し出される映像は、おもちゃ箱をひっくり返しても、こうはいかないと思うぐらいのカラフルさ。
で、かつ、(一見)脈絡のなさ。
けれども、「日本の戦争の真実」が描かれている。
戦争といえば、太平洋戦争・・・というのではなく、幕末の戊辰戦争から描かれており、「日本の戦争」がそこから始まったと監督がみていることがよくわかる。
勝ったのは官軍、薩長とはいうもの、実は長州のひとり勝ち。
太平洋戦争で米国に日本は負けたけれど、長州のひとり勝ちは変わっていないんじゃないの、それはいまも続いているのじゃ何か知らんと訝っている。
映画は、時代も物語も登場人物もなにもかも縦横無尽に行き来する。
かつて、大林監督が言っていたことで印象的な事があります。
「映画というものは、止まっている画を動いているようにみせるものなんだけれども、画が写っているのと同じ時間だけ、画と画の間で閉じているシャッターの暗闇を観ているんです。暗闇の間は何も見ていないのではなく、実は、暗闇の中で自分自身を視ているんです」
暗闇の中で視る自分自身、自分自身の心・・・
一見、騒々しく取り留めのない煌びやかな画の連続だけれども、暗闇の中で自分自身と相対する・・・
大林監督、ありがとう!
でも、ひとつだけ文句を付けると、「ハッピーエンド」ではなく、「to be continued... and be happy」がいいと思うんですけど。
なお、後半登場する沖縄のエピソードでは涙が止まりませんでした。
大林監督の映画愛をもれなく受け止めました
今年4月に逝かれた大林宣彦監督の遺作にして集大成。今年の日本映画のベストワンであります。
ここには戦争の愚かさを伝えるという強い思い、そして何より映画への深い愛が在りました。
今日で閉館となる尾道の海辺の映画館。オールナイトの戦争映画特集。煙草と便所のにおい。私もこの映画館の客席に座る。
開始早々『今日も私は映画の中に入る。自分が自分であるために。』なんて台詞にウルウルしてしまう。これは私だけではないだろう。映画哲学とでもいうべき言葉が地雷のように埋め込まれ、それを踏むたびにグッとくる。
ここまで刻むかと思うほど細かく刻んだ映像に大量の台詞。これを鳴り止むことがない音楽に乗せて繋いでいく。もうノリノリだ。そしてスクリーンプロセスを多用した非現実感が『映画は映画である』と主張する。まさに大林ワールド。
ホント変わらないスタイルで嬉しくなる。何度もリフレインされる『嘘から出たまこと♪』というフレーズ。映画という作りものを通じて真実を語ろうとする大林監督の一貫した姿勢をシンプルに表現した素晴らしいフレーズだと思う。
映画の中に入り込む主人公の三人。戊辰戦争、日中戦争、沖縄戦、そして原爆投下前の広島。過去の悲劇を変える術は無いが、未来は変えられるという強いメッセージが在った。
大林監督との最後の真剣勝負を堪能した。とてつもない思いが込められた179分だった。清々しい感動があった。心地よい疲労感が残った。
映画に愛をこめて❤️
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