ミッドサマーのレビュー・感想・評価
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「ヘレディタリー」と逆ベクトルのスリラー
観てよかったと思いました。
というのも、今作を観る前に同監督の「ヘレディタリー/継承」を見て、心が180度ボッキリと折れたように恐怖を感じてるいたからです。
「ミッドサマー」を観て、「ヘレディタリー/継承」の恐怖が、なぜか半分ほど払拭されたように感じました。
「ヘレディタリー」が「呪詛」による死者の為の物語であるなら、今作「ミッドサマー」は「祝福」による生者の為の物語です。
(どちらもスリラー作品であることに変わりはないかもしれませんが…)
また、「家族」という題材を思うと、「ヘレディタリー」が現代社会の中の〈孤立〉を描いているとしたら、「ミッドサマー」は民族社会の中の〈連帯〉を描いている、と言えなくもないように思いました。
個人的には、まるでA面とB面のように…どちらが表か裏か分かりませんが、逆ベクトルで作られた、対のような作品だと思いました。
また個人的な、変な憶測ですが、「ミッドサマー」か「ヘレディタリー」か、どちらか片方だけ観た方が怖いのではないか、と感じました。
両方観てしまうことで、意外と自分は、心のバランスが少し取り戻せたように思います…。
映画そのものの完成度は高く感じられます。
劇中には様々な謎が散りばめられていますが、あまり気にせず、なんとなく観ても楽しめる(スリラーが大丈夫なら…)映画と思います。
どんな映画に似ているか、と問われれば、「楢山節考」のような映画、と思います。
グロテスクなシーンも一瞬ありますが、目を背けても内容はある程度分かるのでは、と感じます。
客層としては、自分が入った時は女性の方が多い印象でした。
見終わった後、どんな内容だったか話し合うのも楽しい映画かもしれません。
期待しすぎて色々中途半端に見えました。
事前情報は予告の動画だけです。
友人から「怖いらしい」「グロいらしい」というのを聞かされていたので、他のグロホラーを見る時の感覚で張り切って見始めてしまいました。
年に100本ホラー映画を見た程度のホラー映画好きです。
そのため色々期待しすぎました。
5段階評価で
グロ★★☆☆☆
恐怖★★☆☆☆
エロ★★☆☆☆
映像★★★☆☆
といった感覚でした。
同じくグロテスク、ホラー、映像美の3要素が個人的に好きな映画は「パンズ・ラビリンス」なのですが、どうしてもそれと比べてしまい見劣りを感じました。
この映画の見どころは、恐怖というよりは不快な不気味さ、また映像の美しさに重きを置いている気がします。
トリップ(?)した際の、花や木々たちが動物のように呼吸して動くシーンはとても美しいと思いました。
不快な不気味さというのは、主に音です。
謎の民族唄、ベルの音、重低音、パニック発作を起こした主人公の呼吸、赤ちゃんの泣き声、女性の泣き声、など不快な音や不協和音が多数使われています。不安を煽る演出は良かったです。
(その後にちゃんと恐い出来事が起こればもっと良かったな…^^;)
ただ、私自身パニック発作を起こした事があるので、多少主人公には感情移入してしまいました。持病もあり、家族まで失って、彼氏以外はどうでも良いと思っている中で、あんな思想の宗教に飲まれたら、仕方ないとも思います。主人公にとっては祝祭に相応しい良い終わり方なのだと思いました。
誰にでもおすすめはできませんが…
まず、個人的には非常に興味深く面白く、好奇心を持って観られる作品でした。
ホラーやパニック映画というわけではなく、人類が遥か昔から持っている様々な文化や思想、哲学について考えさせられる作品かと思う。
ただし、かなり好き嫌いはわかれる上に、生々しい表現や残酷な表現が苦手な方は、単純に不快に感じそうなのでおすすめできない作品。
自分の知らない世界や思想というものをいかにして理解するのかというのは非常に難しい問題ではあるが、
どの時代にも、ある一定の限られたコミュニティ独特の文化や風習などは存在していて、
それらを、単純に自分の尺度、常識で正しい、正しくない、と判断をしてしまうことは果たして…?
いま一度、これまでの自分の辿って来たルーツや常識として来たモノを見直してみるのも良いな、むしろ、その視点を常に持つのは大事だな、と、色々と勉強してみたくなる作品。
よくよく観ていると、様々なところに映像でも音でも伏線がしっかりあって、全てがすっきりするので映画としての面白さも充分かと。
(視覚的に)とにかく明るいホラー
一体、何を見せられたのか!?
