「襲い来るワニの恐怖と涙ぐましい人間ドラマが絶妙なバランスで相乗効果を上げている」クロール 凶暴領域 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
襲い来るワニの恐怖と涙ぐましい人間ドラマが絶妙なバランスで相乗効果を上げている
巨大ハリケーンの迫り来る中、動物園の凶暴ワニが逃げ出してとんでもない事態に・・・。まずもって本作は手に汗が染み込んだジャンル映画でありながら、今後のワニ映画の代表選手として語り継がれていくであろう逸品だ。しかし、映画の大部分を浸水、洪水シーンが占めるので、先の災害で被災された地域の方々のことを思うと胸が痛むし、本作がまったく別の時期に公開されていればと悔やんでも悔やみきれない。
だが、そこをあえて「映画のみ」へと焦点を絞るなら、CGを駆使したワニ描写の秀逸さに加えて、水泳選手であるヒロインと父との確執、再会、そこから二人が手を携えてなんとか生き延びようとする骨太な家族ドラマが究極の見応え感を刻む。思えば、自宅の地下室から始まり徐々に上階へと上りゆく様は、深層心理にあった想いが徐々に表層へと吹き出していく流れと似ている。ホラーとドラマを最高水準にて両立させるアジャ監督の采配に脱帽である。
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