ミッドサマーのレビュー・感想・評価
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不穏な空気と狂気性
もの凄く作り込まれた作品で、ホラーとはジャンルが違うかな?
ビジュアルが公開された時から、その美しい中に漂う狂気に心引かれていました。
全編にに漂う不穏な空気と狂気性、細部にも大変拘り抜いていて伏線もパズルのように散らばっています。
そのピースが自分にピタッとはまると、それがまた狂気を増して行くんですね。
もちろんその度物語に引き込まれます。
この作りが本当に緻密で素晴らしい。
何かを書くとバレに繋がりそうで短めなレビューですが、今年一番のインパクトでした。
ディレクターズカット版も新たに気づくことがあるでしょうし、実に楽しみです。
本当、傑作でした。
「ヘレディタリー」と逆ベクトルのスリラー
観てよかったと思いました。
というのも、今作を観る前に同監督の「ヘレディタリー/継承」を見て、心が180度ボッキリと折れたように恐怖を感じてるいたからです。
「ミッドサマー」を観て、「ヘレディタリー/継承」の恐怖が、なぜか半分ほど払拭されたように感じました。
「ヘレディタリー」が「呪詛」による死者の為の物語であるなら、今作「ミッドサマー」は「祝福」による生者の為の物語です。
(どちらもスリラー作品であることに変わりはないかもしれませんが…)
また、「家族」という題材を思うと、「ヘレディタリー」が現代社会の中の〈孤立〉を描いているとしたら、「ミッドサマー」は民族社会の中の〈連帯〉を描いている、と言えなくもないように思いました。
個人的には、まるでA面とB面のように…どちらが表か裏か分かりませんが、逆ベクトルで作られた、対のような作品だと思いました。
また個人的な、変な憶測ですが、「ミッドサマー」か「ヘレディタリー」か、どちらか片方だけ観た方が怖いのではないか、と感じました。
両方観てしまうことで、意外と自分は、心のバランスが少し取り戻せたように思います…。
映画そのものの完成度は高く感じられます。
劇中には様々な謎が散りばめられていますが、あまり気にせず、なんとなく観ても楽しめる(スリラーが大丈夫なら…)映画と思います。
どんな映画に似ているか、と問われれば、「楢山節考」のような映画、と思います。
グロテスクなシーンも一瞬ありますが、目を背けても内容はある程度分かるのでは、と感じます。
客層としては、自分が入った時は女性の方が多い印象でした。
見終わった後、どんな内容だったか話し合うのも楽しい映画かもしれません。
期待しすぎて色々中途半端に見えました。
事前情報は予告の動画だけです。
友人から「怖いらしい」「グロいらしい」というのを聞かされていたので、他のグロホラーを見る時の感覚で張り切って見始めてしまいました。
年に100本ホラー映画を見た程度のホラー映画好きです。
そのため色々期待しすぎました。
5段階評価で
グロ★★☆☆☆
恐怖★★☆☆☆
エロ★★☆☆☆
映像★★★☆☆
といった感覚でした。
同じくグロテスク、ホラー、映像美の3要素が個人的に好きな映画は「パンズ・ラビリンス」なのですが、どうしてもそれと比べてしまい見劣りを感じました。
この映画の見どころは、恐怖というよりは不快な不気味さ、また映像の美しさに重きを置いている気がします。
トリップ(?)した際の、花や木々たちが動物のように呼吸して動くシーンはとても美しいと思いました。
不快な不気味さというのは、主に音です。
謎の民族唄、ベルの音、重低音、パニック発作を起こした主人公の呼吸、赤ちゃんの泣き声、女性の泣き声、など不快な音や不協和音が多数使われています。不安を煽る演出は良かったです。
(その後にちゃんと恐い出来事が起こればもっと良かったな…^^;)
ただ、私自身パニック発作を起こした事があるので、多少主人公には感情移入してしまいました。持病もあり、家族まで失って、彼氏以外はどうでも良いと思っている中で、あんな思想の宗教に飲まれたら、仕方ないとも思います。主人公にとっては祝祭に相応しい良い終わり方なのだと思いました。
誰にでもおすすめはできませんが…
まず、個人的には非常に興味深く面白く、好奇心を持って観られる作品でした。
ホラーやパニック映画というわけではなく、人類が遥か昔から持っている様々な文化や思想、哲学について考えさせられる作品かと思う。
ただし、かなり好き嫌いはわかれる上に、生々しい表現や残酷な表現が苦手な方は、単純に不快に感じそうなのでおすすめできない作品。
自分の知らない世界や思想というものをいかにして理解するのかというのは非常に難しい問題ではあるが、
どの時代にも、ある一定の限られたコミュニティ独特の文化や風習などは存在していて、
それらを、単純に自分の尺度、常識で正しい、正しくない、と判断をしてしまうことは果たして…?