光輝くものに騙されてはいけない。
地獄からの福音
綺麗な映像と音楽をバックに、あくまで胸クソ悪い話を語るアリ・アスター節は健在です、ハイ
ただ前作「ヘレディタリー」の異常な求心力と比べれば、登場人物ごとに視線を振るためなのか、ちょっと散漫? やや長く感じました
前作と違ってネタ(やり口)も割れてるし、序盤のショッキング展開を契機に、一気に本性を表す構成、は重なるものの、作品全体から見ればちょっと効き目が軽いなど、比較すれば原因はいくつかありそうです
前作では「あの件」が全編ずーっと鳴り響いていました(なんなら今でも)が、今回は…?
ビジュアルや世界観(神話の引用とか)など細部の作り込みに比して、展開はだいたい予想通り
もっととんでもない、脳がクラクラして空間識失調を起こすような場面があるのかな…と期待してしまったので、自分が期待したものとはやや違いました
数年前、同様の期待で観に行った「神聖なる一族 24人の娘たち」というロシアの少数民族をモデルにしたエロいようでエロくない、少しエロい映画がありまして、衣装やビジュアル面などからほんのり重なるものを感じました
基本的には前作同様、よくこんなヤナハナシ( ;∀;) 思いつくなー、と呆れるレベル(褒め)
序盤の気まずシーンなんか、気詰まりすぎて観てるこっちまで窒息しそう
主演の二人を筆頭に、全編通して俳優陣の迫真ぶりは文句のつけようもなく、ペレ役の穏やか〜な口調を生み出す発声もよかった
以下、ほんのりネタバレ
↓
実在の風習が元とはいえ、舞台がスウェーデンでは、さすがに現代でこんなことないでしょう、と思わないでもない
NHKの「ヤノマミ」みたいに、直接的ではないにせよモロ惨劇がカメラに収められた実際の風習もあるにはありますが、あれはアマゾンの密林というチートな背景が舞台でしたし…
個人的にはこの手の文明ショックもの大好物なので「ガダラの豚」の映像化もぜひ〜、と(「来る」以来二度目)
「良かれと思って」「相手のためを思って」「迷惑/重荷になりたくない」がために本音を偽り、先送りにし、すれ違って煮詰まりきった人間関係が招く当然の帰結とも言える展開
それが見方によっては癒し、解放の過程のように見えてきて、謎の祝祭感でフィニッシュ、というところまで前作と一緒
ずっと息を詰めているように見えたヒロインに対しては、人前で出せなかった声と気持ちをついに出せてよかったよかったねー、と祝福しかないカタルシスに到達
私のような儒教の国のアジアンにとって格段にオープンに見えるアメリカ流のスマートな気配りがその実、厄介ごとを避けるための単なる欺瞞に過ぎないのでは、とまで思えてくるのも新鮮でした
所変われど社会が存在する限りまた別の地獄が口開けてるだけなんだな
地獄といえばこの世にこんなにも地獄の賢者タイムがあるのか…っていうね
それも懇切丁寧に描かれるため、多くの男性が縮み上がること必至では
互いを縛りあう家族関係に疑義を呈する監督のスタンスからすれば、家族の起源である性行為そのものが、元より忌むべき対象なんだろうかなどと疑いたくもなります
基本は偏差値の高いモンド映画だと思うので、エクストリーム描写は笑いと紙一重のレベルで楽しめます
なんなら実際に笑ってしまって、自分がサイコパスではと焦るほど
でも一番エグいのはそこじゃなく、そもそもの土台、登場人物たちの振る舞いに対する当然の報いという二階建てなので一切の逃げ場ナシ
観終わった直後、わざわざお金と時間を費やしてこんな目に遭いに来てる自分がアホなのかな? と一瞬我に返ったりもしましたが、
同時に観ている間じゅう、地獄の人間関係を生き延びて作品として昇華しつづける監督の存在こそがすでに福音、としみじみ感じたのも事実
こと「小屋」に関しては、相当ヤバい思い入れがあるとしか思えず、過去に一体どんな出来事が…と考えてしまいます
言ってしまえば作中に登場する事物のほとんどは作り物ですが、それを生み出すに至った元凶の方はまちがいなく実在する🌸🌺🌼🌸🌼🌺
ところで、映画の感想とやや離れますが、社会的に容認されている残酷ショーってつくづく怖いけど、ありふれてるよなあと
身勝手な振る舞いや暴力への願望は、普段ならあらかじめ相手からの反撃や社会的評価を想定することで抑圧/回避されていますが、
