劇場公開日 2020年7月31日

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「昭和の映画少年が遺した次世代への希い」海辺の映画館 キネマの玉手箱 SpicaMさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0昭和の映画少年が遺した次世代への希い

2020年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 3時間の大作。観るのに結構な体力が要った。製作した監督が、当時、80才を超えていて、しかも余命宣告を受けていたと知り、とても驚いた。映画の神様に深く愛された昭和の映画少年が、自分の命の時を知り、次世代へのメッセージをこれでもかというくらい、ぎっしりと玉手箱に詰め込んだ感じだ。奥様へのインタビュー記事では、監督にもっと時間をあげたかったそうだが、作品からも窺い知れた。
 監督は1938年生まれなので第二次世界大戦終戦時7才位。尾道に暮らす幼い子供の毎日にも戦争が強い影を落としていたそうだが、映画の中には少し成長した青年となって登場する。
 仲間と共に映画を観に行ったはずが、日本の各時代の戦闘シーンに次々とタイムリープさせられて、日本人はなぜ戦争をしたのか、そもそもいつから戦っているのか、戦争とは何か、自分達にもっとできることはなかったのかと、体当たりで大きな問いに向き合っていく。
 結論の出ていない難しい命題。でも、きっと何かできることがあるはず。私達に物語を創る力がある限り。そんなメッセージを私は受け取った。
 主演3人の熱演が光った。特に細田さんが、蒲田行進曲の風間杜夫さんのような、昭和の香りを漂わせていて、華があった。

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SpicaM