いま一度、これまでの自分の辿って来たルーツや常識として来たモノを見直してみるのも良いな、むしろ、その視点を常に持つのは大事だな、と、色々と勉強してみたくなる作品。
よくよく観ていると、様々なところに映像でも音でも伏線がしっかりあって、全てがすっきりするので映画としての面白さも充分かと。
(視覚的に)とにかく明るいホラー
一体、何を見せられたのか!?
光輝くものに騙されてはいけない。
90年に1本の奇作
この内容なら半分の時間で十分
2020-15
もういい。
『ヘレディタリー』は、観賞後、灰色な気持ちになったことぐらいしか覚えてないので、きっとこの作品も灰色な気持ちになるんだろうな、と思っていました。
それでも観たかったのは、舞台がスウェーデンだから。
人生の半分以上を過ごした故郷です。
でも、もういい。
映画のクオリティや凝ってる部分じゃない。
私には無理だった。
私にはスウェ文化を汚損でもなく、踏みつけられたのでもなく、ぽいっとされたような悲しさを感じた。
おそらく私が日本で見てるからというのも大きい。遠い日本で、スウェーデンがこう描かれているのを見ているから。
スウェで、スウェの友達と見てたらここはこうだよね、これはないよね、とか語れて、納得できるかもしれない。
長年住んだとはいえ、伝統まで深く知らないから語れる筋合いがないのは十分承知で、私情が多いにある、あまのじゃくな意見ですが、私にとっては居心地の悪い時間でした。
こんなレビューで申し訳ありません。
話題性に釣られて鑑賞するも?
性描写、狂ってる!
監督がダニーに投影されているとしたら他の登場人物もモデルがいるのだろうか?
マイノリティをどこまで認められるか?
昨今世界ではアイデンティティの尊重や、マイノリティを否定しないことを美学とする風潮がある。とくに欧米ではその傾向が強いように思う。
本作はまさにそれらをどこまで認められるか?を問われていたように感じた。
主人公たちは、スウェーデン人の友人から「地元で90年に一度の由緒あるお祭りがあるから行こう」と誘われる。
人間というのは不思議なもので、'お祭り'というだけで奇妙な催しを受け入れてしまう。ここはこういう文化だから尊重しよう、と勝手に納得してしまうのだ。作中であきらかに常軌を逸した儀式が行われるのだけど、主人公たちはそれを戸惑いながらも受け入れる。
もしこれが、「うちの宗教団体で90年に一度の儀式があるんだけど」って誘いだったら即通報してると思う。(そもそも行かなかった可能性が高い。)それだけ'お祭り'というのは世界的にパワーワードであり、人間の警戒心が薄れる言葉なのだと感じた。
いくら他人のアイデンティティに関わる事でも、時には「それってどうなの?」と反発(≠否定)することも必要なのではないか。最近は反発=悪という風潮が強すぎる。この作品は、何でもかんでも受け入れるのが常に善となるわけではない、と言っているように思う。
作中では常時理解しがたい催しが起こり、細かい経緯が描かれていないものも多々あるが、この映画はそこを自分なりに想像したり、理解できないモヤモヤだったりを楽しむ映画だ。観たあとに自分の想像力が膨らむ体験を、ぜひ味わってほしい。
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