「序盤は助長に思えるシーンが多いが、後半の構図はお見事」ミッドサマー おさしみさんの映画レビュー(感想・評価)
序盤は助長に思えるシーンが多いが、後半の構図はお見事
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家族の繋がりによって両親を道連れにした妹、そして家族の繋がりを断ち切られた主人公。
その主人公が彼氏と友人一行と共におかしなお祭りに参加させられるという物語ですが、奇妙なお祭り、命が巡るという宗教的観念をコミュニティで形成している集団に入って来た「客人」というポジションで、それぞれの立場で「儀式」と向き合った結果、悲惨な目に遭うというあらすじです。
とにかくまぁ、語るべきことは多いのですが、メインストーリーである「主人公」と「その彼氏」との構図がお見事。
一番最後のキモになるシーンが「痛みや恐怖を感じない薬が全く効果が無く、生贄が泣き叫び、外の住人達も一緒に泣く」というシーンなのですが、つまり「村の娘」とセックスをした彼氏に「惚れ薬」は効いておらず、完全に「自分の意思で浮気をしている」。
そして「同じ感情を共有する」という形でコミュニティを「家族」たらしめている「泣き叫ぶ」という行為を最後、主人公だけが行っていません。
そして、「動く事も話す事も出来なくなった彼氏」もね。
つまり二人だけが正気のままで儀式の最期を迎え、主人公は「満面の笑みを浮かべる」。
儀式に巻き込まれたという体を取りながらも結局は「自分の好きなようにした」んですね。
そして恐らくはこの後、新たな女王は、
語る必要もありません。
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