「目に見えない崩壊は、静かに生活を追い詰めていく」国家が破産する日 キムヒョンス(金賢守)さんの映画レビュー(感想・評価)
目に見えない崩壊は、静かに生活を追い詰めていく
韓国が実際に直面した経済危機を背景に描かれたこの作品は、お金の話というよりも、「選択の話」だったと感じました。誰もが混乱の中で、自分の信じる選択をしていく。それが正しいかどうかは、誰にもわからない状況の中で。
舞台は1997年の韓国。破綻寸前の国家の裏側で、ある女性公務員が事態の深刻さを察知し、政府に警鐘を鳴らします。一方で、危機の中に投資の機会を見出そうとする人、ただ日々を必死に生きる中小企業の社長など、複数の視点が並行して描かれていきます。
それぞれの立場で必死にもがく姿に、経済というものがどれほど個人の生活に直結しているのかが伝わってきました。派手な演出はなく、静かに重く、だけどリアルで見応えがある。特に、一瞬の決断が人生を大きく変える場面が印象的でした。
作品を観ながら思ったのは、経済の知識がある人も、ない人も、どこかで「無関係ではいられない」ということ。ニュースで聞き流していた単語の向こうに、誰かの生活があるという実感が残りました。
難しいテーマだけれど、だからこそ知る価値がある。そう感じさせてくれる映画でした。
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