「これからはワニだ!」クロール 凶暴領域 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
これからはワニだ!
米フロリダ州を超巨大ハリケーンが直撃!
町も家屋も浸水。
そんな家の中に入り込んで来たのは…、
いつもならサメだが、本作は、
ワニ!
…ちょっと待って。
ハリケーンが接近しワニが入り込んで来るまで、気付かず呑気にしてたの??
いえいえ、ちゃんと設定も舞台も整えてある。
ハリケーン近付く中、ヒロインのヘイリーは姉に頼まれ、連絡が取れなくなった父デイヴを捜しに。家の地下室で負傷している父を発見。
そこで遭遇したのが…って事なのだか、飼ってるならまだしも、そもそも何故ワニが家の地下室に…?
日本では誰かが放し飼いしない限り自然にワニが居る事はあり得ないが、アメリカでは州によって自然にワニが居る事は別に驚く事でも何でもない。ニュースなんかで朝起きたら家の庭やプールにワニが居た!…なんてのをよく聞くし。
氾濫した何処ぞの河からやって来たか、ヒロインが父の家に向かう道中ワニ園がありそこから逃げ出したか、設定に違和感や無理は無い。
寧ろ、実際にあり得るかもしれない身近な恐怖なのかもしれない。
それにしても、このハラハラドキドキ、スリル!
最初はまだ浸水しておらず、ワニより人間の方が機敏。負傷した父が重荷だが。
が、徐々に浸水。すると、俄然ワニの方が有利になってくる。
水の中では何処から襲って来るのかも分からない。
時折カメラがワニの目線にもなり、水の中や背後から忍び寄り…緊迫感を煽る。ここら辺、『JAWS』風。
さらに、一頭だと思っていたワニは二頭居た!
さらにさらに、危険を承知でワニが通ってきたかもしれない配水管の先を行くと、そこは…!!
さらにさらにさらに、ハリケーンはますます勢い増し、家は水没の危機。
果たして脱出出来るのか…!?
ピラニアから本作ではワニへ。しっかり見せ場を抑えたアレクサンドル・アジャ監督のスリル演出はお手の物。
プロデュースはサム・ライミ。つくづくこの人は、こういう作品が好きなんだなぁ、と。
“某海賊の娘”カヤ・スコデラーリオが、“巨大迷路”から本作ではワニと水没する家の中から脱出しようと奮闘熱演。言うまでもなく美人で、タフな魅力。
いきなり負傷していて困った父バリー・ペッパーだが、作品とスリルの重みになっている。
本作は意外とドラマ面も悪くない。
有望な水泳選手だったヘイリーと、コーチのデイヴ。
が、厳しい父に反発。今ではすっかり疎遠に。
この極限状態下で、父娘は再び向き合い、和解し合う。
絶対に生きて脱出する! あんなワニごときに負けやしない!
何故なら、頂点捕食者!
ちょいと終盤近くの展開に触れるが、
何とか“地下室”からは脱出に成功。
が、危機はまだまだ続く。
ヘイリーもデイヴも無傷ではなく、ワニに何度か噛まれ、痛々しいくらい負傷し、ボロボロに。
絶体絶命の危機、緊迫感緊張感は終始途切れず、どんどん勢い増していく…なんて口先だけの宣伝文句のようだが、
いや、ホント、これ、マジで!
確かにB級アニパニ×ディザパニ。
少なからずツッコミ所やご都合主義もあるが、それがまたこの手の作品の愛すべき所。
ワン・シチュエーション、単純明解でシンプル。
尺も90分弱。ギュッと濃縮したスリルと面白さ!
これからは、ワニの時代がやって来る!
さて、ここで究極の質問。
もし襲われたとしたら、どっちがヤバい?
サメ? ワニ?
それとも、他のアニマル?
ほぼ全編ワニに襲われ続けるから、見ている自分も体力使いました。
襲われたら、アナコンダがヤバいかな。
サメとかワニと違って、飲み込まれて、ひやっとしたヘビの内臓を感じながら悶絶死。