「舞台の明るさ以外、他はよくあるホラーに終始。」ミッドサマー FSSさんの映画レビュー(感想・評価)
舞台の明るさ以外、他はよくあるホラーに終始。
夏至祭を祝うスウェーデンの辺境の村を舞台に、主人公たち大学生が不気味なカルト集団の村人たちに翻弄される恐怖を描くスリラー。絶賛している解説サイトやレビューを見掛けて期待していましたが、結果、期待値を上げ過ぎました。
奇妙で不気味な文化や風習を持つ閉鎖的な村などを舞台に「カルト集団」や「土着宗教」などをテーマにするホラーやミステリーはよくあるので、この映画も「まさかカルト集団オチじゃないよな」と思っていたら、まさにそのまんまで拍子抜け(笑)。
「何をもって幸せとするか」とか、「家族のあり方とは」といったテーマもホラーやサスペンスには意外とよく見られるもの。崖から飛び降りる儀式なども、「老いて家族に迷惑をかける前に自ら死を選択する」と言う発想であって、別にこの映画に限ったものじゃないですし、何なら普通の人でも一度は考える事ではないでしょうか?
自己中心的なメンヘラ主人公にも感情移入はしにくいし、他のメイン登場人物である友人たちも軽率で浅薄なアホばかりで、まあホラー映画の犠牲者としては優秀だけど(笑)、見ていてやはりイライラさせられこそすれ、感情移入できる人物は一人もいません。
最終的には、家族を失って精神的に参っていた主人公が、このカルト集団の家族として受け入れられ、笑顔を取り戻すというところで終了。「この後は想像にお任せします」と言うオチで、結局、序盤の家族心中?のシーンは具体的に何が原因だったのか、本当に自殺だったのかといった「謎」の検証は作中においてまったく言及は無いまま。主人公を精神的に不安定な状況に陥れるための「初期設定」以上の意味は無さそうでこれまたガッカリ。
あとダラダラとしたシーンが多いため、無駄に時間が長くなり過ぎ。もっと無駄を省けば30分は短縮可能。よほどストーリー展開や演出においてそれだけの時間を掛けるに相応しい「必然性」が無い限り、エンタメが基本である映画は二時間以内に収めて欲しいですね。