「たくさん不正が起きるシステム」ブラジル 消えゆく民主主義 shunsuke kawaiさんの映画レビュー(感想・評価)
たくさん不正が起きるシステム
さらっといろいろ触れられていたが、国のシステムがヤバい。権力者に都合のよい数々のシステム。日本の比ではない。
まず司法制度から…
1.証拠のないことが犯罪を犯している証拠であるという理由が刑事告発の理由になってしまうという信じられない司法制度
2.検察官が裁判官に転身することができ、かつ検察官として担当していた事件の裁判官を務めることができるという極めて不公正な司法制度
3.違法行為の証拠がある等の理由ではなく、景気低迷、失業率の悪化、慣例となっていた期をまたいだ予算の組み替えなど、行政上の成績不振や瑕疵を理由に恣意的な弾劾ができる司法制度
メディア面でいえば…
4.約10の一族系メディアが、ブラジルのメディアを独占し、公正な報道ではなく、大衆扇動的な売らんがための報道になっていること。どこも横並びの報道で、ファクトチェックもせず事実でないことを報道し、嘘が蔓延する仕組みとなっていること。
そして銀行は…
5.経済が安定化していくなか、より健全な経済を目指そうと金利引き下げをルセフ大統領が進めようとした途端、石油採掘を行う国営企業と政府高官との癒着があっという間に暴かれ始める。それをメディアが異常な速さで報道。銀行に楯突くと政府は一気に低迷。銀行の権力が半端ない。
そして、最大の問題は、軍政権時代の残党たち…副大統領のポストは彼らのもとに…軍政権時代の残党が依然強力である証拠。
6.彼らを冷遇するとどうなるか…この人たちが手のひらをかえしたかのように一気に敵に回り、上にあげた司法、銀行、メディアに裏で働きかけて大統領を一気に潰そうとしてくる。彼らには副大統領のポストを用意する必要があるらしい。勇敢なルセフ大統領は彼らを権力の座から引き離すという虎の尾を踏んでしまった。なぜ、別政党の人間をNo.2に?この闇の理由こそ暴いて欲しかった。でもそんなことしたら命が危ないかも。。。