「北欧は良いところですよ」ミッドサマー ナカネムさんの映画レビュー(感想・評価)
北欧は良いところですよ
アリ・アスター監督のデビュー作「ヘレディタリー継承」を観たとき、孤高の奇才アレハンドロ・ホドロフスキー監督の「エルトポ」を見た時の衝撃が蘇りましたが、今回のミッドサマーも期待を裏切らない素晴らしい出来です。冒頭からエンディングまでヒリヒリするような映像と効果音と象徴的なタペストリーや村の建造物などじっくりと味わって鑑賞しました。まあ話は北欧(設定はスウェーデンだが実際には予算の問題でスウェーハンガリーのブダペストで撮影)の人里離れた古くから続くカルト教団に観光気分で訪れたアメリカ人達が酷い目にあうというありがちな話ですが、じっくりとアリ・アスターワールドを楽しむことが出来ました。72才の老男女のアッテストゥパンの儀式、鶏小屋の中で翼を広げた鳥のように吊り下げられたサイモンの残虐かつ凄惨な姿、殺されたマークがバカっぽい帽子をかぶり顔面の皮を失いもはや誰か判別不可能な姿、近親相姦の末に誕生し障害を抱えたルビン、数字の9と13、そして熊などなど、。ディテールやカメラワークなどすべてが素晴らしい。メイクイーンらしからぬダニーの田舎っぽい感じや、すごく優しくて良い人キャラだが悪の根源、ペレ。そして極めつけはいろんな意味でふんだりけったりのダニーの恋人クリスチャン。同情してしまいます。もう何度か観たい映画です。
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