「英語題名+フランス語題名」ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
英語題名+フランス語題名
この作品は、1880年代つまりロシア革命の30年ばかし前の時代に15才のサーシャという女性の北極での冒険を描いている。
映画の冒頭、ロシアの文化的位置付けにあるサンクト・ペテルブルグの港からサーシャが愛する冒険家の祖父が乗る船が今まさに出港をしようとしている。その後祖父の乗った船が行方不明となり人々は、船が沈没したと考えていたが、サーシャだけは、不沈船が遭難するとは考えていなかった。ある日、祖父の書斎で、北極点までのルートの手掛かりになるノートの切れ端が出てきた。それをもとにロシア皇帝の甥にあたる王子や父親に祖父の消息を捜しに行きたいと提案しても誰一人彼女に耳を貸そうとする者がおらず、ついには後先を考えず、豪邸を飛び出して北極を目指すことのできる船のある港まで無一文で行ってしまう。ダバイという船に乗ることを一等航海士のラーソンと約束するが、見事に騙され、失望しているとレストランの女主人が手を差し伸べる。始め怖そうなおばさんと思いきや..........? 掃除洗濯、もちろん食事の支度や給仕など生まれてからこの方1度も経験もしようとさえ思ったことのない、何不自由のない生活をしてきたお嬢様で何もできない非力なサーシャがついに1ヶ月で祖父の消息を捜しに行くことが出きるまでに成長する..................。
デフォルメされ色の配色などが統一され、あたかも無駄なものは無視するかのように全体的にそぎ落とし簡素化して見やすく、そうはいっても迫力のある氷山が砕け散るところやダバイが押しつぶされてしまうシーンなどは迫力があり、簡素化されたものの中でも例外もあり、船のドバイのマストやロープ、船外の描写は具体的に表現されている。
この映画の特徴として15才の女性の北極を舞台にした過酷なしかも生死を分けてしまうような北極という荒々しい自然環境におけるサバイバルを描いていて、観ているものにワクワク感が半端なく伝わってくるし、しかもシナリオ自体もよどみなく進んでいきサックと観ることができた。犬のシャックルのかわいいワンポイントも登場します。
この映画を観て、個人的な意見として、プロデューサーであり、東映の代表取締であった大川博という人物を思い出す。ステレオタイプのワンマン社長でその風貌に特徴があるにもかかわらず彼がいなければ、今皆さんが見ているアニメーションが、ただの子供の読みものの漫画で終わっているか、アニメーションという言葉も存在しないかもしれないと思っている。その当時の漫画を数段階飛躍させて"文部省推薦"なんて言う冠もつけることができている。その中でも劇場公開映画「ガリバーの宇宙旅行(1965)」や「少年ジャックと魔法使い(1967)」のデフォルメ感や冒険活劇のストリー性などを彷彿とさせる。また2009年の、フランス、ベルギー、アイルランド合作の長編アニメーション映画「ブレンダンとケルズの秘密」というものも参考にできるかもしれない。
amazon.comではすでにプライムビデオとして配信されていて、そこには"goofs"としていくつかの変なというか歴史的に存在する訳がないものも出てくるし、この映画自体、1880年代では北極点近くまで人類は誰一人として到達はしていないのが歴史上明白なことで、重箱をつつきたいものとしては?
しかし、そんな馬鹿げたチンケなことはどうでもよくてほっといたほうが得策で、面白い映画は面白いと鑑賞されたほうが、よいのは当たり前のことかもしれない。
1873年に創業したときライバル新聞紙のビルの1部を借りて事業開始したミシガン州における2大新聞紙の1つThe Detroit News その見出し
"Review: ‘Long Way North’ a story of dream fulfilled"
「全体からすると、映画"ロング・ウェイ・ノース"は、魅力的で受け入れやすいフェミニストメッセージを含む、視覚的満足のできる映画である。」
ジャーナリズムの文学的スタイルと芸術、特に映画と演劇に特化した週刊誌、Chicago Reader
"Long Way North strikes a blow for 2-D animation in a 3-D
marketplace " と題された2016年12月15日の記事から
「スマートで、エキサイティング、そして鋭くはっきりとしたキャラ設定がされている。このフランス - デンマークのアニメーションは最高位の家族向け娯楽です。」
2016年7月28日(木)アンスティチュ・フランセ東京で以前公開されている。