ひとたびそれがシステムの一環として正当化されてしまった時、犠牲者、ターゲット側の視点は無化され、「黒い羊」への袋叩きは娯楽にまで発展します
さらに一見、それが犠牲とは見えないような仕組みが巧妙に張り巡らされ、あくまで周囲や本人の受け止め方次第、と責任すら被害側に丸投げされてしまうとすれば、もはや邪悪そのものの構図
抗議はおろか、加担の誘惑に抗える者すら稀なのに、
そんな場面自体は、ホルガ村どころでなく日常のいたるところに潜んでいて、最後の咆哮は犠牲者側からのささやかな抗議だったのかな、と思いました
せめてもの慰撫に思えたあのセリフがよりによって嘘、ないしはおためごかしだったとしたら…と考えると、劇場を出たあとも寒気が走ることうけあいです
ラストシーンは、通常人が直接認知することができないと言われる現実の世界、それが社会のフィルターの裂け目から姿を現わす瞬間だったのかも知れません
そうなると、実は主眼は「供物を捧げる」行為の方であり、視点はあくまで生け贄の側あるべきなので、序盤のショッキング展開が直球のフリだったようにも見えてきます
ただ、だとしても主人公との関係性がそもそも希薄なので痛みは限定的だし罪の意識に乏しく(他で代替されてはいるが)、そして主人公が供物としての恐怖を味わう話にもならないためにブレが生じ、「ヘレディタリー」のストロングさと並べてしまうと弱く感じるのかな
90年に1本の奇作
この内容なら半分の時間で十分
2020-15
もういい。
『ヘレディタリー』は、観賞後、灰色な気持ちになったことぐらいしか覚えてないので、きっとこの作品も灰色な気持ちになるんだろうな、と思っていました。
それでも観たかったのは、舞台がスウェーデンだから。
人生の半分以上を過ごした故郷です。
でも、もういい。
映画のクオリティや凝ってる部分じゃない。
私には無理だった。
私にはスウェ文化を汚損でもなく、踏みつけられたのでもなく、ぽいっとされたような悲しさを感じた。
おそらく私が日本で見てるからというのも大きい。遠い日本で、スウェーデンがこう描かれているのを見ているから。
スウェで、スウェの友達と見てたらここはこうだよね、これはないよね、とか語れて、納得できるかもしれない。
長年住んだとはいえ、伝統まで深く知らないから語れる筋合いがないのは十分承知で、私情が多いにある、あまのじゃくな意見ですが、私にとっては居心地の悪い時間でした。
こんなレビューで申し訳ありません。
話題性に釣られて鑑賞するも?
性描写、狂ってる!
監督がダニーに投影されているとしたら他の登場人物もモデルがいるのだろうか?
マイノリティをどこまで認められるか?
昨今世界ではアイデンティティの尊重や、マイノリティを否定しないことを美学とする風潮がある。とくに欧米ではその傾向が強いように思う。
本作はまさにそれらをどこまで認められるか?を問われていたように感じた。
主人公たちは、スウェーデン人の友人から「地元で90年に一度の由緒あるお祭りがあるから行こう」と誘われる。
人間というのは不思議なもので、'お祭り'というだけで奇妙な催しを受け入れてしまう。ここはこういう文化だから尊重しよう、と勝手に納得してしまうのだ。作中であきらかに常軌を逸した儀式が行われるのだけど、主人公たちはそれを戸惑いながらも受け入れる。
もしこれが、「うちの宗教団体で90年に一度の儀式があるんだけど」って誘いだったら即通報してると思う。(そもそも行かなかった可能性が高い。)それだけ'お祭り'というのは世界的にパワーワードであり、人間の警戒心が薄れる言葉なのだと感じた。
いくら他人のアイデンティティに関わる事でも、時には「それってどうなの?」と反発(≠否定)することも必要なのではないか。最近は反発=悪という風潮が強すぎる。この作品は、何でもかんでも受け入れるのが常に善となるわけではない、と言っているように思う。
作中では常時理解しがたい催しが起こり、細かい経緯が描かれていないものも多々あるが、この映画はそこを自分なりに想像したり、理解できないモヤモヤだったりを楽しむ映画だ。観たあとに自分の想像力が膨らむ体験を、ぜひ味わってほしい。
宗教映画
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